講演情報
[27-O-MB02-04]ケアマネジメント体制の強化~ケアがつながるチームの力~
群馬県 ○下藤 初代, 閑 裕樹, 猪瀬 佳子, 須藤 一樹, 高橋 真紀, 高玉 真光 (群馬老人保健センター陽光苑)
はじめに
当施設では、利用者一人ひとりの「その人らしい暮らし」を支えるケアの実現に向けて、ケアプランをサービス提供の原点と位置づけている。
平成23年4月にR4システムを導入し、入所の目的や自立支援の目標を明確にする仕組みを整えた。
施設の兼務ケアマネが中心となり、多職種と連携しながらケアプランの作成と運用を行う体制を構築してきた。
背景と目的
看護・介護職員が各利用者の担当を持ちケアプランの骨子を作成している。
平成26年11月には、ケアマネ資格を持たない10年以上の中堅職員を対象に「ケアプラン推進員」に任命した。これは、利用者に最も近い立場にある職員が入所から退所後の生活までを見据えた視点で支援に関わることの重要性に着目した取組である。
推進員は、担当グループ内の職員にケアプランの骨子を作成するための指導を行っている。さらに、令和5年11月には、専任のケアマネ科長を配置した「ケアマネ科」を新設。兼務ケアマネや推進員の統括を通じ、ケアマネジメントの体制強化とケアプランの実効性向上を図る組織体制の整備が目的であった。
取組の概要と成果
1)カンファレンスの定着と開催要領の導入
週2回午後に開催していたカンファレンスは、時間帯を午前に変更した。介護職員をはじめとする多職種が参加しやすくなり出席率が向上した。さらにカンファレンスの目的や進行手順を文章化して「開催要領」として整備し、ケアマネによる進行の統一化を図った。
結果として、会議の質は向上し、利用者のニーズを多角的に捉える話合いが可能となった。
2)ケアマネ運営会議新設
ケアマネの知識やスキル向上を目的としたケアマネ運営会議を設置。加算や制度の動向を含めケアマネ同士でケアプランの考え方や表現の統一、施設・地域を取り巻く環境に関する情報共有を行い、支援の一貫性が高まった。
3)ケアマネ業務の役割分担と会議の体制整備
ケアマネ業務・推進員の業務効率化と責任の明確化を目的に、「ケアマネ分掌業務」「ケアプラン推進員役割分担」を策定した。
また、各加算に関係する会議の主催などを各ケアマネに役割を与え分担した。ケアプランの変更が必要な場合にはカンファレンスを開催し、ケアプランの内容を見直す体制も整えた。これにより、変更内容が速やかにサービスに反映される運用が定着しつつある。
4)多職種参加型「ケア方向性会議」新設
月1回、利用者の在宅復帰に向けたリハビリの進捗、退所後の生活環境整備、訪問指導の時期や内容について、多職種で具体的な話し合いを行っている。
会議に参加できなかった職員には、議事録や介護ソフトを用いて情報共有を行い、職員全体で利用者の方向性を共有する仕組みを構築した。
5)LIFE評価項目を意識した「利用者アセスメントシート」導入
当苑では、評価ツールとして、ICFに基づく、R4システム「ICFステージングシート」を活用している。
今回、LIFE評価項目を意識した当苑独自の「利用者アセスメントシート」を作成し導入した。これにより、入所時からケアプラン見直しの時点における状態変化を比較でき、利用者の状態像を多職種で共通の認識とすることが可能となった。
アセスメントは、ケアの振り返りや見直しにも活用され、質の高いサービスの提供につながっている。
こうした一連の取組によって、会議が形だけでなく実のある会議となり、職種を超えた「つながり」を育みながら、利用者一人ひとりに応じた在宅復帰支援が実現しつつある。
ケアマネはその中核としてリーダーシップを発揮し業務にあたっており、職員間の連携や意思疎通が自然と生まれるようになった。特に若い職員によっては、他職種の視点に触れながら、自身の役割を理解し深める学びの場ともなっており、人材育成という側面でも一定の成果が上がっている。
考察
今回の取組を通じて、ケアマネジメントの質を高めるには、「共通の目標」「共通のツール」「共通の対話の場」という3つの柱が重要であることが明らかになった。
多職種はそれぞれの専門性を活かしながら、利用者一人ひとりの生活の全体像を捉え、支援の方向性を揃えるには、共通の土台が必要であった。
ICFステージングやLIFE評価項目といった共通言語を活用することで、利用者の状態や変化を客観的に捉えやすくなり、支援の見直しや方針決定がスムーズに行えている点は大きな成果である。
また、会議体制の整備によって、ケアマネが多職種連携の調整役として機能することで、支援方針の統一が図れた。会議の目的を共有し、進行方法を標準化したことで、会議そのものが、「話し合うための場」から「ケアを前に進める場」へと変化している。職員同士の対話の質が高まり、それぞれの利用者の生活に主体的に関わる意識も育まれてきた。こうしたこたでチームケアとして支援の方向性に統一感が出てきた。
さらに、在宅復帰支援という老健の役割を見据えたうえでも、今回の会議体制と評価ツールの連動は有効であった。リハビリの進捗、退所後の生活設計、訪問支援の調整など具体的に話合いができる場があることで、施設ケアと在宅生活の接続が現実的かつ具体的なものとなった。
今後は、以上の取組を施設内にとどめず、地域関係者や居宅サービ事業所、家族とも共有し連携強化して行く必要がある。職員一人ひとりが自分の役割を理解し、相互に尊重し合いながらつながる支援を続けていくことが、今後の課題であり、可能性でもある。
まとめ
会議体制の整備と評価ツールの活用により、ケアマネジメントの質が向上し、多職種連携による在宅復帰支援が強化された。
