講演情報
[27-O-P201-06]外国人技能実習生受け入れでの教育の振り返り
京都府 ○田原 寛子, 土谷 幸絵 (介護老人保健施設「がくさい」)
【はじめに】
技能実習生制度は、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とした制度であり、組織に都合よく働いてもらえる人材ではないといわれている。
老人保健施設「がくさい」(以下当施設)では、昨年度に初めて技能実習生を受け入れることになった。外国人とどのようにコミュニケーションをとり教育をしていくのかノウハウが全くない状態のため、技能実習生に合わせたプリセプター制度を確立させ、指導手順を作成し教育をおこなった。その結果、技能実習生は介護技術を習得し、日本人職員とも良好な関係を築くことができている。外国人技能実習生の受け入れで取り組んだことを振り返ることで、見えてきた新人教育での大切にすべきことを報告する。
【方法】
外国人技能実習生を1フロアに2名、計4名を採用することになった。入職半年前に介護職員から5名のプリセプター、総務課から2名のメンターが選出された。まず初めに、マニュアルの見直しと英語翻訳、教育ラダーの見直し、毎日の振り返りシートの作成をおこなった。各フロアの日々の業務内容も見直していった。技能実習生を受け入れている他施設の見学や聞き取りに行った。そして実習生の教育施設がある神戸へ顔合わせへ行った。入職して最初の3ヶ月間は技能実習生2名に対しプリセプター1名が毎日指導に当たった。指導の偏りが少なくなり実習生同士でわからないところを話し合うことができ、指導内容を共有できる様に2人1組で指導をおこなった。最初の日本語に不慣れな時期は、ポケトークという翻訳機器をお互いで使用し合ってコミュニケーションの助けとした。毎日勤務終了の30分程前に振り返りシートへ指導した内容を記入し、実習生と業務の振り返りや雑談をする時間を設け、不安の解消や一息つく時間とした。振り返りシートはプリセプターが記載することで、実習生の負担を減らせるようにした。日本語の勉強として、半年間日記を毎日書いてもらい、それをメンターが添削した。4ヶ月目以降は、プリセプター以外の職員にも指導に入ってもらった。当施設は1フロアが3または4ユニットで編成されているため、技術や会話の幅を徐々に増やせるように全てのユニットで勤務をしてもらった。また、入職から8ヶ月後の技能評価試験の対策として、入職の約半年後から毎週2時間ほど時間を設け、実技試験の練習をプリセプターと共におこなった。筆記試験はメンターと共に勤務日に30分時間を設けて勉強をしてもらった。
【結果】
入職から1年が経過し、各ユニットの日勤業務は概ね一人で任せることができ、夜勤業務は2人1組で勤務することができるまでに成長した。日本人職員との信頼関係も築くことができている。実習生たちは毎日の仕事に加え、「落ちれば母国に帰らなければならない」という試験のプレッシャーにメンタルが不安定になる時期もあった。日本人職員のフォローや本人たちの努力もあり、技能評価試験は1度で合格することができた。利用者の急変時や事故等の対応はまだ難しいため日本人職員がフォローに入るが、その場面に遭遇した際は周りの職員への報告をきちんとおこなうことができている。実習生にとって日本語はまだ難しいことが多いため、最近はGoogle翻訳やGoogleレンズをうまく使いながら、文章を読み概ね問題なくコミュニケーションをとることができている。介護の記録についてはまだ決まった文章の入力であることが多いため、今後介護・医療言葉の理解を深め、文章能力を高められるように指導する必要がある。 教育も重要であるが、職員との距離を縮めることが重要であったと思う。受け入れ施設へ顔合わせへ行ったり食事会を開いたり、当施設から自転車を支給したり生活環境の充実にも力を入れ、みんなで技能実習生を受け入れているという姿勢を表した。
【考察】
技能実習生は介護技術を着実に身につけていってくれている。今まで関わることがなかった外国人に対して、入念な準備と丁寧なOJTをしたことが、今回の技能実習生の教育が成功したことの一つと考えられる。日本語はやはり難しく、介護現場で使用する言葉は特に難しいと感じているようだ。認知症がある利用者の対応が難しいと感じることは、技能実習生に限らず全ての新人職員も思うことだろう。環境の違いによって会話技術に差は生まれるかもしれない。認知症専門棟の実習生よりは一般棟の実習生の方がコミュニケーションの多さのためか日本語会話の上達は早い。環境の差で日本語上達の違いがあるならば、施設のサポートによって差を埋める努力をするべきである。言葉の壁はあるが、いろいろな機器を駆使しながら、日本人職員がフォローを丁寧におこなうことで、信頼関係は出来ている。今まで当施設が実施してきた新人教育は、新人が日々の振り返りシートを記載することが負担となっていた。また、プリセプターと落ち着いて話し合うことが3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月と節目の振り返りのみとなっていた。毎日時間を設けて業務を振り返ることで、職員同士が向き合える良い時間となっていたのではないだろうか。
【最後に】
海外で言葉を覚えながら仕事を頑張る姿勢に、日本人職員や利用者も関心し、明るい会話も増えたように感じる。今回、実習生を受け入れることでしっかりと準備を重ね、丁寧にOJTをすることが大事であることを改めて実感した。近年、介護を学んできた若者や経験豊富な人材を採用にこぎ着けることが困難で、無資格未経験者からの人材確保が必要となってくる。その為、今回の様々な基本的な部分からの丁寧な教育体制が必要となってくる。教育には、時間と人手が取られるが、しっかりと丁寧に教育することで早期の離職を防ぎ人が定着する職場となるのではないかと考える。今後も、そのようなシステム作りを時間を惜しまずおこなっていきたい。
