講演情報
[27-O-L012-03]デイケアご利用者様のQOL向上を目指してできること
島根県 ○住田 菜月, 小林 泰喜, 松崎 真也 (介護老人保健施設昌寿苑)
【はじめに】
当通所リハビリテーション(以下デイケア)をご利用いただいている方の中には、リハビリの目標が身体機能の向上に偏り、日常生活に即した生活目標の設定に至らないケースも見受けられる。
今回、改めて具体的な活動や生活目標の設定と支援方法について見直す必要があると考えた。
【目的】
本研究は生活行為向上マネジメントを基にご利用者様に合わせたhopeの聞き出し方や支援内容・方法を検討し、生活の質(以下:QOL)向上につながる介入方法を明確にすることにより職員の支援力向上に貢献することを目的とした。
【対象と方法】
1.研究対象
対象は当デイケアを週2回ご利用中の80代男性。バルーン留置し要介護度は3であり、既往歴に小脳出血、アルツハイマー型認知症、2型糖尿病がある。介入当時のBarthalIndex合計点は60点であった。
カートを押す、もしくは杖歩行であれば妻とスーパーで買い物や近隣への散歩等に出かけることが可能だがデイケア利用日以外は終日テレビをみて過ごし、活動が少ないご利用者様1名を対象症例とした。
2.方法
上記対象者に対して下記評価、介入を行い症例検討した。
対象期間は2025/4/14~2025/7/4の約3か月間とし、評価内容としては、E-SAS、EuroQOL(EQ-5D-3L)、やる気スコア、長谷川式認知症スケール、MMSE、対象者及びご家族への聴取である。実際に行った支援として、ホームセンターへの外出訓練やデイケアでのプランター栽培を行った。また、毎月1回のリハビリテーション会議(以下:リハ会議)を通し対象者及びご家族の主訴を都度確認してから実際にできる活動等を提供し、在宅生活での活動目標を細かく設定していくことを行った。
【結果】
1.E-sas
項目結果を初期と最終で比較し、レーダーチャートに示した。(図1)
“生活の広がり”では12.5点から32点と大幅に改善を認めたが、それ以外の評価項目では結果に差は現れなかった。
2.EuroQol(EQ‐5D‐3L)
移動の程度では「問題はない」から「いくらか問題がある」に変化していた。
3.やる気スコア
初期評価では27点だが、最終評価では17点となった。
4.長谷川式認知症スケール
初期評価では20点だが、最終評価では25点となった。
5.MMSE
初期評価では19点だが、最終評価では22点となった。
6.対象者及びご家族への聴取
対象者にリハビリ介入時や運動中等に一番やりたいことややりがいを聴いても「なにもない」「もうこの身体ではなにもできない」と訴えは引き出せなった。リハビリ介入終了後、1対1で静かな環境の中で聴取すると、畑がやりたいとの訴えを聴くことが出来た。
ご家族にリハ会議中に実際に行っている活動は何か聴取した結果、初期評価時は「月1回一緒に買い物に出かけるかどうか」、「散歩には怖くて行けない」との発言があったが、最終評価時には「ほぼ毎週買い物に出かけている」、「自分が休みの日は近所に散歩に出かけている」等の発言があった。市内に買い物に出かけることや、近所に散歩に出かけることなど、今回の介入期間で妻と外出する機会が増加している。
【考察】
疾病を患ってから、デイケア利用日以外は自宅に引きこもるようになっていた対象者は自身のやりがいや生きがいを見つけ出せずにいた。だが、時間をかけその方に合った聴取の仕方を探りながら対象者との1対1の面談やリハ会議時のご家族への聴取等を行い、畑が一番やりたいことだと分かった。しかし、畑というやりがいを自宅でも実施することは難しいと考え、説明、同意を得てプランター栽培を目標に設定し、当デイケアで練習をすることとした。
