講演情報
[27-O-P203-07]利用者アンケートから見えた外国人職員教育の課題
大阪府 ○松井 美千子 (医療法人徳洲会 介護老人保健施設 吹田徳洲苑)
【はじめに】
当施設は、9年前に外国人を4名採用し、現在、13名が在籍している。高齢者人口は右肩上がりで2025年に必要とされる介護職員は約243万人といわれておりで、年々必要人数は増加している。2024年度、介護福祉士合格率は78.3%で、合格者は6万人をきった。EPA介護福祉士候補生の合格率は、37.9%で外国人介護士が介護福祉士に合格することはとても難しいことである。当施設では、外国人職員が、日本人職員と同じプログラムで看護、介護教育を行っているが、認識の違い、伝わっていないと感じている日本人職員が約60%であり、外国人教育の難しさを痛感している。今回、実際、介護を受ける利用者から見た外国人職員の対応についてアンケート調査を行い、外国人教育の問題点と課題を明確にした。
【現状と問題点】
2022年に、EPA介護福祉士候補生を2名、特定技能介護士は3名受入れた。この5名に関しては、日本での生活、日本での就労も初めてであった。施設内では、日本語を共有ツールとしているが、同じ国の先輩職員、同時期入職の職員がいれば、母国語で話していることが多くみられた。また、自ら利用者への声をかけていない、挨拶をしない、電話対応を含む家族への対応を積極的にしないという声もあった。実際、介護を受けていている利用者は、どう思っているのか、利用者が受けたいケアがきちんと行われているのかと疑問を感じていた。
【方法とアンケート結果】
2024年に、利用者30名に対してアンケートを実施し、回収率は86%であった。アンケート内容は、1)「外国人職員と話したことはありますか。」に対して「はい」と答えた人は22名、「いいえ」と答えた人は2名、無回答は2名であった。2)「外国人職員にお願いしたことと同じことをしてもらえましたか」に22名は「はい」と答えた。しかし、4名の利用者へアンケートをお願いすると「外国人職員さんと話したことないからアンケートに答えられない。」「外国人職員にお願いしたことがないので答えられない。」という返答が聞かれ、また、長期入所者も、外国人介護士の存在に気づいていない人もいた。アンケートに答えてもらえなかった。これは、「外国人職員が、頼まなくてもなんでもやってくれる」という一方で、「声掛け、会話をしていない。利用者を名前で呼ばず、お父さん、お姉さんと呼ぶので尊重していないのではないか。」という日本人職員からの意見があった。後者の意見は、会話を苦手とする外国人職員の特有のことであり、まずは、日本人職員と関わる時間や、業務でのコミュニケーションが積極的に取れるような指導が必要と感じられた。
【改善のための取り組み】
介護副主任、介護リーダーが中心となり、外国人職員教育、指導を行った。
1)利用者の前での母国語での会話は、禁止とした。その都度見かけるたびに注意した。利用者の前では、話す機会が減ったが、業務中のやり取りでは、母国語を使用している場面は見られた。
2)居室担当を持ち、担当の利用者がどのようなケアプランが立案されているのかを学ぶようにした。また、居室担当の役割の1つに「歯磨き粉がなくなったときや、季節の衣類の交換のお願い」などの電話対応があったが、対話が苦手とし電話ができないこともあった。日本人職員がそばにいて、電話をかける指導をし、いつでも電話に変われるようにした。時折、電話では日本語が伝わらず、家族より「今後、日本人が電話してください」と注意も受け、対話の難しさを痛感した。
3)日常の介護記録に関しては、当施設は電子カルテへの記載になるので、今日あったことを2名からWordで書き、その日の介護リーダーがチェックした。きちんと記録としての文章がかけてから電子カルテに介護記録をするようにした。その人のペースで、書く人数を決めていった。
4)委員会活動に関しては、委員会での司会、書記を輪番制とし役割をもたせた。例えば、2024年度、褥瘡対策委員会では、「体位変換の時間について」の問題をあげ、改善に取り組んだ。体位変換の時間については、各部署同時間に実施するように取り決めたが、フロアで1週間経過しても実施なく、職員に伝わっていなかった。委員会に出席した職員に確認すると、「口頭での伝達をするとは知らなかった」との返答があった。また書記の議事録に関しては、自分が聞き取ったことを書き、その後に、委員長に添削し、答え合わせを行った。文章がおかしいところは、訂正し書き直しを一緒にした。
5)接遇面に関しても、部屋に入るときは「失礼します。」朝、出勤してきたときは「おはようございます。」など利用者にも声をかけることを指導した。また、職員同士の挨拶も行うように指導した。
【考察】
アンケートより、「外国人職員と話したことがないので、答えられない。」という言葉で、外国人職員が対話を苦手としていることに気づかされた。改めて挨拶をする習慣をつけ、自ら積極的に利用者にアプローチする指導が必要であると思われる。居室担当は、自己の役割を明確にし、主体性と、自覚を持って業務を行うことが大事である。委員会活動は、自部署以外の場で意見交換をし、自部署への伝達をすることで、職員のヒアリングの能力や、業務内容の理解の確認ができると感じた。
【まとめ】
対話を苦手とする外国人職員にとって、ヒアリングから言語化することは難しく、言語的コミュニケーションがとりにくい。日本語で「介護記録を書くこと。」「委員会に参加すること。」「挨拶をすること」は、言語を学ぶ上では重要であると考えられた。
