講演情報

[27-O-L010-01]超強化型老健施設における集団体操導入の効果

大阪府 小川 智之, 森 健一郎, 西谷 佳人 (介護老人保健施設 栄公苑)
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【はじめに】 現在、当苑では入所後3ヶ月間は短期集中リハビリ加算として週7回の運動リハビリを実施している。3ヶ月が経過すると週3回のリハビリとなることや、苑生活で能動的に活動・参加が出来ない方の施設活動量が減少してしまう方もいる。日中臥床傾向が多くなり、長時間座位で過ごされている利用者が筋力低下や関節拘縮などの廃用性症候群に陥りやすい。このため身体機能低下や転倒により在宅復帰が困難となるケースがあった。超強化型老健での役割の1つに在宅支援があげられ、身体機能の維持向上は必須であることや、退所後の在宅生活では更なる活動量が減少することが予想されるため集団体操を実施することとした。【目的】不活動・廃用症候群の予防を行うために身体機能に対する集団体操の効果を検討することとした。【対象者】対象期間としてR5年10月度からR7年1月までの短期集中リハビリ終了した利用者24名、(男性:3名、女性:21名、平均年齢:85.8歳±5.8、平均要介護度2.75、TUG平均32.0秒±20.0)を対象とした。【方法・内容】短期集中リハビリ加算を終了し、在宅復帰を目標にしている利用者を選定したのち、約1ヶ月間、2回/週、合計8回の集団体操を実施した。体操内容に関して、サルコペニアに移行しやすい抗重力筋(中殿筋・大腿四頭筋を中心に)を対象筋として、7種目、各11回×2~4セットを実施した。実施時間は30分とした。身体機能測定では、Hand Held Dynamometer(HHD)にて膝関節伸展筋力とCS-30の測定を実施した。【結果】短期集中リハビリが終了して1ヶ月後のCS30の回数は増加者6名、変化なし14名、減少者4名であった。膝伸展筋力は右膝伸展筋力増加者15名、変化なし1名、減少者8名、左膝伸展筋力増加者14名、変化なし1名、減少者5名であった。CS-30の平均回数では、開始時平均4.12±5.1回で、集団体操を実施1ヶ月後では5.12±5.2回であった。右膝関節伸展筋筋力では、開始時平均38.9Nm±22.2、集団体操を実施1ヶ月後で41.4Nm±24.8であった。左膝関節伸展筋力では、開始時平均40.6Nm±20.8、集団体操を実施1ヶ月後で43.7Nm±23.9であった。【考察】効果のある集団体操のプログラム作成にあたり、近年マルチコンポーネントのプログラムが使用されることが多い。しかし、対象者の体力など身体状況や環境の違いにより実施が不可能な場合もある。山田らは、TUGが9~10.9秒以上の集団には、まずは筋力訓練が主体となる集団体操を推奨している。当苑における参加者も、TUG10秒以上が大半に在籍していたため、まずは筋力訓練主体のプログラムを作成した。このことから、筋力の測定に該当するCS-30とHHDの測定値が有意差はみられなかったものの維持・増加傾向になった理由の1つと考える。また下肢の抗重力筋(中殿筋・大腿四頭筋)をターゲットにし、プログラム設定に対して山田らは「1つの筋を40%程度の負荷と1週間合計210回を3ヵ月間実施すると筋力が向上する」と報告されている。当施設での短期集中リハビリが終了してから平均入所期間が約1.5ヶ月であるため、1週間での運動合計回数を420回と設定した。上記を参考に運動プログラムを立案した事が、膝関節伸展筋力値の増加に寄与したと考えられる。CS-30における回数増加がみられたものの、HHDに比べ増加率は低く、動作の改善に対する効果は低かったと考える。今回提供した集団体操におけるプログラムは低体力者向けの筋力増強を目的としたプログラムの為、動作の要素を含むCS-30の効果は十分に得られなかったと考えられる。今後は個別能力に合わせたセッティングが必要になると考える。【おわりに】筋力訓練主体の集団体操を導入した事で筋力維持・向上が可能であることがわかった。今後は、実施可能な集団体操プログラムを作成することで対象者を増やし、老健全体で健康寿命の延伸に貢献することや退所後の在宅生活でも自主訓練に取り組んでいただきたいと考えている。