講演情報
[27-O-L012-02]QOLの向上を目指した作業活動
三重県 ○各務 裕章 (介護老人保健施設アルテハイム鈴鹿)
【はじめに】
当施設では、以前より「作業活動を通して心身機能の向上」や「施設内生活での楽しみの時間の提供」を目的にリハビリテーションにて作業活動を提供していた。COVIT-19流行の影響で作業活動などの小集団の環境下での個別アプローチの自粛、フロアスタッフ主体でのレクリエーションなどの集団での活動が減少していった。日中居室のベッドでの臥床時間の増加、テレビを見て過ごされる方が増え活動性の低下や認知症の進行が懸念された。田中繁弥(2017、2021)の認知症者の集団アプローチの研究では、認知機能、社会的活動、QOLの改善が認めたとある。そこで当施設では上記の目的と共に「日中の活動量の減少」「認知機能の進行」の改善するために週3回個別リハビリテーション(加算対象者を含む)のうち、週1回を作業活動とすることを了承された8名に小集団の環境下での作業療法士と参加者と1対1での活動の場(個別リハビリ)を設ける。作業療法士が個々に応じた作業環境・使用物品・作業工程を選択し提供していった。また、長期間の施設生活や高齢化に伴う抑うつ症状の変化に着目し、PGCモラールスケール・GDS15の評価を行い変化があるか検証した。
【方法】
1.対象者
・当施設認知症フロアの入所者36名から、(1)作業活動を了承し継続して参加が可能な8名(下記:評価対象者6名)
2.評価項目
・長谷川式認知症スケール(以下HDS-R)、・vitality index(以下VI)・PGCモラールスケール・GDS15
3.介入内容
週1回、曜日・時間を決め行った。1人に対して個別対応20分程度介入。
開始時、始まりの挨拶・日付の確認・季節の事柄の話題を紹介、活動の説明を行っていく。同じテーブルで活動を行う環境下で各参加者に1人作業療法士が付き、個別アプローチを行っていく。
・創作活動:季節ごとの作品作り(ちぎり絵・お花紙・編み物などを併用)。1~2カ月かけて制作していく。参加者の能力に合わせて作業工程を分担し、1つの作品を制作していく。
・習字:月初めの週に実施。(参加者の馴染みの活動を選択し拒否なく参加して頂く。)季節の事柄を主とした見本を4~5種類用意。各見本の字を見ていき、日付や季節の変化を知って頂く。
4.介入期間
令和7年4月1日~10月31日
【統計手法】
・統計解析は対応のあるt検定を用いて、有意水準は5%とした。
【結果】
・初回評価(R7年4月)
HDS-Rについて、介入前の平均は13.33点。(20点以下が認知症の疑いあり)
VIについて、介入前の平均は8点。(カットオフ値7点)
PCGモラールスケールについて、介入前の平均は8.5点。(基準値8~15点)
GDS15について、介入前の平均は7点。(5点以上がうつ傾向、10点以上がうつ状態)
(評価は3ヵ月ごとに実施し、最終評価R7年10月実施。)
【考察】
初回評価では、HDS-Rで13.33点と認知症の疑いあり、GDS15で7点とうつ傾向が確認された。
今回の取り組みにより、作業活動に参加された入所者から「今日は習字をした」、「疲れたけど楽しかった」、「またしたい」等の喜びの声が聞かれ、活動の日には「今日は活動でしょ」と声をかける前に活動の場に移動されており日付や時間に関しての見当識の向上や習慣化が確認された。
また、創作活動を通して出来上がった作品をフロアの壁に展示する事で、準備・制作に関わることで達成感や満足感に繋がり、共に協力して作品を完成させたことによる連帯感・交流の拡大が確認できた。
介入初期は参加者と作業療法士との交流が中心となり参加者同士の交流が少なかった。環境を集団にすることで、参加者個人への作業負担の軽減を図ると共に、作業の場を共有し他参加者との関わる機会を増やしていった。創作活動で作品が出来上がっていく中で、「あんた、上手やね」「もう、そんなに出来たん」と参加者間で作業内容を褒め合う場面や、「あれ、もう少しで出来そうやな」「あれ、作るの大変やったね」と作業活動時間外でも作業活動の事を話題に会話をしている場面が聞かれ、初期に比べて参加者同時の交流の拡大や連帯感・親密性の向上が確認できた。
また、作業療法士が作業活動を個別リハビリで介入することで、その都度個々の参加者の上肢機能や巧緻性の評価を行うことが出来、能力の変化に応じて作業内容・難易度の調整が行っていく事で失敗体験を防ぎ、成功体験へと繋げていくことができる。参加者からも出来上がった作品を見て「きれいやな~」「私たちで作ったん」等、笑顔で話をされる場面が見られ、自身の獲得につながったと考える。そして、作業を進めていく中で参加者の巧緻性・集中力の向上が確認でき、その都度難易度の調整を行っていった。
今後の展望として、提供する作業活動の難易度の調整、役割の明確化、創作活動を通して季節が感じ取れるものが良いのではないかと考える。また、園芸活動などの屋外での活動を新たに取り入れ活動の場を広げていきたい。今回の取り組みでは参加された入所者からの喜びの声や反応がみられたため、我々スタッフ一同も改めて作業活動の重要性を感じ取ることができ、今後も継続し入所者のQOLの向上に努めていきたい。