技能実習生制度は、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とした制度であり、組織に都合よく働いてもらえる人材ではないといわれている。
老人保健施設「がくさい」(以下当施設)では、昨年度に初めて技能実習生を受け入れることになった。外国人とどのようにコミュニケーションをとり教育をしていくのかノウハウが全くない状態のため、技能実習生に合わせたプリセプター制度を確立させ、指導手順を作成し教育をおこなった。その結果、技能実習生は介護技術を習得し、日本人職員とも良好な関係を築くことができている。外国人技能実習生の受け入れで取り組んだことを振り返ることで、見えてきた新人教育での大切にすべきことを報告する。
【方法】
外国人技能実習生を1フロアに2名、計4名を採用することになった。入職半年前に介護職員から5名のプリセプター、総務課から2名のメンターが選出された。まず初めに、マニュアルの見直しと英語翻訳、教育ラダーの見直し、毎日の振り返りシートの作成をおこなった。各フロアの日々の業務内容も見直していった。技能実習生を受け入れている他施設の見学や聞き取りに行った。そして実習生の教育施設がある神戸へ顔合わせへ行った。入職して最初の3ヶ月間は技能実習生2名に対しプリセプター1名が毎日指導に当たった。指導の偏りが少なくなり実習生同士でわからないところを話し合うことができ、指導内容を共有できる様に2人1組で指導をおこなった。最初の日本語に不慣れな時期は、ポケトークという翻訳機器をお互いで使用し合ってコミュニケーションの助けとした。毎日勤務終了の30分程前に振り返りシートへ指導した内容を記入し、実習生と業務の振り返りや雑談をする時間を設け、不安の解消や一息つく時間とした。振り返りシートはプリセプターが記載することで、実習生の負担を減らせるようにした。日本語の勉強として、半年間日記を毎日書いてもらい、それをメンターが添削した。4ヶ月目以降は、プリセプター以外の職員にも指導に入ってもらった。当施設は1フロアが3または4ユニットで編成されているため、技術や会話の幅を徐々に増やせるように全てのユニットで勤務をしてもらった。また、入職から8ヶ月後の技能評価試験の対策として、入職の約半年後から毎週2時間ほど時間を設け、実技試験の練習をプリセプターと共におこなった。筆記試験はメンターと共に勤務日に30分時間を設けて勉強をしてもらった。
【結果】
入職から1年が経過し、各ユニットの日勤業務は概ね一人で任せることができ、夜勤業務は2人1組で勤務することができるまでに成長した。日本人職員との信頼関係も築くことができている。実習生たちは毎日の仕事に加え、「落ちれば母国に帰らなければならない」という試験のプレッシャーにメンタルが不安定になる時期もあった。日本人職員のフォローや本人たちの努力もあり、技能評価試験は1度で合格することができた。利用者の急変時や事故等の対応はまだ難しいため日本人職員がフォローに入るが、その場面に遭遇した際は周りの職員への報告をきちんとおこなうことができている。実習生にとって日本語はまだ難しいことが多いため、最近はGoogle翻訳やGoogleレンズをうまく使いながら、文章を読み概ね問題なくコミュニケーションをとることができている。介護の記録についてはまだ決まった文章の入力であることが多いため、今後介護・医療言葉の理解を深め、文章能力を高められるように指導する必要がある。 教育も重要であるが、職員との距離を縮めることが重要であったと思う。受け入れ施設へ顔合わせへ行ったり食事会を開いたり、当施設から自転車を支給したり生活環境の充実にも力を入れ、みんなで技能実習生を受け入れているという姿勢を表した。
【考察】
技能実習生は介護技術を着実に身につけていってくれている。今まで関わることがなかった外国人に対して、入念な準備と丁寧なOJTをしたことが、今回の技能実習生の教育が成功したことの一つと考えられる。日本語はやはり難しく、介護現場で使用する言葉は特に難しいと感じているようだ。認知症がある利用者の対応が難しいと感じることは、技能実習生に限らず全ての新人職員も思うことだろう。環境の違いによって会話技術に差は生まれるかもしれない。認知症専門棟の実習生よりは一般棟の実習生の方がコミュニケーションの多さのためか日本語会話の上達は早い。環境の差で日本語上達の違いがあるならば、施設のサポートによって差を埋める努力をするべきである。言葉の壁はあるが、いろいろな機器を駆使しながら、日本人職員がフォローを丁寧におこなうことで、信頼関係は出来ている。今まで当施設が実施してきた新人教育は、新人が日々の振り返りシートを記載することが負担となっていた。また、プリセプターと落ち着いて話し合うことが3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月と節目の振り返りのみとなっていた。毎日時間を設けて業務を振り返ることで、職員同士が向き合える良い時間となっていたのではないだろうか。
【最後に】
海外で言葉を覚えながら仕事を頑張る姿勢に、日本人職員や利用者も関心し、明るい会話も増えたように感じる。今回、実習生を受け入れることでしっかりと準備を重ね、丁寧にOJTをすることが大事であることを改めて実感した。近年、介護を学んできた若者や経験豊富な人材を採用にこぎ着けることが困難で、無資格未経験者からの人材確保が必要となってくる。その為、今回の様々な基本的な部分からの丁寧な教育体制が必要となってくる。教育には、時間と人手が取られるが、しっかりと丁寧に教育することで早期の離職を防ぎ人が定着する職場となるのではないかと考える。今後も、そのようなシステム作りを時間を惜しまずおこなっていきたい。
