講演情報

[27-O-P111-06]支援相談体制と情報共有改革で稼働率安定化を実現~超強化型老健の実践~

熊本県 濵崎 一心1, 市橋 旬子1, 坂口 康丈1 (1.老人保健施設シルバーピア水前寺, 2.老人保健施設シルバーピア水前寺)
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【はじめに】                   
平成31年3月、当施設は超強化型介護老人保健施設へ移行した。超強化型に求められる10項目の指標のうち、在宅復帰率およびベッド回転率の確保は、特に施設運営上の重要課題である。しかし、こうした指標への対応が進む中で、入退所の回転が早まり、空床の発生頻度が増すことで稼働率が不安定となる施設も少なくない。稼働率の低下は、収入の減少、職員体制の見直し、サービス継続性の低下など、運営全体に影響を及ぼす可能性がある。 
当施設においても、稼働率の安定的な維持は大きな課題であった。そこで、相談員体制の見直しや情報管理の改善、会議体制の整備など、多方面からの改善を段階的に実施してきた。本報告では、稼働率の安定化に向けた当施設の取組と、その実施によって得られた成果について報告する。
【課題】
当施設の定員は72床(うちショートステイ:空所利用型)である。超強化型への移行にあたり支援相談員を2名体制としたが、「入所」と「ショートステイ」で担当を分けていたため、情報の一元管理が困難であった。また、相談記録は手書きで管理しており、情報の検索や共有に時間を要するなど、業務効率にも課題があった。直近の空床状況は独自のデータベースで把握していたものの、数カ月先の状況把握には時間を要し、全体のベッド稼働状況の把握や入退所のシミュレーションが困難であった。その結果、計画的なベッドコントロールの実施が不十分な状況にあった。
さらに入所の判定は、医師・看介護部長・支援相談員の三者で事前に行い、入所の可否を判断していた。その後の全体会議は入所を前提とした情報共有の場と位置づけていた。しかし実際には、三者による事前判定の段階で入所困難と判断されるケースも多く、入所判定基準やベッド稼働への意識にばらつきがあったことが、空床の要因となっていた。
【取組】
以下の取組を実施。
1.相談窓口対応の見直し
2.相談記録のデータベース管理体制への移行
3.空床情報の即時把握体制の構築
4.支援相談員定例会議の新設
5.入所判定における柔軟な対応方針の確立
【結果】
一連の取組の実施により、稼働率および平均利用者数ともに改善傾向が確認された。2020年(令和2年)および2021年(令和3年)に一時的に低下していた稼働率(88.2%、88.1%)は、2022年(令和4年)には91.4%へと回復し、さらに2023年および2024年には94.3%と、安定的に高水準を維持している。
また、平均利用者数についても、2021年までは63.5人で推移していたが、2022年に65.8人、2023年以降は67.9人まで増加し、安定した利用状況が確保されている。これにより、計画的なベッドコントロール体制の確立と、空床の発生を抑えた効率的なベッド運用が可能となったことが示された。
【考察・まとめ】
本取組により、支援相談員の業務体制の見直しと情報管理のシステム化が進み、利用相談に対する柔軟性と業務の効率性が大きく向上した。従来は手書きによる相談記録を用いていたため、情報共有に限界があり、関係職種間の連携にも時間を要していたが、相談記録をデータベース上で一元管理する体制へと移行したことで、相談内容の可視化と対応状況のリアルタイム把握が可能となり、職種間の連携が円滑に行えるようになった。また、数カ月先までの空所状況を即時に把握できる仕組みの整備と、定例会議による入退所の事前調整体制を構築したことで、入所希望者への迅速かつ計画的な対応が可能となり、ベッド運用の最適化が進んだ。
入所判定については、従来と同様に医師・看介護部長・支援相談員の三者で入所の可否を判断しているが、かつては判断基準や稼働に対する意識のばらつきから、入所に至らないケースも少なくなかった。そこで、関係職種間での意識統一と、状況に応じた柔軟な対応方針の確立に取り組み、現在では三者それぞれが稼働率を意識した判断を行うようになり、迅速な対応が可能となっている。
これらの一連の取組により、施設全体として空床リスクが低減され、稼働率の維持・向上に直結する成果を得ることができた。今後は、データベースのさらなる機能拡張を図るとともに、より柔軟かつ一体的な情報連携体制の構築を通じて、効率的なマネジメント体制の強化を目指したい。