講演情報
[27-O-O003-02]利用者・家族の意見から見えるリスクマネジメントなぜ意見を表出できなかった・しなかったのか
神奈川県 ○肥塚 彩夏, 平田 麻都香, 山田 多美 (相模原ロイヤルケアセンター)
【目的】
「提供した介護保険施設サービスに関する入所者及びその家族からの苦情に、迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の『必要な措置』を講じなければならない」と運営基準にある。過去2年間に寄せられた利用者・家族の意見から、まだ表出されない・できない意見があるのではないかと考えた。このような意見を知ることで、支援相談員として取り組めるリスクマネジメントについて検討することを目的とした。
【方法】
1.対象1):令和6年6月時点で入所・ショートステイ・通所リハビリテーションを利用していた利用者・家族357名。
対象2):アンケート回答期間に在籍していた職員(介護士・看護師・リハビリ・管理栄養士・介護支援専門員・事務・車両)159名。
2.期間:対象1は令和6年7月12日にアンケート用紙を発送。対象2は令和6年7月23日アンケートを依頼。いずれも7月31日までの回答期限。
3.方法:アンケート。回答方法はQRコードの読み取り、もしくは施設に設置したボックスへ紙面にて投函。
アンケート内容:対象1)Q1当施設をご利用いただく中で「施設職員に伝えなかったこと、伝えられなかったこと」はありますか。例:ふと気になった/違和感があった/もやもやした/不思議に思ったなど。Q2「あり」の方:具体的な内容を教えてください。Q3その時、施設職員へ伝えなかった、伝えられなかったのはなぜですか。例:たいしたことではないと思った/誰に話したら良いか分からなかった。
対象2) Q1所属部署Q2下記の内容で利用者・家族へアンケートをしています。「当施設をご利用いただく中で「施設職員に伝えなかったこと、伝えられなかったこと」はありますか。例:ふと気になった/違和感があった/もやもやした/不思議に思ったなど」。職員の皆様は以下の質問をご回答ください。サービス提供の中で利用者・家族が質問内容のような思いを感じている、と思ったことはありますか。Q3「あり」の方:具体的な内容を教えてください。Q4下記の内容で利用者・家族へアンケートをしています。「『Q3の時』施設職員へ伝えなかった、伝えられなかったのはなぜですか。例:たいしたことではないと思った/誰に話したら良いか分からなかった」。職員の皆様は以下の質問をご回答ください。サービス提供の中で利用者・家族がQ3のようなことがあっても伝えない・伝えられなかったとしたらなぜだと思いますか。
4.分析方法:アンケートに記載された回答内容のまとまりごとに名称を付けた。
【成績】1.利用者・家族のアンケート回答率30%。Q1は「なし」91%、「あり」15%の回答であった。Q2の回答内容は「背中に跡がついて帰ってくる」「目ヤニがついている」「介助方法」など「ケア」に関すること、「関心が持てることがない」「面会時のエレベーター降下時に職員へ依頼が必要」「入浴やリハビリと時間が重なりカラオケができない」「血圧が低いため入浴中止が多い」など「サービス内容」に関すること、「利用者に対する言葉かけ」など「接遇」に関すること、「本人の様子を具体的に報告して欲しい」「本人の状態が良くない中、今後について聞かれた」「居室移動が本人に知らされていない」「施設からの連絡がない」など「コミュニケーション」に関することであった。Q3の回答内容は「まあいいか」「仕方がない」「組織の基準があるため伝えても変えられない」などの「あきらめ」。「注意しにくい」「忙しそう」などの「遠慮」。「誰に話したらいいかわからない」などの「体制」であった。職員のアンケート回答率は34.6%。Q2は「なし」76.4%、「あり」23.6%の回答であった。Q3の回答内容は「疑問があっても了承しないといけない雰囲気」「職員の説明や説得に利用者が諦めるような雰囲気」「職員が忙しそうで声をかけられない」「在宅復帰を考えていないが断れない」など「状況」に関すること、「強い口調」「説明時の言葉選び」など「接遇」に関すること、「入所日に退所の話をする」など「コミュニケーション」に関することであった。Q4の回答内容は「お世話になっている」「面倒かけたくない」などの「遠慮」。「話しかけづらい」「言えないような雰囲気」「誰に伝えたらいいのか分からない」「聞いてもらえない」などの「体制」。「相談する行為のハードルが高い」「もやもやするけれどこういうものかと思ってしまっている」「在宅復帰施設なので、言ったら退所しないといけない」「どのような質問をすればいいかわからない」「初対面で信頼関係がない」などの「抱いている思い」であった。
【考察】アンケート結果から 「施設職員に伝えなかったこと、伝えられなかったこと」について利用者・家族が回答した「ケア」や「サービス内容」に関することは、職員の回答には含まれていない意見であった。 利用者・家族と職員の意見の相違を認識することが必要だと考える。 「施設職員へ伝えなかった、伝えられなかったのはなぜか」について利用者・家族が回答した内容は、職員の接遇の至らなさやコミュニケーション力などの技術不足からくると考える。 また、伝えることをあきらめさせる、遠慮させてしまう状況や相談体制の不明瞭さについては、組織内で情報共有し、取り組めることを検討する必要性があると考える。 利用者・家族が「抱いている思い」を職員が想像し、その内容を共有していくことは、伝えない、伝えられない思いをくみ上げることにつながると考える。
【結論】 支援相談員は常に日々提供しているケアやサービス内容について、利用者・家族の立場に立ち、振り返ることが必要である。振り返りの中で気づいたこと、明らかになったことは施設で共有し、改善をはかることで伝えない、伝えられない思いに取り組める。そのことが、施設に対する利用者・家族の満足度を上げ、不信感や不満の軽減、リスクマネジメントにつながる。
