講演情報
[27-O-L010-05]個別リハと自主訓練により身体機能の改善を認めた症例
千葉県 ○佐藤 慎, 鈴木 浩之, 菅原 竜二, 竹本 彩乃, 小島 太郎 (国際医療福祉大学成田老年医療福祉センター介護老人保健施設オルタンシア)
目的介護老人保健施設における短期集中リハビリテーション実施加算の要件としては、週3日以上、1回20分以上とされている。医療施設での365日提供のリハビリテーションと同等レベルの身体活動量を提供することは難しいが、リハビリテーション専門職による個別のリハビリテーションに加えて、自主訓練を併用することにより利用者の身体活動量を増加させることが可能である。一方課題として、筋量や筋力、身体機能などサルコペニアの指標を含めた標準的な評価も測定機器を必要とすることから必ずしも可能ではない。そこで今回は、活動意欲が高い利用者に対して、リハビリテーション専門職による個別のリハビリテーションおよび自主訓練により、体組成や筋力、バランスや歩行能力といったサルコペニアに関連する客観的な指標に改善を認めた一例を経験したため、報告する。方法症例は80代の女性で、介護認定は要介護2であり、既往歴としては、高血圧、慢性心不全、2型糖尿病、肺がん(放射線療法)、脳梗塞(3回)があった。施設入所前は夫、息子との3人暮らしで一戸建てに居住されていた。介護保険によるサービスとして、車椅子や手すりといった福祉用具のレンタルや週3回の通所リハビリテーション、週4回の訪問介護を利用していた。しかしながら次第に歩行時のふらつきが大きくなり、体重過多もあることから家族での介護が限界となりX年Y月Z日に当施設に入所となった。ご家族からは「痩せてほしい、ふらつかないで歩けるようになってほしい」との要望が聞かれた。入所時現症を下記に示す。意識は清明で、バイタルサインとしては血圧が146/84mmHg、心拍数が73bpm、経費的酸素飽和度が100%であった。体格としては、身長は160cm、体重は77.3kg、Body Mass Index(BMI)は29.5kg/m2であり、1度肥満に該当していた。左手指にのみ屈曲制限が認められた。運動麻痺に関しては左上肢・手指・下肢のいずれもBrunnstrom Recovery Stage(BRS)でV-VIレベルであり、バレー兆候は陰性、結帯・結髪動作は可能であった。感覚障害に関しては特に認めず痺れの訴えもなかった。基本動作は自立レベルであり、歩行はシルバーカーを使用して施設内移動自立レベルであった。Activities of Daily Living(ADL)は食事・移乗・整容・トイレ動作・歩行・着替え・排尿・排便は自立レベル、入浴は個別入力見守り~一部介助レベルであった。食事摂取に関しては、必要栄養量は、提供栄養量は主食が軟飯、副食が常菜食で1550kcal、たんぱく質60gであった。摂取量は8割程度であった。機能訓練としては、入所日当日より1回20分の個別のリハビリテーションとして理学療法、作業療法を週3回2か月間実施した。プログラムとしては、下肢筋力増強訓練、シルバーカーを使用した歩行訓練、5~10分程度の自転車エルゴメーターを使用した持久力向上訓練を実施した。また、個別のリハビリテーションに加えて自主訓練として支持物を使用したスクワットと歩行訓練を2か月間実施した。スクワットは必ず支持物を使用し1回分を5~10回として1日4回実施した。歩行訓練は必ずシルバーカーを使用し100m程度の歩行を1日4回実施した。なお、自主訓練の定着を目的に、リハビリテーション科医師やリハビリテーション専門職からの定期的な促しも行った。評価は入所後および1か月後、2か月後に実施した。評価項目はInBody270S(株式会社インボディ・ジャパン)を使用し体重とBMI、Skeletal Muscle Index(SMI)を、筋力検査としてデジタル握力計TL2(トーエイライト株式会社)を使用した握力、mobie Z MT-201(酒井医療株式会社)を使用した膝伸展筋力、バランス検査としてFunctional Reach Test(FRT)とTimed Up & Go Test(TUG)を、歩行検査として10m歩行と6分間歩行、日常生活動作評価としてBarthel Index(BI)とFunctional Independence Measure(FIM)を、手段的日常生活動作評価として手段的日常生活動作尺度を、と使用した。結果2か月間の個別のリハビリテーションに加えて自主訓練を実施したが、訓練中の有害事象は発生しなかった。ご本人の感想としては、「自主訓練に対して積極的に取り組んだ、良い結果が出てよかった」とのことであった。評価項目の比較として、体重およびBMIは77.3kgから75.9kg29.5kg/m2から28.9 kg/m2へそれぞれ減少し、SMIは6.3kg/m2から6.9kg/m2へ増加した。握力は右9.35kgから10.75kg、左0kgから5.15kgへ増加し、膝伸展筋力は右12.15kgfから15.25kgf、左8.65kgfから11.65kgfへ増加した。また、FRTは13cmから17cmへ向上し、TUG(右回り、左回りの平均値)は21.66秒から18.85秒へ減少した。10m歩行(快適歩行速度)は0.5m/秒から0.6m/秒へ増加し、6分間歩行は60mから128mへ増加した。BIおよびFIMは80点から85点、103点から107点へそれぞれ増加した。手段的日常生活動作尺度は変化がなかった。考察活動意欲が高い利用者に対して、リハビリテーション専門職による個別のリハビリテーションと自主訓練を実施され、体組成や筋力、バランスや歩行能力といった客観的な指標に改善を認めることとなった。筋肉減少に対する改善を認めたことから現在のリハビリテーションによる更なる改善が見込める裏付けとなったと考えられる。
