講演情報

[27-O-P201-07]「やさしい日本語」で日本人と外国人の壁を打破

茨城県 本澤 好美, 阿部 莉奈 (介護老人保健施設 セントラルゆうあい)
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【はじめに、目的】
セントラルゆうあいは、茨城県牛久市にあるつくばセントラル病院併設の一般棟60床、認知症専門棟40床からなる介護老人保健施設である。自施設では国際貢献や人材の育成、確保を主な目的として、2014年からベトナム人のEPA介護福祉士候補生9名、2019年からは技能実習生の受け入れを行ってきた。7割近くが介護福祉士に合格できたものの、妊娠や賃金・サポートが充実している東京の施設への移動でほとんどが退職してしまった。2023年からは新たにネパール人の介護留学生を毎年2名ずつ、今年度からはインドネシアの特定技能実習生4名の受け入れをしており、現在は11名の外国人職員が在籍している。
母国で3~4年の看護過程終了と日本語検定N3以上である優秀なEPA介護福祉士候補生などに対し、介護留学生は介護の専門学校を卒業していても必ずしも介護福祉士に合格している訳ではなく日本語検定の資格も特に必要性がないため、日本語能力の低さが目立った。
コロナが5類となり、2024年度から介護専門学校の実習生受け入れを再開する事になった。専門学校の先生と打ち合わせをする際、学校の半数近くの学生が外国人で、実習生4名が外国人であるという事、先生達も私達と同様の困り事があると知った。
【方法】
実習生の受け入れを予定している介護専門学校2校の先生方にアンケート調査を依頼
【結果】
生徒数の国別割合である。
両校とも日本人が半数近く、次にベトナム、ネパールの順であった。2025年度の入学生はベトナム人が減り、ネパール人が急激に増加してきている。
指導の際に困った事は、日本語能力や理解に個人差がある事、わからなくても「わかりました」と答えるため本当にどこまで理解しているのかわからない事などであった。
介護専門用語を伝える時の工夫点は、絵や動画・ジェスチャーをふまえ視覚的にも一緒に確認しながら覚える、母国語と擦り合わせながら翻略する、簡単な日本語に言い換えて話すなどであった。
アンケートの結果をもとに自施設でも取り入れていきたい事を考え実践する事にした。
【実践】
「やさしい日本語の話し方」の研修の参加
一番の課題は日本語の理解力不足であると感じ、私達指導者が研修で学び日本人職員に向け勉強会を開催し外国人が聞き取りすい話し方をする様伝達した。
例えば、短く明瞭な指示をしたり「大丈夫?」「わかった?」ではなく「どこが難しいですか?」と回答を求めたり、熟語なども外国人には難しいため、わかりやすく言い換えて説明する様にした。
外国人職員には「介護の日本語」のオンライン研修に参加して介護用語などを学んでもらった。
「絵や写真・ジェスチャー」での掲示や指導
汚物処理の仕方や取扱方法、事故を起こしやすい危険箇所などにわかりやすく注意喚起の札を掲示したり、日勤や早番などの業務や感染のマニュアルなどを外国人向けに絵や写真を入れ分かりやすく作成した。
職員の連携と情報共有での手厚いサポート
既存の外国人サポート委員会を更に強化し、教育委員会との情報共有を行い連携を図るようにした。
実習においてのアンケートや医療・介護用語のミニテストを毎月実施する事で外国人職員の個別進行状況の確認や苦手分野が把握でき、それをもとに次の個別目標の設定を行った。
学習支援においても日本語検定と介護福祉士の資格取得を目標に指導担当を決め、勉強会を毎週交互に開催した。
フロア内においても、一人の新人外国人職員に対し指導職員と同国の先輩外国人職員の二人体制で固定し、業務や生活面なども含め指導や悩みのフォローを図るようにした。
【考察】
「読み書き」「話す」「聞く」は得意分野はそれぞれ違う様だが、「記録」の分野はどの外国人職員も苦手にしていた為、わからない事はその場でメモに残し、その日のうちに日本人職員に確認をする事を週間づける様にした。
「やさしい日本語の話し方」や「絵や写真」などは外国人に限らず、近年の積極性に欠け学習能力が低下してきていると言われている若者日本人職員への指導にも良いと感じた。
今後も外国人の受け入れが続くと思われる中での課題は「やさしい日本語の話し方」の勉強会を定期的に開催し、日本語の伝達方法を多職種にも伝達し共に連携を図っていく。
【まとめ】
今後は日本がますます少子化・多死社会となり人口が減少していくと予想されている中で、介護分野は特に外国人職員が働きやすい職場となる様に職場環境の設定や資格取得の支援を行う必要がある。
これからもさらに外国人職員の声を大事にしながら、日本人と外国人の言葉の壁を取り除き、仲間として協力し合える様に取り組んで行きたい。