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[27-O-P111-07]退所先別の退所時期と利用者の特徴自宅・有料老人ホーム・特別養護老人ホームの比較

北海道 筒井 隆裕, 山田 隆二, 清井 崇行 (介護老人保健施設友愛ナーシングホーム)
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【はじめに】
介護老人保健施設(以下,老健)での平均入所日数について,古川ら,嶋野ら,加賀山ら,池田らの報告では,自宅・在宅復帰群は約87~154日,対照群では約127~358日と研究間でばらつきがみられる.前者では,居宅に分類される施設を含めている報告と,含めていない報告が混在しており,後者では入院者を含めている報告,含めていない報告,記載がない報告が混在している.
体調不良にて入院する時期の予測は困難だが,入院以外の理由で退所する時期は,後方視的な調査により明らかにできると考える.また,自宅復帰に至らない者を「施設群」と一括りにせず,退所先別の利用者の特徴を明らかにできれば,老健での支援計画立案と在宅復帰率・ベッド回転率の推測に活かせる.
【目的】
退所先別の退所までの期間と利用者の特徴を明らかにすること.
【対象】
2021年7月から2024年7月の期間に,入院以外の理由で友愛ナーシングホーム(以下,当施設)を退所した利用者.
本研究はヘルシンキ宣言に則り,被験者又はその家族へ研究の目的と内容を説明し,書面にて同意を得て実施した.守秘義務に基づき個人情報を厳重に管理すること,同意して頂けなくても何の不利益も被らないことを伝えた.
【方法】
退所先別の利用者数と退所までの期間を調査した.
退所先別の利用者の特徴について,退所先が自宅,有料老人ホーム(以下,有料),特別養護老人ホーム(以下,特養)となる者が多いため,これら3群の基本情報と退所時の身体機能を比較した.
基本情報は年齢,退所までの期間(6か月以内 vs 以上),年金収入(円/年),介護者の有無(あり vs なし)とした.
退所時の身体機能は,30秒椅子立ち上がりテスト(以下,CS-30),Timed Up & Go test(以下,TUG),Berg Balance Scale(以下,BBS)とした.
【解析】
各退所先の,6か月以内と1年以内に退所した人数を,その退所先に退所した合計人数で除して割合を算出した.
連続変数は各変数の正規性と等分散性を確認後,適切な統計手法(1元配置分散分析,Kruskal-Wallis検定,多重比較法)を用いて比較し,カテゴリ変数は期待度を確認後,χ2検定またはFisherの正確確率検定を用いて比較した.
統計処理にはR4.4.2を使用し有意水準は5%とした.
【結果】
対象者数は92名であった.退所先は自宅,有料,特養,グループホーム(以下,GH),サービス付き高齢者向け住宅(以下,サ高住),ケアハウス,老健,養護老人ホームであった.自宅,有料,特養以外は対象者数が少ないため,まとめて(以下,その他施設)算出した.
1年以内に退所した人数(割合)は,全体92名中79名(85.9%),自宅39名中36名(92.3%),有料19名中16名(84.2%),特養17名中13名(76.5%),その他施設17名中14名(82.4%)であった.
6か月以内に退所した人数(割合)は,全体92名中61名(66.3%),自宅39名中33名(84.6%),有料19名中10名(52.6%),特養17名中9名(52.9%),その他施設17名中9名(52.9%)であった.
自宅,有料,特養の比較において,退所までの期間,介護者の有無,CS-30,TUG,BBSに有意差が認められた.年齢,年金収入は有意差が認められなかった.自宅,有料,特養の順で以下に値を記載する.CS-30,TUG,BBSは中央値[四分位範囲]を記載する.
退所までの期間(人)は,自宅(6か月以内33,以上6),有料(6か月以内10,以上9),特養(6か月以内9,以上8)であり,6か月以内に退所する割合が有料,特養に比べ自宅は有意に高かった.有料と特養の比較では有意差は認められなかった.
介護者の有無(人)は,自宅(あり36,なし3),有料(あり3,なし16),特養(あり11,なし6)であり,介護者ありの割合が有料,特養に比べ自宅は有意に高かった.また,特養に比べ有料は介護者ありの割合が有意に低かった.
CS-30(回)は,6[0-9],9[3.75-11.75],0[0-0.75]であり,特養よりも自宅,有料が有意に高かった.自宅と有料の比較では有意差は認められなかった.
TUG(秒)は19[12.325-28.235],11[8.2-12.6],28.35[23.825-37.525]であり,自宅,特養よりも有料が有意に速かった.自宅と特養の比較では有意差は認められなかった.
BBS(点)は,45[34.75-48.25],51.5[39.75-54],7[1-29]であり,特養よりも自宅,有料が有意に高かった.自宅と有料の比較では有意差は認められなかった.
【考察】
退所先別の退所時期は地域特性の影響が推察される.当施設がある北海道江別市の本調査終了時点の要介護(要支援)認定者数は7907人である.市内の各施設の数と定員総数は有料6施設271名,特養6施設460名,GH18施設306名,サ高住7施設296名,ケアハウス2施設100名,老健6施設480名,養護老人ホーム1施設110名であり,定員総数の合計は2023名となり,これは要介護(要支援)認定者数の約25%となる.そのような自治体では本結果が適合する可能性がある.一般的に,特養等の入居には待機期間が生じることが多く,自宅復帰と比較して6か月以内に退所する割合が低かった(自宅84.6%,有料52.6%,特養52.9%)のは,こうした待機状況が背景にあると推察される.
また,有料に退所する者は介護者がいない割合が有意に高いため,入所前は独居の者が多いと推察される.独居で生活できていたため身体機能が高い結果になったと考える.これは,有料が介護者の支援が得られない独居高齢者や,自立度の高い高齢者の受け皿として機能している可能性を示唆している.
【研究の限界】
単一施設の調査であるため,他施設・地域への一般化には注意が必要です.
【結論】
要介護(要支援)認定者数の約25%の総施設定員数を有する自治体の老健においては,入院以外の理由で約86%が1年以内に退所し,自宅復帰者においては約85%が6か月以内に退所する可能性がある.
自宅復帰者は有料に退所する者よりも介護者がいる者の割合が高く,身体機能が低い.