講演情報

[27-O-L011-01]短時間通所リハビリの役割と有効性

富山県 小川 真由, 中井 七海 (老人保健施設チューリップ苑)
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【はじめに】
富山市の総人口は減少傾向にあるが、高齢者数(65歳以上)は増加し続けている。高齢化率は全国平均を上回っており、令和5年4月現在で30.1%である。また要介護認定者数は全国との比較では要支援の比率が低く、要介護2~3の比率が高い。更に富山市を18の生活圏に分けるとき、当施設が位置する東部・山室地区は3番目に要介護認定率が高い。今後も高齢化は進むと予測されており、2045年には高齢化率が約4割に達すると予測されている。そのため高齢者の福祉サービスを充実させることは重要な課題である。当施設では、令和2年度より1時間以上2時間未満の短時間通所リハビリテーション(以下短時間デイケア)の運営を開始した。令和6年度の活動について以下報告する。
【施設紹介】
・通所リハビリテーション定員:84名
・リハビリマネジメント加算:取得率95%以上
・リハビリ専門職:7.5名に対し1名(令和7年3月時点)
【方法】
〈対象〉
要介護認定保持者
〈利用の流れ〉
1)ケアマネージャーより依頼
2)見学、体験
3)契約、家屋調査
4)当施設の医師による診察
5)利用開始
〈サービス提供体制〉
・利用日:月~土曜午後(1時間以上2時間未満の枠)
※土曜は利用者自身で来所可能な方のみ
・送迎(平日のみ):運転手・添乗員各1名、1日2~4回(1回最大4名対応)
・リハビリ専門職員:3~6名体制
〈実施内容〉
・集団体操:ラジオ体操、レッドコード、コグニサイズ、早口言葉
・個別運動:パワーリハビリ、リカンベントバイク、トレッドミル、エスカルゴ、平行棒内体操、棒体操、認知課題プリント等
〈アンケート調査〉
・実施時期:令和7年3月
・対象:令和7年3月時点での登録利用者30名
・内容:満足度(5段階評価)+自由記述
【結果(令和6年度)】
〈利用実績〉
・延べ利用回数:885回
・月平均利用者数:約30名
・年齢:80.8±9.6歳
・要支援・要介護別内訳:要支援1(26%)、要支援2(26%)、要介護1(23%)、要介護2(16%)、介護3(5%)、介護4(4%)、介護5(0%)
・出席率(月別):4月87%、5月84%、6月76%、7月75%、8月75%、9月91%、10月81%、11月82%、12月81%、1月68%、2月62%、3月79%
 1~2月の低下は積雪・降雪による外出控えが要因
〈利用目的〉
1)機能維持・介護予防:46%
2)外来・入院リハビリの継続:37%
3)閉じこもり予防・社会交流:17%
〈Barthel Indexの推移(対象:令和7年3月時点の登録者30名)〉
・利用開始時、令和7年3月時点:最大100点、最小30点、中央値95点
・状態維持:27名、低下:3名(いずれも歩行項目で15点→10点)
〈満足度アンケート(回収率83%)〉
・「とても満足している」:64%
・「そこそこ満足している」:36%
・不満回答は0%
・自由記載:短時間で済む利便性(家事の時間や自由時間の確保ができる)が良い。気分転換、交流、集団体操により楽しさ・やる気が向上した等
【考察】
令和6年度における当施設の短時間デイケア利用者は、要支援者および要介護1・2の軽度要介護者が全体の約75%を占めていた。利用者のBarthel Indexは最大値100点、中央値95点であり、日常生活の自立度が高い利用者が多いことが分かる。また、利用開始時と比較しても状態を維持できている利用者が多かった。短時間デイケアは、長時間デイケアと異なり食事や入浴がなく滞在時間が短い、リハビリに特化したサービスである。自立度の高い要支援・軽度要介護者にとって、必要なリハビリのみを短時間で受けられる利便性が高く、利用しやすい形態となっている。実施した満足度アンケートでは、「自分の時間が欲しい」「家事のため時間に制限がある」といった理由で短時間利用を選んでいる声が多く聞かれた。また、「気分転換になる」「知り合いが増えて嬉しい」といった社会的交流に対する満足感や、「みんなで体操できて楽しい」「他者と一緒だとやる気が出る」といった集団体操による心理的・動機付け効果の意見もあった。個別リハビリでは集中した指導が可能である一方、集団リハビリでは交流や楽しさによるモチベーション向上が得られやすく、運動の継続に繋がっている。運動を継続するためには、楽しさや達成感の実感が重要であることが過去の研究でも示されている。また、富山市の高齢者保健福祉実態調査によれば、2505名のうち60.4%が健康づくりのために運動を希望しており、30.9%が友人との交流を望んでいることからも、短時間デイケアの内容が高齢者のニーズに合致していることが分かる。当施設においても、医療保険から介護保険への移行希望者に加え、介護予防や閉じこもり防止、社会交流を目的とした利用者が半数以上を占めており、今後の介護予防としての役割が期待される。
【まとめ】
高齢化の進行に伴い、要介護認定者は今後更に増加していく見込みであり、要支援・軽度要介護者の介護度重度化を防ぐことは重要な課題であると考える。健康的で自立した生活を送るために、軽度であるうちに運動習慣を身につけることで重度化を予防していきたい。
【参考文献】
1)横山典子,西嶋尚彦,他:中高年者における運動教室への参加が運動習慣化個人的要因に及ぼす影響―個別運動実施プログラムと集団実施運動プログラムの比較―.体力科学,2003,52(Suppl),249~258
2)富山市福祉保健部長寿福祉課:高齢者保健福祉実態調査報告書,2023