講演情報

[27-O-O004-06]ヒヤリハットの活用方法

大阪府 柳谷 亜矢子, 田中 優衣子, 土井 敏之, 武田 郁子 (介護老人保健施設 八尾徳洲苑)
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1.背景
 A老健では、事故発見報告書と同じ書面でヒヤリハットを報告しており、記載内容が多くヒヤリハットとしての提出件数が少ないという課題があった。それに対して、記載内容を簡潔にしたヒヤリハットの書面を作成し、運用を開始したところ提出件数の増加がみられた。また、事故につながる内容以外のヒヤリハットも提出されるという状況が見られた。
2.目的
 どのような種類のヒヤリハットが、各月で何件提出されているのかを明らかにする事を目的とする。
3.方法
(1)対象と方法
1)対象
 2024年1月から2024年12月に提出されたA老健通所リハビリテーションのヒヤリハット。
2)方法
 ヒヤリハットを分類して分析を行った。ヒヤリハットの分類は筆者と共同演者で議論し、1.事故につながるもの2.苦情につながるもの3.不適切ケアにつながるもの4.その他の4種類とした。
4.倫理的配慮
 本研究を行うにあたり、筆者の所属施設の教育委員会に対して目的・方法について研究計画書を用いて説明し、承諾を得た。A老健通所リハビリテーションの職員に対しては、本研究の目的と方法について説明し同意を得た。また、ヒヤリハット作成者と対象者は匿名化し個人情報保護に努め、職務上の不利益が生じないように配慮した。
5.結果
 1年間の総数547件に対し、1.事故につながるもの243件、2.苦情につながるもの192件、3.不適切ケアにつながるもの15件、4.その他97件であった。毎月平均45.5件のヒヤリハットが提出されていた。割合は1.事故につながるもの44.39%、2.苦情につながるもの35.16%、3.不適切ケアにつながるもの2.63%、4.その他17.58%となっていた。また、「押し車歩行の利用者を他利用者が手を引き介助しようとしていた」のように事故と苦情の両方につながるものも一部あったため、そのヒヤリハットについては共同演者と議論の上で事故・苦情いずれかの要素が強い方に分類した。
6.考察
 新しいヒヤリハットの書面を使用した2024年でヒヤリハットが多く報告されたのは、簡潔な書面ですぐに記入することができる状況になったのが影響したと考えられる。分類ごとの割合を見ると、事故につながるもの以外のヒヤリハットが半数以上あることから、ヒヤリハット報告が事故防止にとどまらない幅広いリスクの評価と対処に寄与する可能性がある。
 また、ヒヤリハットのカンファレンスにおいては件数が多くなれば時間も延びるかと思われたが、分類することで同じヒヤリハットが何枚も出ているなどの状況も明らかになった。重要度のより高いものを優先的に議論してそれ以外は周知するにとどめるなど、ヒヤリハットの分類を行えば効率的なカンファレンス実施にもつなげることができると考えられる。
7.まとめ
 ヒヤリハットは事故につながるものだけではなく、職員の気づきによって苦情につながるものや、不適切ケアにつながるものもあげることができる。ヒヤリハットを分類し、対応を検討する際には情報共有だけでよいのか、部署だけでは対応できない場合に安全管理委員会や苦情対応委員会に提出するなど内容を分析することがケア向上につながると思われる。