「提供した介護保険施設サービスに関する入所者及びその家族からの苦情に、迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の『必要な措置』を講じなければならない」と運営基準にある。過去2年間に寄せられた利用者・家族の意見から、まだ表出されない・できない意見があるのではないかと考えた。このような意見を知ることで、支援相談員として取り組めるリスクマネジメントについて検討することを目的とした。
【方法】
1.対象1):令和6年6月時点で入所・ショートステイ・通所リハビリテーションを利用していた利用者・家族357名。
対象2):アンケート回答期間に在籍していた職員(介護士・看護師・リハビリ・管理栄養士・介護支援専門員・事務・車両)159名。
2.期間:対象1は令和6年7月12日にアンケート用紙を発送。対象2は令和6年7月23日アンケートを依頼。いずれも7月31日までの回答期限。
3.方法:アンケート。回答方法はQRコードの読み取り、もしくは施設に設置したボックスへ紙面にて投函。
アンケート内容:対象1)Q1当施設をご利用いただく中で「施設職員に伝えなかったこと、伝えられなかったこと」はありますか。例:ふと気になった/違和感があった/もやもやした/不思議に思ったなど。Q2「あり」の方:具体的な内容を教えてください。Q3その時、施設職員へ伝えなかった、伝えられなかったのはなぜですか。例:たいしたことではないと思った/誰に話したら良いか分からなかった。
対象2) Q1所属部署Q2下記の内容で利用者・家族へアンケートをしています。「当施設をご利用いただく中で「施設職員に伝えなかったこと、伝えられなかったこと」はありますか。例:ふと気になった/違和感があった/もやもやした/不思議に思ったなど」。職員の皆様は以下の質問をご回答ください。サービス提供の中で利用者・家族が質問内容のような思いを感じている、と思ったことはありますか。Q3「あり」の方:具体的な内容を教えてください。Q4下記の内容で利用者・家族へアンケートをしています。「『Q3の時』施設職員へ伝えなかった、伝えられなかったのはなぜですか。例:たいしたことではないと思った/誰に話したら良いか分からなかった」。職員の皆様は以下の質問をご回答ください。サービス提供の中で利用者・家族がQ3のようなことがあっても伝えない・伝えられなかったとしたらなぜだと思いますか。
4.分析方法:アンケートに記載された回答内容のまとまりごとに名称を付けた。
【成績】1.利用者・家族のアンケート回答率30%。Q1は「なし」91%、「あり」15%の回答であった。Q2の回答内容は「背中に跡がついて帰ってくる」「目ヤニがついている」「介助方法」など「ケア」に関すること、「関心が持てることがない」「面会時のエレベーター降下時に職員へ依頼が必要」「入浴やリハビリと時間が重なりカラオケができない」「血圧が低いため入浴中止が多い」など「サービス内容」に関すること、「利用者に対する言葉かけ」など「接遇」に関すること、「本人の様子を具体的に報告して欲しい」「本人の状態が良くない中、今後について聞かれた」「居室移動が本人に知らされていない」「施設からの連絡がない」など「コミュニケーション」に関することであった。Q3の回答内容は「まあいいか」「仕方がない」「組織の基準があるため伝えても変えられない」などの「あきらめ」。「注意しにくい」「忙しそう」などの「遠慮」。「誰に話したらいいかわからない」などの「体制」であった。職員のアンケート回答率は34.6%。Q2は「なし」76.4%、「あり」23.6%の回答であった。Q3の回答内容は「疑問があっても了承しないといけない雰囲気」「職員の説明や説得に利用者が諦めるような雰囲気」「職員が忙しそうで声をかけられない」「在宅復帰を考えていないが断れない」など「状況」に関すること、「強い口調」「説明時の言葉選び」など「接遇」に関すること、「入所日に退所の話をする」など「コミュニケーション」に関することであった。Q4の回答内容は「お世話になっている」「面倒かけたくない」などの「遠慮」。「話しかけづらい」「言えないような雰囲気」「誰に伝えたらいいのか分からない」「聞いてもらえない」などの「体制」。「相談する行為のハードルが高い」「もやもやするけれどこういうものかと思ってしまっている」「在宅復帰施設なので、言ったら退所しないといけない」「どのような質問をすればいいかわからない」「初対面で信頼関係がない」などの「抱いている思い」であった。
【考察】アンケート結果から 「施設職員に伝えなかったこと、伝えられなかったこと」について利用者・家族が回答した「ケア」や「サービス内容」に関することは、職員の回答には含まれていない意見であった。 利用者・家族と職員の意見の相違を認識することが必要だと考える。 「施設職員へ伝えなかった、伝えられなかったのはなぜか」について利用者・家族が回答した内容は、職員の接遇の至らなさやコミュニケーション力などの技術不足からくると考える。 また、伝えることをあきらめさせる、遠慮させてしまう状況や相談体制の不明瞭さについては、組織内で情報共有し、取り組めることを検討する必要性があると考える。 利用者・家族が「抱いている思い」を職員が想像し、その内容を共有していくことは、伝えない、伝えられない思いをくみ上げることにつながると考える。
【結論】 支援相談員は常に日々提供しているケアやサービス内容について、利用者・家族の立場に立ち、振り返ることが必要である。振り返りの中で気づいたこと、明らかになったことは施設で共有し、改善をはかることで伝えない、伝えられない思いに取り組める。そのことが、施設に対する利用者・家族の満足度を上げ、不信感や不満の軽減、リスクマネジメントにつながる。
