講演情報

[27-O-L011-04]HAL腰タイプ自立支援用を用いた治療効果について運動機能・認知機能に着目して

岡山県 森本 沙織, 伊勢 眞樹 (介護老人保健施設福寿荘)
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【はじめに】高齢社会を迎えた我が国において,認知症に対する社会的関心は高く,その中で高齢者の運動療法や認知症のリハビリテーション(以下リハ)に対し様々な文献で効果が報告されている.認知症はリハを実施する際の阻害因子ともされ,言語提示による「教示が入らない」ことが苦慮要因のひとつとなっている.この度,HAL腰タイプ自立支援用(以下腰HAL)を使用し週に2回の頻度で合計10回,HALトレーニングと歩行練習または,立位での足踏みの運動を組み合わせた練習を実施した.その中で運動機能及び認知機能に改善を認めた19例についてまとめ,今後の課題を加え報告する.【対象と方法】2024年10月から2025年4月までに実施した19例(男性:3例,女性16例,平均年齢89.1±5.6歳,平均介護度2.9,平均実施日数39日).週に2回の頻度で合計10回HALトレーニング(1.骨盤前後傾 2.体幹前後屈 3.起立動作 4.スクワット)と歩行練習または,立位での足踏みの運動を組み合わせて実施.開始前と10回目の終了時評価として1分間立ち上がりテスト,10m歩行時間,Time up & go test(TUG),Frontal Assessment Battery(FAB),Mini-Mental State Examination (MMSE)を計測し比較した.なお,対象者には書面にて同意を頂いた.【結果】10m歩行時間では8例が短縮しTUGでは12例が短縮,1分間立ち上がりテストでは12例の回数の増加がみられた.FABでは7例,MMSEでは7例の数値の改善を認めた.19例中,運動機能に17例の改善を認め,認知機能では12例の改善を認めた.なお,11例は運動機能,認知機能ともに改善を認めた.【考察】腰HALは運動機能の改善を目的に導入されることが多く,矢次らは慢性期の対象者に腰HALを使用し歩行速度,バランス能力に改善が見られたとしている1).この度の症例に関してもHALトレーニングが運動機能に関与し10m歩行,TUG,1分間立ち上がりテストの結果に改善につながったと考える.また,三浦らは脳・神経系と身体と腰HALとの間でおこるインタラクティブなバイオフィードバックによりエラーレスループが正しい運動の学習を促進することでリハビリの効果を徒手的リハと比較して飛躍的に高めうることが期待できるとしている2).腰HALを用いて正しい運動学習が行えた結果,運動機能の改善につながったと考える.また,HALトレーニングは4つの動作を1セット10~20回で実施し,同一テンポで行えるトレーニングとなっており,規則性をもって繰り返す音や拍子には人間の鼓動に近いものがあり,安心して受け入れやすいという心理的要素がある.そのことが認知機能の低下している症例に対してもHALトレーニングを受け入れやすいものとしていると考える.さらに,久保田は下肢を動かすことで脳循環が賦活され精神機能が活発する仕組みを示唆している.HALトレーニングで下肢を動かすことで脳の活性化のみならず足底からの感覚刺激が大脳の下肢の運動野に刺激を与え,前頭連合野へ刺激が波及されFAB,MMSEの改善を認めたと考えた3)4).今後の取り組みとして,施設内での腰HALの普及や治療の継続,認知症・高次脳機能障害(注意障害,失語症)の利用者への治療展開を報告していきたいと考える.【文献】1)矢次彩,森下登史,千住緒美ら:福井大学病院における外来HALリハビリテーションの現状と効果について.第52回理学療法学術大会抄録集Voll.44Suppl.No.2DOI:10149000/cjpt.2016.08442)三浦紘世,山崎正志:廃用症候群患者のADL 向上に向けらHAL腰タイプを用いたロボットリハビリテーションの安全性および有効性の検討―他施設前向き介入試験―3)久保田競(2002)「運動と前頭前皮質」「体育の科学」52(12):934-414)寺岡剛,青木邦男:認知症高齢者に対する運動療法の介入効果に関する文献研究