当施設では、以前より「作業活動を通して心身機能の向上」や「施設内生活での楽しみの時間の提供」を目的にリハビリテーションにて作業活動を提供していた。COVIT-19流行の影響で作業活動などの小集団の環境下での個別アプローチの自粛、フロアスタッフ主体でのレクリエーションなどの集団での活動が減少していった。日中居室のベッドでの臥床時間の増加、テレビを見て過ごされる方が増え活動性の低下や認知症の進行が懸念された。田中繁弥(2017、2021)の認知症者の集団アプローチの研究では、認知機能、社会的活動、QOLの改善が認めたとある。そこで当施設では上記の目的と共に「日中の活動量の減少」「認知機能の進行」の改善するために週3回個別リハビリテーション(加算対象者を含む)のうち、週1回を作業活動とすることを了承された8名に小集団の環境下での作業療法士と参加者と1対1での活動の場(個別リハビリ)を設ける。作業療法士が個々に応じた作業環境・使用物品・作業工程を選択し提供していった。また、長期間の施設生活や高齢化に伴う抑うつ症状の変化に着目し、PGCモラールスケール・GDS15の評価を行い変化があるか検証した。
【方法】
1.対象者
・当施設認知症フロアの入所者36名から、(1)作業活動を了承し継続して参加が可能な8名(下記:評価対象者6名)
2.評価項目
・長谷川式認知症スケール(以下HDS-R)、・vitality index(以下VI)・PGCモラールスケール・GDS15
3.介入内容
週1回、曜日・時間を決め行った。1人に対して個別対応20分程度介入。
開始時、始まりの挨拶・日付の確認・季節の事柄の話題を紹介、活動の説明を行っていく。同じテーブルで活動を行う環境下で各参加者に1人作業療法士が付き、個別アプローチを行っていく。
・創作活動:季節ごとの作品作り(ちぎり絵・お花紙・編み物などを併用)。1~2カ月かけて制作していく。参加者の能力に合わせて作業工程を分担し、1つの作品を制作していく。
・習字:月初めの週に実施。(参加者の馴染みの活動を選択し拒否なく参加して頂く。)季節の事柄を主とした見本を4~5種類用意。各見本の字を見ていき、日付や季節の変化を知って頂く。
4.介入期間
令和7年4月1日~10月31日
【統計手法】
・統計解析は対応のあるt検定を用いて、有意水準は5%とした。
【結果】
・初回評価(R7年4月)
HDS-Rについて、介入前の平均は13.33点。(20点以下が認知症の疑いあり)
VIについて、介入前の平均は8点。(カットオフ値7点)
PCGモラールスケールについて、介入前の平均は8.5点。(基準値8~15点)
GDS15について、介入前の平均は7点。(5点以上がうつ傾向、10点以上がうつ状態)
(評価は3ヵ月ごとに実施し、最終評価R7年10月実施。)
【考察】
初回評価では、HDS-Rで13.33点と認知症の疑いあり、GDS15で7点とうつ傾向が確認された。
今回の取り組みにより、作業活動に参加された入所者から「今日は習字をした」、「疲れたけど楽しかった」、「またしたい」等の喜びの声が聞かれ、活動の日には「今日は活動でしょ」と声をかける前に活動の場に移動されており日付や時間に関しての見当識の向上や習慣化が確認された。
また、創作活動を通して出来上がった作品をフロアの壁に展示する事で、準備・制作に関わることで達成感や満足感に繋がり、共に協力して作品を完成させたことによる連帯感・交流の拡大が確認できた。
介入初期は参加者と作業療法士との交流が中心となり参加者同士の交流が少なかった。環境を集団にすることで、参加者個人への作業負担の軽減を図ると共に、作業の場を共有し他参加者との関わる機会を増やしていった。創作活動で作品が出来上がっていく中で、「あんた、上手やね」「もう、そんなに出来たん」と参加者間で作業内容を褒め合う場面や、「あれ、もう少しで出来そうやな」「あれ、作るの大変やったね」と作業活動時間外でも作業活動の事を話題に会話をしている場面が聞かれ、初期に比べて参加者同時の交流の拡大や連帯感・親密性の向上が確認できた。
また、作業療法士が作業活動を個別リハビリで介入することで、その都度個々の参加者の上肢機能や巧緻性の評価を行うことが出来、能力の変化に応じて作業内容・難易度の調整が行っていく事で失敗体験を防ぎ、成功体験へと繋げていくことができる。参加者からも出来上がった作品を見て「きれいやな~」「私たちで作ったん」等、笑顔で話をされる場面が見られ、自身の獲得につながったと考える。そして、作業を進めていく中で参加者の巧緻性・集中力の向上が確認でき、その都度難易度の調整を行っていった。
今後の展望として、提供する作業活動の難易度の調整、役割の明確化、創作活動を通して季節が感じ取れるものが良いのではないかと考える。また、園芸活動などの屋外での活動を新たに取り入れ活動の場を広げていきたい。今回の取り組みでは参加された入所者からの喜びの声や反応がみられたため、我々スタッフ一同も改めて作業活動の重要性を感じ取ることができ、今後も継続し入所者のQOLの向上に努めていきたい。