初めは疾患による身体の不自由さから自身が何か活動に参加すること自体否定的であったが、やりがいを見つけたことで在宅での実践に向け、デイケア内でも自宅内でも積極的に動くようになった。さらにリハ会議の実施により、ご家族やケアマネージャーとも密に連携をとることが出来たためデイケアご利用中の活動量と、自宅内での活動量に大きな差はなく経過したと考える。
E-sasの結果から、生活の広がりが大幅に改善されたことは、ご家族と買い物に出ることや外出する機会が格段に増えたからだと考える。デイケアご利用中に実際に近隣のホームセンターへ外出訓練を行い、その結果をご家族へ当日の様子を写真に現像しフィードバックしたため、本人だけでなくご家族の外出への自信につながったのではないかと考える。
さらに、EuroQolの結果から、移動の程度で変化が生じた理由として、屋外で移動する機会が以前より多くなったため、長距離の移動や買い物に出た際の、何かを持ちながら移動することに対しての不安感が生じたのではないかと考えた。現在、妻との買い物の際はカートを押しながら店内を回っている。実際に、長距離の杖歩行は突進様、小刻みが著明となり転倒リスクが高くなることを対象者も自覚している。
一方、やる気スコアの結果から、意欲の向上を認めた。以前は、日中はテレビを見て過ごしていたが、デイケアご利用中のプランター栽培や外出訓練により在宅でも畑や外出に対する意欲が向上したと考えた。実際に、以前は「もう何もできない」等のネガティブな発言が聞かれたが、現在は「次はこれせんといけん」等のポジティブな発言を多く聞かれるようになった。ご家族からも「デイケアを楽しみにしている」とのお言葉をいただいた。
この3カ月間で、ご家族に対しリハ会議で活動の進捗状況を細かく報告し、現時点ではここまでできるということをお知らせした。その結果、ご家族にとっても対象者が活動できるという安心感や自信につながり、在宅生活でも活動的になったと考える。主介護者である妻は元々対象者との活動に対し協力的であったが、心身の負担とならないように簡単なことを少しずつ提案していくことを意識した。今後も今回のケースのように対象者、ご家族と連携を取り合いQOL向上のために活動支援していく必要があると感じた。
当通所リハビリテーション(以下デイケア)をご利用いただいている方の中には、リハビリの目標が身体機能の向上に偏り、日常生活に即した生活目標の設定に至らないケースも見受けられる。
今回、改めて具体的な活動や生活目標の設定と支援方法について見直す必要があると考えた。
【目的】
本研究は生活行為向上マネジメントを基にご利用者様に合わせたhopeの聞き出し方や支援内容・方法を検討し、生活の質(以下:QOL)向上につながる介入方法を明確にすることにより職員の支援力向上に貢献することを目的とした。
【対象と方法】
1.研究対象
対象は当デイケアを週2回ご利用中の80代男性。バルーン留置し要介護度は3であり、既往歴に小脳出血、アルツハイマー型認知症、2型糖尿病がある。介入当時のBarthalIndex合計点は60点であった。
カートを押す、もしくは杖歩行であれば妻とスーパーで買い物や近隣への散歩等に出かけることが可能だがデイケア利用日以外は終日テレビをみて過ごし、活動が少ないご利用者様1名を対象症例とした。
2.方法
上記対象者に対して下記評価、介入を行い症例検討した。
対象期間は2025/4/14~2025/7/4の約3か月間とし、評価内容としては、E-SAS、EuroQOL(EQ-5D-3L)、やる気スコア、長谷川式認知症スケール、MMSE、対象者及びご家族への聴取である。実際に行った支援として、ホームセンターへの外出訓練やデイケアでのプランター栽培を行った。また、毎月1回のリハビリテーション会議(以下:リハ会議)を通し対象者及びご家族の主訴を都度確認してから実際にできる活動等を提供し、在宅生活での活動目標を細かく設定していくことを行った。
【結果】
1.E-sas
項目結果を初期と最終で比較し、レーダーチャートに示した。(図1)
“生活の広がり”では12.5点から32点と大幅に改善を認めたが、それ以外の評価項目では結果に差は現れなかった。