当施設は、9年前に外国人を4名採用し、現在、13名が在籍している。高齢者人口は右肩上がりで2025年に必要とされる介護職員は約243万人といわれておりで、年々必要人数は増加している。2024年度、介護福祉士合格率は78.3%で、合格者は6万人をきった。EPA介護福祉士候補生の合格率は、37.9%で外国人介護士が介護福祉士に合格することはとても難しいことである。当施設では、外国人職員が、日本人職員と同じプログラムで看護、介護教育を行っているが、認識の違い、伝わっていないと感じている日本人職員が約60%であり、外国人教育の難しさを痛感している。今回、実際、介護を受ける利用者から見た外国人職員の対応についてアンケート調査を行い、外国人教育の問題点と課題を明確にした。
【現状と問題点】
2022年に、EPA介護福祉士候補生を2名、特定技能介護士は3名受入れた。この5名に関しては、日本での生活、日本での就労も初めてであった。施設内では、日本語を共有ツールとしているが、同じ国の先輩職員、同時期入職の職員がいれば、母国語で話していることが多くみられた。また、自ら利用者への声をかけていない、挨拶をしない、電話対応を含む家族への対応を積極的にしないという声もあった。実際、介護を受けていている利用者は、どう思っているのか、利用者が受けたいケアがきちんと行われているのかと疑問を感じていた。
【方法とアンケート結果】
2024年に、利用者30名に対してアンケートを実施し、回収率は86%であった。アンケート内容は、1)「外国人職員と話したことはありますか。」に対して「はい」と答えた人は22名、「いいえ」と答えた人は2名、無回答は2名であった。2)「外国人職員にお願いしたことと同じことをしてもらえましたか」に22名は「はい」と答えた。しかし、4名の利用者へアンケートをお願いすると「外国人職員さんと話したことないからアンケートに答えられない。」「外国人職員にお願いしたことがないので答えられない。」という返答が聞かれ、また、長期入所者も、外国人介護士の存在に気づいていない人もいた。アンケートに答えてもらえなかった。これは、「外国人職員が、頼まなくてもなんでもやってくれる」という一方で、「声掛け、会話をしていない。利用者を名前で呼ばず、お父さん、お姉さんと呼ぶので尊重していないのではないか。」という日本人職員からの意見があった。後者の意見は、会話を苦手とする外国人職員の特有のことであり、まずは、日本人職員と関わる時間や、業務でのコミュニケーションが積極的に取れるような指導が必要と感じられた。
【改善のための取り組み】
介護副主任、介護リーダーが中心となり、外国人職員教育、指導を行った。
1)利用者の前での母国語での会話は、禁止とした。その都度見かけるたびに注意した。利用者の前では、話す機会が減ったが、業務中のやり取りでは、母国語を使用している場面は見られた。
2)居室担当を持ち、担当の利用者がどのようなケアプランが立案されているのかを学ぶようにした。また、居室担当の役割の1つに「歯磨き粉がなくなったときや、季節の衣類の交換のお願い」などの電話対応があったが、対話が苦手とし電話ができないこともあった。日本人職員がそばにいて、電話をかける指導をし、いつでも電話に変われるようにした。時折、電話では日本語が伝わらず、家族より「今後、日本人が電話してください」と注意も受け、対話の難しさを痛感した。
3)日常の介護記録に関しては、当施設は電子カルテへの記載になるので、今日あったことを2名からWordで書き、その日の介護リーダーがチェックした。きちんと記録としての文章がかけてから電子カルテに介護記録をするようにした。その人のペースで、書く人数を決めていった。
4)委員会活動に関しては、委員会での司会、書記を輪番制とし役割をもたせた。例えば、2024年度、褥瘡対策委員会では、「体位変換の時間について」の問題をあげ、改善に取り組んだ。体位変換の時間については、各部署同時間に実施するように取り決めたが、フロアで1週間経過しても実施なく、職員に伝わっていなかった。委員会に出席した職員に確認すると、「口頭での伝達をするとは知らなかった」との返答があった。また書記の議事録に関しては、自分が聞き取ったことを書き、その後に、委員長に添削し、答え合わせを行った。文章がおかしいところは、訂正し書き直しを一緒にした。
5)接遇面に関しても、部屋に入るときは「失礼します。」朝、出勤してきたときは「おはようございます。」など利用者にも声をかけることを指導した。また、職員同士の挨拶も行うように指導した。
【考察】
アンケートより、「外国人職員と話したことがないので、答えられない。」という言葉で、外国人職員が対話を苦手としていることに気づかされた。改めて挨拶をする習慣をつけ、自ら積極的に利用者にアプローチする指導が必要であると思われる。居室担当は、自己の役割を明確にし、主体性と、自覚を持って業務を行うことが大事である。委員会活動は、自部署以外の場で意見交換をし、自部署への伝達をすることで、職員のヒアリングの能力や、業務内容の理解の確認ができると感じた。
【まとめ】
対話を苦手とする外国人職員にとって、ヒアリングから言語化することは難しく、言語的コミュニケーションがとりにくい。日本語で「介護記録を書くこと。」「委員会に参加すること。」「挨拶をすること」は、言語を学ぶ上では重要であると考えられた。
