講演情報

[27-O-P203-06]おします!中堅職員!「おしエルダー研修」を通して

新潟県 小森 伸子 (介護老人保健施設グリーンヒル与板)
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【目的】
当施設は新潟県中越地区にあり、平成元年3月に開設、定員は入所棟146名、通所リハビリ40名の社会福祉法人が運営する単独型老健である(超強化型算定)。新型コロナウイルス感染症により、当法人内で行っていた外部講師によるエルダー研修が中止となった。そこで、エルダー職員同士で悩みや不安を共有し、相談できること、社会人としてのルールやマナーを含めての指導方法を学ぶこと、エルダー職員が新人教育を通じて自信を持ち、持っている力を十分に発揮してもらうことを目的とした施設独自の研修を開始した。「教える」「押す」「推し」の3つの意味を込め、「おしエルダー研修」と名付けた。
【方法】
令和2年度は、テーマや議題を設けずエルダー職員が気軽に話せる場として介護職員のみを対象とし、毎月1回集まり新人職員の成長度合い、指導方法について悩んでいることなどを聞く場として設定した。
令和3年度から4年度は、看護職員、リハビリ職員も参加し、年間7回、第4火曜日14時から15時に設定した。司会1名、上長にも参加してもらった。主な内容として、新人職員の紹介、指導方法・悩み事等の共有、議題を募集しグループワークを行った。
3年間実施した中で、新人職員によって能力や理解度、成長度に差が出ることから、令和5年度5月より、能力や知識、成長度に応じてリーダーシップを変更するSL理論を取り入れた。また、新人職員が成長していく中で、段階的に悩みや不安が変化し、独り立ちに近い状況になると、自分から疑問点を発信しづらくなる傾向がある。この時期の新人職員の気持ちの理解や不安の解消、エルダーも指導に迷う時期であるため、新たな指導内容の習得に繋げるため、11月に1on1の講義、12月から1on1の実践、1月に実践報告を行った。
【結果】
研修を開始した令和2年度から令和7年度で、延べ21名が参加した。エルダー職員から多く上がった意見は、フロア全体で指導していくことの困難さ、新人職員の成長が順調な場合、半年ほど過ぎると指導内容が見当たらなくなること、新人職員から質問や発信が少なく、何が分からないのか見えづらいこと、基本的な挨拶や言葉使い、上司や同僚との関わりを含めた社会人としての指導の必要性があがった。各フロアで様々な取り組みを実践し、業務内容のレベルが一目でわかるシートや指導内容を日々記載するノートの活用の報告が上がった。他のフロアでも参考にし、試してみることで、年間を通して経過や効果を検討することができた。
指導内容に迷うこと、新人職員の気持ちの把握や理解については、1on1を活用することで、それまで見えなかった不安、疑問を知る機会となった。また、お互いの評価のズレを修正することもでき、同じ認識を再確認する場になった。新人職員の中には、挨拶がうまく相手に伝わらない、適切ではない言葉遣い、遅刻など社会人としてのマナーが備わっていない職員もいた。エルダー職員だけでなく、その都度フロアの職員から声をかける習慣を作ったことで、新人職員の行動が少しずつ変化し、1ヶ月後の研修では改善されたとの報告が聞かれた。研修開始時はエルダー職員から指導するプレッシャーが大きく、不安を感じている言葉が多く聞かれた。しかし、定期的に行う研修で成功例やうまくいかなかったことなどを共有し、仲間の意見を吸収することで、次の課題に向き合う自信がついたように感じた。研修後のアンケートでは「介護の根拠や技術の再確認ができた。」「異動職員にも応用できることがあると感じた。」「エルダー職員、新人職員共に、不安の解消に繋がった。」等の意見が聞かれた。参加職員の20名中8名が昇格し、エルダーを経て施設の中心としての役割を担う力をつけることができた。また、研修開始前の平成27年4月から令和2年3月までの離職率は、介護職員27.0%、リハビリ職員2.0%、看護職員6.2%であった。開始後の令和2年4月から令和7年3月では、介護職員16.4%、リハビリ職員3.7%、看護職員8.9%であった。
【考察】
おしエルダー研修を通して、エルダー職員同士で相談やアドバイスを行い、新人職員やエルダー職員自身の課題を明確にでき、次の目標が見えやすくなった。また、SL理論、1on1を習得し、新人職員の成長のスピードに合わせ、指導内容の調整、評価のズレを修正しながら、同じ目線で不安や困りごとを共有し、一緒に悩み、考え、学んでいく流れを作ることができた。アンケート結果から、根拠や技術の学び直しをすることによって、改めてケアに対する自信や新人職員への指導の説得力に繋がった。
離職率について、リハビリ職員、看護職員は大きな変化はなかったが、介護職員は10.6%減少となっており、参加率の高い介護職員に良い結果が出たことは、この研修が離職防止策のひとつとして役割を果たすことができたのではないかと考える。
【まとめ】
中堅職員は勤務年数が経つにつれ、モチベーションの維持が難しくなり、新人の頃と比べ気持ちの変化がある。そのような時期にエルダーに抜擢され、様々なストレスを抱える立場となる。そこで、「仲間と学び成長できる場」が、再度自信と成長に繋がることを、研修を通して実感することができた。今年度は調理職員も参加しており、チームケアの向上のため、多職種でより様々な角度からの視点を増やしていきたい。また、私自身も学びを深め、新たなカリキュラムの導入や、研修方法を探求し、これからも自信とやりがいを持てる中堅職員の育成を目指していく。