2.EuroQol(EQ‐5D‐3L)
移動の程度では「問題はない」から「いくらか問題がある」に変化していた。
3.やる気スコア
初期評価では27点だが、最終評価では17点となった。
4.長谷川式認知症スケール
初期評価では20点だが、最終評価では25点となった。
5.MMSE
初期評価では19点だが、最終評価では22点となった。
6.対象者及びご家族への聴取
対象者にリハビリ介入時や運動中等に一番やりたいことややりがいを聴いても「なにもない」「もうこの身体ではなにもできない」と訴えは引き出せなった。リハビリ介入終了後、1対1で静かな環境の中で聴取すると、畑がやりたいとの訴えを聴くことが出来た。
ご家族にリハ会議中に実際に行っている活動は何か聴取した結果、初期評価時は「月1回一緒に買い物に出かけるかどうか」、「散歩には怖くて行けない」との発言があったが、最終評価時には「ほぼ毎週買い物に出かけている」、「自分が休みの日は近所に散歩に出かけている」等の発言があった。市内に買い物に出かけることや、近所に散歩に出かけることなど、今回の介入期間で妻と外出する機会が増加している。
【考察】
疾病を患ってから、デイケア利用日以外は自宅に引きこもるようになっていた対象者は自身のやりがいや生きがいを見つけ出せずにいた。だが、時間をかけその方に合った聴取の仕方を探りながら対象者との1対1の面談やリハ会議時のご家族への聴取等を行い、畑が一番やりたいことだと分かった。しかし、畑というやりがいを自宅でも実施することは難しいと考え、説明、同意を得てプランター栽培を目標に設定し、当デイケアで練習をすることとした。
初めは疾患による身体の不自由さから自身が何か活動に参加すること自体否定的であったが、やりがいを見つけたことで在宅での実践に向け、デイケア内でも自宅内でも積極的に動くようになった。さらにリハ会議の実施により、ご家族やケアマネージャーとも密に連携をとることが出来たためデイケアご利用中の活動量と、自宅内での活動量に大きな差はなく経過したと考える。
E-sasの結果から、生活の広がりが大幅に改善されたことは、ご家族と買い物に出ることや外出する機会が格段に増えたからだと考える。デイケアご利用中に実際に近隣のホームセンターへ外出訓練を行い、その結果をご家族へ当日の様子を写真に現像しフィードバックしたため、本人だけでなくご家族の外出への自信につながったのではないかと考える。
さらに、EuroQolの結果から、移動の程度で変化が生じた理由として、屋外で移動する機会が以前より多くなったため、長距離の移動や買い物に出た際の、何かを持ちながら移動することに対しての不安感が生じたのではないかと考えた。現在、妻との買い物の際はカートを押しながら店内を回っている。実際に、長距離の杖歩行は突進様、小刻みが著明となり転倒リスクが高くなることを対象者も自覚している。
一方、やる気スコアの結果から、意欲の向上を認めた。以前は、日中はテレビを見て過ごしていたが、デイケアご利用中のプランター栽培や外出訓練により在宅でも畑や外出に対する意欲が向上したと考えた。実際に、以前は「もう何もできない」等のネガティブな発言が聞かれたが、現在は「次はこれせんといけん」等のポジティブな発言を多く聞かれるようになった。ご家族からも「デイケアを楽しみにしている」とのお言葉をいただいた。
この3カ月間で、ご家族に対しリハ会議で活動の進捗状況を細かく報告し、現時点ではここまでできるということをお知らせした。その結果、ご家族にとっても対象者が活動できるという安心感や自信につながり、在宅生活でも活動的になったと考える。主介護者である妻は元々対象者との活動に対し協力的であったが、心身の負担とならないように簡単なことを少しずつ提案していくことを意識した。今後も今回のケースのように対象者、ご家族と連携を取り合いQOL向上のために活動支援していく必要があると感じた。

