講演情報
[27-O-L009-03]交流がカギ。独居再建ストーリー地域とつながる在宅リハ物語
神奈川県 ○鈴木 恵美 (介護老人保健施設野比苑)
【はじめに】
高齢者が介護老人保健施設(以下、老健)を退所し、在宅生活へ復帰する際には、身体機能の維持だけでなく、精神的な安定や社会的孤立の防止も重要である。本事例では、老健退所後に訪問リハビリを継続しつつ、心理的支援および社会参加の機会を得たことで、独居での生活再建が可能となった90代女性の事例を通して、多職種による包括的な支援の重要性について報告する。
【対象者】
90代の独居女性。要介護1。老健に入所中は、車椅子レベルでADLは概ね自立。居住先はアパートの4階で、エレベーターはなく、階段昇降は困難であることから、外出の機会がほとんどない状態であった。退所後は、在宅サービスを利用しながら、独居生活を再開した。
【リハビリ・サービス内容】
老健退所後は、週1回の訪問リハビリを継続している。主にADLの維持と屋内移動の安定性向上を目的として支援を行った。また、週1回ヘルパーによる入浴介助と掃除支援も併用することで、生活全般の安定化を図った。当初は身体的機能の大きな低下は見られなかったが、自宅内に閉じこもる生活により、精神面での不安定さや気分の落ち込みが徐々に強まっていった。
【マネジメント・連携の工夫】
退所後しばらくは久しぶりの在宅生活に満足されていたが、半年ほど経過した頃から「もういつあの世に行ってもいい」「何もできなくて情けない」などの悲観的な発言が多くなった。同時期に、自宅内での転倒もあり、訪問スタッフやケアマネジャーと情報共有を行い、精神的な側面への支援が必要であると判断。そこで、他者との交流や社会参加を目的に、デイサービスの利用を提案した。送迎時は横須賀市独自の給付である特別搬送サービスを導入し、車椅子ごと階段昇降を行い、デイサービス利用開始となった。他者交流やレクリエーション等を通して生活への意欲が見られるようになった。訪問リハビリ時にも表情が明るくなり、ネガティブな発言が減少した。
【 結果・経過】
週1回のデイサービスを継続することで、対象者は人間関係を持ち直し、生活にリズムが生まれた。「デイサービスの準備が面倒くさい」と話されることがあるものの、「お風呂は気持ちがいいのよね」とデイサービスを楽しみにするようになり、笑顔や会話も増加した。訪問リハビリの介入時にも、「デイサービスの隣の人が面白いの」と楽しまれる様子や「昔は演歌歌手のコンサートにもよく行ったの」といった前向きな発言が増え、生活全体への意欲が回復した。現在も在宅生活を維持しながら、訪問・通所サービスを併用し、自立的な生活が継続できている。
【考察】
本事例では、退所後早期からリハビリテーションマネジメントを行った。まずは生活再建に必要な身体機能の獲得。次に在宅支援体制の整備に取り組んだ。心理的支援や社会参加の機会を設けることで、対象者の精神的な安定と生活意欲の回復が得られた点が重要であると考えられる。高齢の独居生活者は、身体的な支援だけでは生活再建が困難となるケースが多く、精神面や社会的なつながりの有無が生活の質(QOL)に大きく影響する。今回のように、リハビリテーションマネジメントを行い、多職種が連携して支援体制を調整し、本人の心理的状態や生活背景を踏まえた柔軟なアプローチを行うことが、在宅支援の成功に繋がると考えられた。独居生活の継続には、交流機会の創出や社会的孤立の予防を含めた多面的な支援が必要である。今後も変化していく生活課題に対して医療的視点を持ってリハビリテーションマネジメントを行い、「地域でのくらし」を支援していきたい。
高齢者が介護老人保健施設(以下、老健)を退所し、在宅生活へ復帰する際には、身体機能の維持だけでなく、精神的な安定や社会的孤立の防止も重要である。本事例では、老健退所後に訪問リハビリを継続しつつ、心理的支援および社会参加の機会を得たことで、独居での生活再建が可能となった90代女性の事例を通して、多職種による包括的な支援の重要性について報告する。
【対象者】
90代の独居女性。要介護1。老健に入所中は、車椅子レベルでADLは概ね自立。居住先はアパートの4階で、エレベーターはなく、階段昇降は困難であることから、外出の機会がほとんどない状態であった。退所後は、在宅サービスを利用しながら、独居生活を再開した。
【リハビリ・サービス内容】
老健退所後は、週1回の訪問リハビリを継続している。主にADLの維持と屋内移動の安定性向上を目的として支援を行った。また、週1回ヘルパーによる入浴介助と掃除支援も併用することで、生活全般の安定化を図った。当初は身体的機能の大きな低下は見られなかったが、自宅内に閉じこもる生活により、精神面での不安定さや気分の落ち込みが徐々に強まっていった。
【マネジメント・連携の工夫】
退所後しばらくは久しぶりの在宅生活に満足されていたが、半年ほど経過した頃から「もういつあの世に行ってもいい」「何もできなくて情けない」などの悲観的な発言が多くなった。同時期に、自宅内での転倒もあり、訪問スタッフやケアマネジャーと情報共有を行い、精神的な側面への支援が必要であると判断。そこで、他者との交流や社会参加を目的に、デイサービスの利用を提案した。送迎時は横須賀市独自の給付である特別搬送サービスを導入し、車椅子ごと階段昇降を行い、デイサービス利用開始となった。他者交流やレクリエーション等を通して生活への意欲が見られるようになった。訪問リハビリ時にも表情が明るくなり、ネガティブな発言が減少した。
【 結果・経過】
週1回のデイサービスを継続することで、対象者は人間関係を持ち直し、生活にリズムが生まれた。「デイサービスの準備が面倒くさい」と話されることがあるものの、「お風呂は気持ちがいいのよね」とデイサービスを楽しみにするようになり、笑顔や会話も増加した。訪問リハビリの介入時にも、「デイサービスの隣の人が面白いの」と楽しまれる様子や「昔は演歌歌手のコンサートにもよく行ったの」といった前向きな発言が増え、生活全体への意欲が回復した。現在も在宅生活を維持しながら、訪問・通所サービスを併用し、自立的な生活が継続できている。
【考察】
本事例では、退所後早期からリハビリテーションマネジメントを行った。まずは生活再建に必要な身体機能の獲得。次に在宅支援体制の整備に取り組んだ。心理的支援や社会参加の機会を設けることで、対象者の精神的な安定と生活意欲の回復が得られた点が重要であると考えられる。高齢の独居生活者は、身体的な支援だけでは生活再建が困難となるケースが多く、精神面や社会的なつながりの有無が生活の質(QOL)に大きく影響する。今回のように、リハビリテーションマネジメントを行い、多職種が連携して支援体制を調整し、本人の心理的状態や生活背景を踏まえた柔軟なアプローチを行うことが、在宅支援の成功に繋がると考えられた。独居生活の継続には、交流機会の創出や社会的孤立の予防を含めた多面的な支援が必要である。今後も変化していく生活課題に対して医療的視点を持ってリハビリテーションマネジメントを行い、「地域でのくらし」を支援していきたい。
