講演情報
[27-O-P111-02]業務改善から「笑顔」の創出へ
山口県 ○松井 晃司 (介護老人保健施設あいあい・山口)
【はじめに】
全国的に福祉・介護現場では離職率が高く労働移動が激しい状況にあり、有効求人倍率は全職種と比較して高い水準にあります。全職種の離職要因として上位にあがる「人間関係の悩み」は、介護現場では職員間の関係、利用者やその家族との関係など多岐にわたる要因が影響していると介護労働安定センターの調査では指摘されており、当施設においても利用者の重症化や業務過多が理由で職員にとっては関係性を構築する余裕の無い状況が常態化していました。そのような中で、いかにして「職員の労働環境を改善しつつ利用者にとってより良い療養環境を構築するか」と、いうことをテーマにR.4年度より施設全体で業務改善に取組んできました。
【法人の取り組み】
法人としては外国人介護人材の受入れから始め、安定的な職員数の確保に取組んだ他、シルバー人材や介護補助を活用し、清掃等の間接的な業務を分離して業務負担の軽減を図りました。また、タブレットやインカムの導入、見守りセンサーの設置やAIによる議事録作成等、業務のICT化を図り業務環境の改善を進めました。
【部署の取り組み】
部署としては業務スケジュールの修正から始めましたが、人手の厳しい現場においては大きな負担(外国人介護人材には混乱を与える)がかかりやすい事を踏まえ、まずはフロア単位で集合し、各フロアスタッフからブレインストーミングにより得られた意見やアイデアを参考にフロア主任・フロアリーダーを中心としてルーティンワークにおける3M(ムリ・ムダ・ムラ)の洗い出し、タスクの再配置を行い業務の流れを再構築しました。 また、並行して利用者の夜間安眠とオムツ交換回数削減の両立を目標とした排泄ケアの見直しと、効率よく業務が遂行出来るよう備品配置の見直しにも取り組みました。
【法人の取り組みによる経過報告】
1.外国人介護人材の受け入れについて
初期投資等のコスト的な問題や管理・指導を担当する職員の時間的ロスという問題はありますが、「人材不足の解消」「若い力の確保」「安定的な採用」等、中・長期的にはメリットが得られると想定しています。当部署では現在、5名のインドネシア人が在籍していますが、既に日本人職員と同等に機能しており、明るく元気な仕事ぶりに利用者にも日本人職員にもプラスの影響を与えています。
2.間接的業務の分離について
人件費等のコスト的な問題とスキルに応じた業務内容の調整が必要となりますが、介護業務からの分離により業務スケジュール自体に余裕が生じ、時間に追われるといったような職員の心理的ストレスは軽減傾向にあります。また、シルバーや介護補助の丁寧な作業により施設内の清掃状況が改善されました。
3.業務のICT化について
初期投資の段階でコスト的な問題はありますが、特に記録については従来の紙媒体と比較し、スムーズな情報共有が可能となり、デバイスを連携させることで他職種との情報共有が簡易となりました。インカムについてもタイムラグの無いシームレスな連絡が可能となり効率化が図れています。導入初期の段階では不慣れな職員から否定的な意見もありましたが、時間の経過とともにそのような声も減少しています。
【部署の取り組みによる経過報告】
1.業務スケジュールの修正について
再構築した業務スケジュールを各フロア単位で試行し、PDCAサイクルを回して現状での最適化を図っています。介護業務は職員のスキルや経験の影響が出やすく、能力にムラがあると職員の業務負担の偏りやサービス内容の低下を招くため、役割や内容を明確にして平準化を図りました。
2.排泄ケアの見直し
当部署は元々オリジナルの排泄アセスメントシートを活用し、個別の排泄ケアに取り組んでいましたが、オムツメーカーアドバイザーのご指導を受け、客観的なデータと意見も踏まえ、個別ケアの見直しを行いました。特に交換回数を削減することにより、感染症やスキントラブルの増加といったことが懸念されましたが、医療職とも連携してアプローチした結果、見直し前後でトラブルの極端な増加は見られませんでした。また、回数を削減したことにより利用者に対してはレクリエーション等、余暇時間の充実や安眠時間の確保に結びついています。
3.備品配置の見直し(整理整頓)
「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の5Sを意識して環境整備を行いました。過去1年以内に使用した備品以外は処分し、限られたスペースを有効活用することと、現行の業務の動線を考慮して備品配置の変更を行いました。小さなことですが備品棚にラベルを貼ることで、備品が散乱したり行方不明になるケースも軽減しました。
【まとめ】
当施設の業務改善の取り組みは令和4年度から現在進行形で、部署の取り組みについてはこれからも継続的にPDCAサイクルを回し、常に最適化を図っていく必要があると考えています。また、今後はOJT体制の再構築を目標として、更なる現場業務の効率化も図りたいと考えています。
従来、多忙を理由に職員間のコミュニケーションが後回しにされがちで、結果としてチームとしての機能が低下し、職員間で不要なストレスを抱える環境となっていましたが、今回の業務改善を通して職員間で重ねてコミュニケーションを図ることで、チームとしての連携が改善し、自発的なアクションが増えるなどモチベーションの向上にもつながったと感じています。
今後、たとえICT化が進行したとしても、それを活用する職員一人一人が施設の理念に沿って、チームとして結果を出していくためには、意図的な職員間のコミュニケーションは大変重要だと強く感じました。
現在、創出された時間から利用者の余暇の充実が図られ、利用者の笑顔は増えてきているように思います。今後もこの取り組みを継続し、その笑顔が施設に関わる全ての人達に広がるよう努力していきたいと考えています。
