講演情報

[27-O-O004-04]事故防止への取り組みヒヤリハット件数増加を目指して

香川県 松本 成司, 木本 光則, 松岡 篤史, 眞鍋 亜由美, 西谷 明代 (介護老人保健施設ハートフルあいあい荘)
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はじめに<BR>当施設では、事故報告書に対してヒヤリハットの報告件数が少なく、報告件数、内容などが事故防止、事故の減少につながっているとは考えにくい。労働災害における経験則の一つであるハインリッヒの法則では、重大事故1件に対し、329件程は軽中程度の事故やインシデントの傾向があると言われている。現状はヒヤリハットの報告数が少ないため、なぜ報告件数が少ないのかを具体的に調査し、報告件数の増加に向けての取り組みを行っていきたい。<BR>介護現場での事故防止には、ヒヤリハット・事故情報の共有、リスク評価、事故発生時の対応、今後の対策、職員の意識向上などが重要である。<BR>今後は期段階の、「ヒヤリハット」に着目し、報告件数の増加、職員の気づきの力・機会を増やすことが出来る教育を行い、中長期的視点で事故の減少にどう寄与できるかの、取り組みを行った。<BR>現状のヒヤリハット、事故の状況<BR>令和5年度の事故発生件数は251件、ヒヤリハット報告件数は58件。<BR>令和6年度の事故報告件数は408件、ヒヤリハット報告件数は45件。<BR>令和6年度の方が事故報告件数も多かったが、ヒヤリハット報告件数は少なかった。<BR>方法<BR>入所・通所看護、介護職員31名を対象に、本人の同意の基、ヒヤリハットに対する意識、現状の事故防止対対策などに関するアンケートを行った。アンケートは無記名で、合計9問の択一、一部自由記入形式を使用した。<BR>結果<BR>・97%の職員が業務中に、「ヒヤッ」とした経験をしている。<BR>・ヒヤリハット報告書を書いたことがない職員が26%。書く習慣がないとの意見が多かった。書いたことがある職員が73%で、ほとんどが数カ月に1度程度の頻度であった。<BR>・事故報告書は全職員が閲覧できる場所に常に準備しており、97%の職員がきちんと目を通していた。<BR>・事故報告書の状況などの分析が十分だという意見が30%、今後の対策に活用できているという意見が52%であった。<BR>・ヒヤリハット報告書、事故報告書を書くことに抵抗、又はネガティブなイメージがあるという職員が、27%であった。<BR>考察<BR>9割以上の職員が業務中にヒヤッとした経験があるにも関わらず、ヒヤリハット報告書を日常的に書くことをしていなかった。知識不足により、報告する内容や目的が分からないという意見もあった。書式が複雑で書くことが煩わしいという意見もあった。時間の経過により忘れてしまう、同じような事象が多くキリがないなどの回答から、各自同じような経験を持ちながらも、チームとしてケースの共有や対策案の構築が不十分だったという現状が見えた。事故にまで至っていないので提出しなくていいと思っていたなどの意見もあり、ヒヤリハット報告書に対する意識が薄いように思えた。<BR>事故報告書やヒヤリハット報告書をよく提出する職員、そうでない職員にも隔たりがあり、全ての職員が積極的に提出をしていない現状もある。<BR>状況の分析が不十分だという意見が多かった。委員会が中心となり状況の分析や対策案の構築方法を見直し、現状に即したリスクマネジメントのあり方を常に模索、再構築していく必要がある。<BR>リスクマネジメントに関する内部研修を開催し、ヒヤリハット報告書の記入様式も抜本的に見直した結果、月単位で80件ほどのヒヤリハット報告書の提出があった。この報告を現場の事故防止に活かせることが出来れば、翌年やその先の報告数の維持や増加に展開することができるのではないではないかと思う。<BR>まとめ<BR>今回、アンケートや内部研修を行っていく中で、ヒヤリハット報告書やリスクマネジメントへの意識を再認識できたため、報告件数の増加が認められた。この意識を持続的に維持するため、定期的な内部研修や啓発活動は継続しなければいけない。<BR>事故の要因は、本人、介護者、環境によるものなどさまざまである。全ての事故を予測回避することは不可能だ。ただ、データの集積や分析、対策を講じることによりある程度の予測や対策をすることはできる。<BR>中長期的にヒヤリハット報告書と事故報告書の内容の相関関係などを見直し、事故の減少として結果を出せることを、今後の課題としたい。