ケアマネが中心となることで、チームの方向性が統一され、実効性ある支援体制が構築された。今後も地域と連携しながら、質の高い支援を継続していきたい。
当施設では、利用者一人ひとりの「その人らしい暮らし」を支えるケアの実現に向けて、ケアプランをサービス提供の原点と位置づけている。
平成23年4月にR4システムを導入し、入所の目的や自立支援の目標を明確にする仕組みを整えた。
施設の兼務ケアマネが中心となり、多職種と連携しながらケアプランの作成と運用を行う体制を構築してきた。
背景と目的
看護・介護職員が各利用者の担当を持ちケアプランの骨子を作成している。
平成26年11月には、ケアマネ資格を持たない10年以上の中堅職員を対象に「ケアプラン推進員」に任命した。これは、利用者に最も近い立場にある職員が入所から退所後の生活までを見据えた視点で支援に関わることの重要性に着目した取組である。
推進員は、担当グループ内の職員にケアプランの骨子を作成するための指導を行っている。さらに、令和5年11月には、専任のケアマネ科長を配置した「ケアマネ科」を新設。兼務ケアマネや推進員の統括を通じ、ケアマネジメントの体制強化とケアプランの実効性向上を図る組織体制の整備が目的であった。
取組の概要と成果
1)カンファレンスの定着と開催要領の導入
週2回午後に開催していたカンファレンスは、時間帯を午前に変更した。介護職員をはじめとする多職種が参加しやすくなり出席率が向上した。さらにカンファレンスの目的や進行手順を文章化して「開催要領」として整備し、ケアマネによる進行の統一化を図った。
結果として、会議の質は向上し、利用者のニーズを多角的に捉える話合いが可能となった。
2)ケアマネ運営会議新設
ケアマネの知識やスキル向上を目的としたケアマネ運営会議を設置。加算や制度の動向を含めケアマネ同士でケアプランの考え方や表現の統一、施設・地域を取り巻く環境に関する情報共有を行い、支援の一貫性が高まった。
3)ケアマネ業務の役割分担と会議の体制整備
ケアマネ業務・推進員の業務効率化と責任の明確化を目的に、「ケアマネ分掌業務」「ケアプラン推進員役割分担」を策定した。
また、各加算に関係する会議の主催などを各ケアマネに役割を与え分担した。ケアプランの変更が必要な場合にはカンファレンスを開催し、ケアプランの内容を見直す体制も整えた。これにより、変更内容が速やかにサービスに反映される運用が定着しつつある。
4)多職種参加型「ケア方向性会議」新設
月1回、利用者の在宅復帰に向けたリハビリの進捗、退所後の生活環境整備、訪問指導の時期や内容について、多職種で具体的な話し合いを行っている。
会議に参加できなかった職員には、議事録や介護ソフトを用いて情報共有を行い、職員全体で利用者の方向性を共有する仕組みを構築した。
5)LIFE評価項目を意識した「利用者アセスメントシート」導入
当苑では、評価ツールとして、ICFに基づく、R4システム「ICFステージングシート」を活用している。
今回、LIFE評価項目を意識した当苑独自の「利用者アセスメントシート」を作成し導入した。これにより、入所時からケアプラン見直しの時点における状態変化を比較でき、利用者の状態像を多職種で共通の認識とすることが可能となった。
アセスメントは、ケアの振り返りや見直しにも活用され、質の高いサービスの提供につながっている。
こうした一連の取組によって、会議が形だけでなく実のある会議となり、職種を超えた「つながり」を育みながら、利用者一人ひとりに応じた在宅復帰支援が実現しつつある。
ケアマネはその中核としてリーダーシップを発揮し業務にあたっており、職員間の連携や意思疎通が自然と生まれるようになった。特に若い職員によっては、他職種の視点に触れながら、自身の役割を理解し深める学びの場ともなっており、人材育成という側面でも一定の成果が上がっている。
考察
今回の取組を通じて、ケアマネジメントの質を高めるには、「共通の目標」「共通のツール」「共通の対話の場」という3つの柱が重要であることが明らかになった。
多職種はそれぞれの専門性を活かしながら、利用者一人ひとりの生活の全体像を捉え、支援の方向性を揃えるには、共通の土台が必要であった。
ICFステージングやLIFE評価項目といった共通言語を活用することで、利用者の状態や変化を客観的に捉えやすくなり、支援の見直しや方針決定がスムーズに行えている点は大きな成果である。
また、会議体制の整備によって、ケアマネが多職種連携の調整役として機能することで、支援方針の統一が図れた。会議の目的を共有し、進行方法を標準化したことで、会議そのものが、「話し合うための場」から「ケアを前に進める場」へと変化している。職員同士の対話の質が高まり、それぞれの利用者の生活に主体的に関わる意識も育まれてきた。こうしたこたでチームケアとして支援の方向性に統一感が出てきた。
さらに、在宅復帰支援という老健の役割を見据えたうえでも、今回の会議体制と評価ツールの連動は有効であった。リハビリの進捗、退所後の生活設計、訪問支援の調整など具体的に話合いができる場があることで、施設ケアと在宅生活の接続が現実的かつ具体的なものとなった。
今後は、以上の取組を施設内にとどめず、地域関係者や居宅サービ事業所、家族とも共有し連携強化して行く必要がある。職員一人ひとりが自分の役割を理解し、相互に尊重し合いながらつながる支援を続けていくことが、今後の課題であり、可能性でもある。
まとめ
会議体制の整備と評価ツールの活用により、ケアマネジメントの質が向上し、多職種連携による在宅復帰支援が強化された。
ケアマネが中心となることで、チームの方向性が統一され、実効性ある支援体制が構築された。今後も地域と連携しながら、質の高い支援を継続していきたい。