全国的に福祉・介護現場では離職率が高く労働移動が激しい状況にあり、有効求人倍率は全職種と比較して高い水準にあります。全職種の離職要因として上位にあがる「人間関係の悩み」は、介護現場では職員間の関係、利用者やその家族との関係など多岐にわたる要因が影響していると介護労働安定センターの調査では指摘されており、当施設においても利用者の重症化や業務過多が理由で職員にとっては関係性を構築する余裕の無い状況が常態化していました。そのような中で、いかにして「職員の労働環境を改善しつつ利用者にとってより良い療養環境を構築するか」と、いうことをテーマにR.4年度より施設全体で業務改善に取組んできました。
【法人の取り組み】
法人としては外国人介護人材の受入れから始め、安定的な職員数の確保に取組んだ他、シルバー人材や介護補助を活用し、清掃等の間接的な業務を分離して業務負担の軽減を図りました。また、タブレットやインカムの導入、見守りセンサーの設置やAIによる議事録作成等、業務のICT化を図り業務環境の改善を進めました。
【部署の取り組み】
部署としては業務スケジュールの修正から始めましたが、人手の厳しい現場においては大きな負担(外国人介護人材には混乱を与える)がかかりやすい事を踏まえ、まずはフロア単位で集合し、各フロアスタッフからブレインストーミングにより得られた意見やアイデアを参考にフロア主任・フロアリーダーを中心としてルーティンワークにおける3M(ムリ・ムダ・ムラ)の洗い出し、タスクの再配置を行い業務の流れを再構築しました。 また、並行して利用者の夜間安眠とオムツ交換回数削減の両立を目標とした排泄ケアの見直しと、効率よく業務が遂行出来るよう備品配置の見直しにも取り組みました。
【法人の取り組みによる経過報告】
1.外国人介護人材の受け入れについて
初期投資等のコスト的な問題や管理・指導を担当する職員の時間的ロスという問題はありますが、「人材不足の解消」「若い力の確保」「安定的な採用」等、中・長期的にはメリットが得られると想定しています。当部署では現在、5名のインドネシア人が在籍していますが、既に日本人職員と同等に機能しており、明るく元気な仕事ぶりに利用者にも日本人職員にもプラスの影響を与えています。
2.間接的業務の分離について
人件費等のコスト的な問題とスキルに応じた業務内容の調整が必要となりますが、介護業務からの分離により業務スケジュール自体に余裕が生じ、時間に追われるといったような職員の心理的ストレスは軽減傾向にあります。また、シルバーや介護補助の丁寧な作業により施設内の清掃状況が改善されました。
3.業務のICT化について
初期投資の段階でコスト的な問題はありますが、特に記録については従来の紙媒体と比較し、スムーズな情報共有が可能となり、デバイスを連携させることで他職種との情報共有が簡易となりました。インカムについてもタイムラグの無いシームレスな連絡が可能となり効率化が図れています。導入初期の段階では不慣れな職員から否定的な意見もありましたが、時間の経過とともにそのような声も減少しています。
【部署の取り組みによる経過報告】
1.業務スケジュールの修正について
再構築した業務スケジュールを各フロア単位で試行し、PDCAサイクルを回して現状での最適化を図っています。介護業務は職員のスキルや経験の影響が出やすく、能力にムラがあると職員の業務負担の偏りやサービス内容の低下を招くため、役割や内容を明確にして平準化を図りました。
2.排泄ケアの見直し
当部署は元々オリジナルの排泄アセスメントシートを活用し、個別の排泄ケアに取り組んでいましたが、オムツメーカーアドバイザーのご指導を受け、客観的なデータと意見も踏まえ、個別ケアの見直しを行いました。特に交換回数を削減することにより、感染症やスキントラブルの増加といったことが懸念されましたが、医療職とも連携してアプローチした結果、見直し前後でトラブルの極端な増加は見られませんでした。また、回数を削減したことにより利用者に対してはレクリエーション等、余暇時間の充実や安眠時間の確保に結びついています。
3.備品配置の見直し(整理整頓)
「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の5Sを意識して環境整備を行いました。過去1年以内に使用した備品以外は処分し、限られたスペースを有効活用することと、現行の業務の動線を考慮して備品配置の変更を行いました。小さなことですが備品棚にラベルを貼ることで、備品が散乱したり行方不明になるケースも軽減しました。
【まとめ】
当施設の業務改善の取り組みは令和4年度から現在進行形で、部署の取り組みについてはこれからも継続的にPDCAサイクルを回し、常に最適化を図っていく必要があると考えています。また、今後はOJT体制の再構築を目標として、更なる現場業務の効率化も図りたいと考えています。
従来、多忙を理由に職員間のコミュニケーションが後回しにされがちで、結果としてチームとしての機能が低下し、職員間で不要なストレスを抱える環境となっていましたが、今回の業務改善を通して職員間で重ねてコミュニケーションを図ることで、チームとしての連携が改善し、自発的なアクションが増えるなどモチベーションの向上にもつながったと感じています。
今後、たとえICT化が進行したとしても、それを活用する職員一人一人が施設の理念に沿って、チームとして結果を出していくためには、意図的な職員間のコミュニケーションは大変重要だと強く感じました。
現在、創出された時間から利用者の余暇の充実が図られ、利用者の笑顔は増えてきているように思います。今後もこの取り組みを継続し、その笑顔が施設に関わる全ての人達に広がるよう努力していきたいと考えています。
