講演情報

[27-O-L011-02]こころ豊かな生活を目指して~小集団活動導入報告~

大阪府 岩本 柊花 (介護老人保健施設 サンガーデン府中)
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【はじめに】
 当施設では、療養棟スタッフや地域ボランティアによるレクリエーション活動を実施し、入所者の日常生活に楽しみと活動の機会を提供する取り組みを行ってきた。しかし、コロナ禍において集団活動が制限され、地域ボランティアの受け入れも中止となった。それにより入所者の活動機会は大幅に減少し、活動量の低下が見られるようになった。
 生活期にある入所者が「その人らしく」過ごせる場を提供し、交流を支援することは重要であると考えられる。こうした背景から、2023年より個別リハビリに加え、リハビリスタッフによる大集団体操を導入してきた。しかし、個別ニーズに添った活動の必要性を感じ、2024年より小集団活動を開始し、長期入所者の活動への参加率向上を目指した。その活動内容について報告する。
【目的】
 本研究の目的は、コロナ禍で減少した活動機会を補完し、入所者一人ひとりのニーズに応じた小集団活動を導入することで、主体的な活動の場を提供することである。また、活動への参加率を高めるとともに、多職種間の協力体制を強化することも重要な目的とした。具体的には、ADLに介助を要し、主体的な活動が困難な長期入所者を対象に、小集団での創作活動や風船バレーを実施し、参加率の向上および活動の機会提供を図った。
【実施期間・方法】(期間:2024/4/12~9/7)
1)対象者:ADLに介助が必要な長期入所者
2)評価内容:身体能力、ニーズ、一日の過ごし方を評価し、活動内容を決定
3)活動目的・内容
  2階:認知症専門棟。生活リズムの安定が難しく、刺激は控えめが望ましい環境である。塗り絵・折り紙など創作活動実施。
  3階:重度介護度専門棟。自立度は低いが、共同作業を促す交流環境が有効である。塗り絵など創作活動実施。
  4階:自立度が高く、身体機能も比較的維持。運動刺激が効果的な環境である。風船バレーなど身体活動実施。
4)実施頻度・時間:各階週1回、30分
5)業務調整:リハビリスタッフの業務に組み込み、活動時間を確保した。
6)参加可能人数:2階:7名、3階:6名、4階:4名
7)参加率:体調不良等を考慮し、80%を目標とした。
8)導入方法:試験的に実施後、改善を加えた上で導入した。
【結果】 
・中間評価時(期間:2024/5/22~5/29)
 2階92.9%、3階100%の参加率を達成し、目標参加率80%を上回った。しかし、4階は体調不良や家族面会、退所等により参加率が75%と目標を達成できなかった。これを受けて、活動時間の再調整や対象者の見直しを行った。
・最終評価時(期間 2024/7/17~7/29)
 全フロアで参加率100%を達成することができた。活動の実施による付随効果として、参加者同士のコミュニケーションが増え、離床時間が延長された。特に、以前は離床を拒否していた入所者が活動後に水分補給の時間を共有することで、離床時間が増加した。また、「今日は運動するんか?」といった参加意欲を見せる声も増え、活動への期待感が高まった。療養棟スタッフの誘導協力も得られ、療養棟の一体感が増したことで、さらに活動の進行がスムーズになった。
【考察】
 小集団活動の導入は、入所者にとって有意義な活動の機会となり、主体的な参加意識を引き出す効果があった。特に、身体機能の低下により活動が制限されている入所者でも、集団で行う活動は、他の参加者との関わりを通じて楽しみを感じることができるため、主体的な関わりを促す有意義な機会となったと考えられる。活動内容については、創作活動や風船バレーといった比較的負担の少ない内容を選択することで、身体的な負担を軽減しつつ、楽しさと達成感、継続性を提供できた点が成功の要因として挙げられる。
 加えて活動を通じて療養棟スタッフとの協力体制が構築され、利用者の情報共有の強化がなされた。施設全体の雰囲気も明るく、活気が増した。これにより、入所者にとっても活動がより意味のあるものとなり、個別に寄り添った支援が実現できた。
 一方で、4階フロアの参加率が目標未達成となった要因には、体調不良や入退所による参加利用者の変動が、他の階よりも多いことが影響していたことが考えられる。今後は、活動を行うタイミングや、対象者の健康状態をより細かくモニタリングし、柔軟な対応が求められる。また、活動の時間帯や内容の見直しを随時行い、すべての入所者が安定して参加できるような体制を作ることが今後の課題である。
【結論】
 小集団活動を導入することにより、活動の参加率が高まり、入所者同士のコミュニケーションが活性化し、離床時間の増加などの付随効果も確認された。今後は、活動内容の見直しやスタッフ間の協力をさらに強化し、定着化を図ることが重要である。継続的な評価と改善を行い、より良い支援を提供できるよう努めていきたい。