講演情報

[27-O-P202-03]No more 腰痛!看護・介護職員の腰痛対策実施中!

愛知県 山下 弘哲, 榊原 和真 (介護老人保健施設メディコ阿久比)
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【はじめに】
休業4日以上の職業性疾病のうち職場での腰痛は約6割を占め,看護・介護の現場においても職業性腰痛の発生件数は大幅に増加しており,その予防を含めた対策が重要な課題となっている。厚生労働省から「職場における腰痛予防対策指針」が発出され,様々な対応策が検討されているが,標準化された方法は示されておらず,地域や施設毎に検討されているのが現状である。そこで、当施設では2019年から腰痛に関するアンケート調査を実施し、腰痛の要因を分析するとともに、分析結果を元に対策を行ってきた。今回、2025年5月のアンケート結果を元に、今後の腰痛対策について検討した結果を報告する。
【方法】
 当施設看護・介護職員を対象に、腰痛に関するアンケート調査を実施。アンケート開始前にアンケートに関する説明を行い、同意を得られた方の回答を分析した。アンケート調査の項目は、腰痛の有無や程度,腰痛を感じる場面,腰痛の予防方法,ストレスやその対処方法,運動習慣,喫煙歴,飲酒,仕事に対する満足度などについて確認した。
 アンケート方法は個人情報が分からないようにID管理にて実施し、集計者は個人が特定できない方法で分析。回答は紙媒体での収集とGoogleフォームによる収集と二つの形式で実施した。
【結果】
 調査対象者105名のうち、回答が得られ、本調査に同意を得られた方は102名であった。
2019年のアンケート調査の結果では、現在腰痛を感じている職員が61%、腰痛を感じていない職員が39%であった。今回の2025年の結果では、現在腰痛を感じている職員は50%、腰痛を感じていない職員が50%となった。
「腰痛になるのではないか不安はありますか?」の質問に対し、62.7%の職員が不安を感じていた。現在の腰痛の有無は50%であったが、「過去12か月に腰痛や不快感、しびれはありましたか?」の質問には62.7%の方があったと回答されている。過去12か月で腰痛により業務内容を変更した職員は10.8%であった。
 腰痛を感じる場面ではオムツ交換が64.7%と最も多く、次いで移乗介助が52%、トイレ介助、起き上がり介助、入浴介助が36.3%であった。
 自分自身で行っている腰痛予防対策では、介助時の姿勢に注意している方が37.3%、ストレッチを行っている方が28.4%、利用者の残存能力の活用を意識している方が25.5%であった。一方で特に何もしていない方が25.5%と多くみられた。しかし、インターネットを活用して勉強している方が6.9%、外部の勉強会への参加、本を読んで勉強している方が0%であった。
 腰痛を感じる場面として多かったオムツ交換、移乗介助、トイレ介助、起き上がり介助、入浴介助場面を理学療法士と共に実際の動作を確認し、その場でのアドバイスと、全体への研修を実施した結果、「わかりやすかった。」「動作を意識するだけで腰への負担が軽減することがわかった。」など、前向きな意見が多く見られた。
 さらに腰痛予防対策についても研修を実施し、「実際の介護場面で取り入れていきたいと思う。」「腰痛にならないように注意したい。」「業務の合間にストレッチを実施したい。」と腰痛予防に対する意識の向上が見られる意見が多く見られた。
【考察】
 約半数の職員が腰痛を感じており、過去12か月にさかのぼると6割以上の職員が腰痛を経験している。また、腰痛への不安感も6割以上の職員が感じており、職場での腰痛対策は喫緊の課題と言える。腰痛を感じる場面として多かったオムツ交換、移乗介助、トイレ介助、起き上がり介助、入浴介助では、前かがみになる動作が多く、特にオムツ交換では長時間前かがみ姿勢となることが考えられた。
 このことから、実際の介助現場を確認し、前かがみ動作を軽減できる方法を検討する必要があると思われたため、当施設の理学療法士と共に介護動作を確認した。実際に確認すると、腰へ負担のかかる動作で介護しているスタッフが多く、また、福祉用具の適切な使用ができていない場面も散見された。岩切らによると、福祉用具を導入するだけでなく、介護者に福祉用具を使用させる組織的な取り組みが必要と述べており、当施設でもトランスファーボードの使用者は明確にしているが、車いすアームレストの跳ね上げ機能の活用や、ベッドの高さ調整などは不十分であり、対策が必要と感じられた。利用者毎の設定は難しく、業務が煩雑となってしまうため、福祉用具の使用方法について定期的に周知する機会を設けることとし、定期的に朝礼時に研修を開催することとした。
 また、腰痛予防対策としては、介助時の姿勢に注意している、利用者の残存能力の活用をしているという回答が多かったが、一方で自主的に勉強する機会を持つ職員が少なく、正しい知識で腰痛予防対策が実践できているかわからず、職場内での研修機会を持つことが重要であると考えられる。インターネット情報や個人での偏った情報のみでの対策となることで間違った腰痛対策をしている可能性もあり、この点からも定期的に腰痛予防に対する研修を実施する必要が感じられた。
【まとめ】
 看護・介護職員の腰痛に関するアンケート調査を実施した。アンケート調査の結果を元に、腰痛を感じる場面を理学療法士と共に確認した。また、腰痛対策についてもスタッフ個人間で違い、間違った対策を実施している可能性も高く、敵的な研修会の開催の必要が感じられた。今後も継続して腰痛予防の取り組みを行い、職員の健康増進に努めていきたい。