講演情報
[27-O-P204-06]イライラよ無くなれ!アンガーマネジメントを活用して
広島県 ○佐々木 仁, 濱田 彩子, 古田 広子 (介護老人保健施設まいえ)
【はじめに】
当施設は病院併設型の超強化型老人保健施設である。入所定員96名で2フロアに分かれている。H30年度、基本型老健で始まった当時の年間の新規入所者数は2フロアで41名だった。その後R3年度には2倍になり、超強化型となったR6年度には122名と約3倍に増えた。45名だった退所者数もR6年度には118名の2倍以上になっている。
これらの状況から日々の業務に追われる中で、職員が慢性的なストレスを感じている事が分かった。そこで、介護業界においてアンガーマネジメント技術の重要性が注目されている事に着目し、どう行えば精神的な余裕を持つ事ができるのかを考え、職員のストレス軽減を目的に同技術の習得に取り組んだ結果をここに報告する。
【目的】
職員のストレスの原因を追究し、それにあった対応策を考える事ができる。
【期間】
2025年4月1日~2025年5月30日
【対象】
看護・介護職員17名
【方法】
1、研究前の職員へのアンケート調査
13項目の事例をあげ、その中から最もイライラする項目を選択してもらい、上位5項目をアンガーマネジメント実施前後で比較する。尚、ストレスレベルは10段階に分け数値化する。
2、研究前のアンケート回収後、アンガーマネジメント技術の意義と方法について説明を行う。
3、アンガーマネジメント実施後、職員へ良かった点・悪かった点のアンケート調査を行う。
【倫理的配慮】
アンケートは統計をとる目的だけに使用し、個人を特定されないよう配慮し、無記名で回収した。
【経過・結果】
職員が業務中に感じるストレスの要因を明らかにするため、事前アンケート調査を実施し、13項目中の上位5項目を選び出した。1位:頻回なトイレ対応、2位:転倒リスクがある方の頻回な立ち上がり対応、3位:同じ訴えが続く方への対応、4位:頻回なコール対応、5位:同時に複数箇所で鳴るコール対応となった。これらの事例についてストレスレベルの数値化を行い、その後、アンガーマネジメント技術の意義と方法を職員に説明した上で、8つの対処法を記載したカードを配布し、業務に取り組んでもらった。実施後のアンケートでは、業務中のストレスは僅かに減少する結果となり、その中で「深呼吸」が最も使用され、次いで「思考を止める」「その場を離れる」であった。
アンガーマネジメントの実施後、良かった事として「深呼吸により冷静に対応できた」「ストレスを感じた時に行う事で気持ちが落ち着いた」「気持ちをリセットし新たな気持ちで向き合えた」などがあった。一方で悪かった事として「イライラしている時に6秒ルールや深呼吸はできないと思った」「考えるのを止めると気が楽になるが問題と向き合えていない」「短時間で行えるものしか試していない」「忙し過ぎたり余裕がない時は活用できていなかった」などの意見があった。
【考察・まとめ】
アンガーマネジメントの実施により効果を実感する職員もいたが、大きな効果としては表れなかった。主な要因として多忙な現場の中、簡単な方法でなければ実施するのが難しい事が挙げられる。他にも短い実施期間であった事や、職員ごとのストレスレベルに個人差がある為、効果にばらつきが生じたと考えられる。
頻回なトイレ対応によりストレスを感じるという職員が最も多かったが、主な要因として、すぐに対応できない状況の中、待つことが困難な利用者様に対して「少しお待ち下さい」と何度も伝えることになり、同じ事の繰り返しによってストレスをより強く感じてしまうのではないかと考えられる。こうしたストレスを抱えたまま業務にあたることは、利用者様への質の高いサービス提供の妨げとなり、不適切なケアに繋がる恐れもある。特に認知症の方との意思疎通の難しさや、時間に追われる業務環境が職員に焦りをもたらし、それがプレッシャーとなってストレスをさらに蓄積させる。理想としては常に利用者様を優先した対応が求められるが、現実には思うような対応ができない状況が多く存在し、その結果として、通常なら笑って流せるような出来事に対してもイライラし、怒りの感情に繋がってしまうという悪循環に陥りがちである。このような状況を改善するには、職員同士が利用者様への対応において「良かった」と感じた言葉かけや接し方を積極的に共有し、対応策を講じる事で感情的になってしまうのをある程度は防ぐことができるのではと考えられる。また、怒りを感じた際には、その感情を否定するのではなく、上手く受け止めて自分のモチベーションへと転換することができれば、より良いケアの提供へと繋がっていく。
今回は、利用者様の対応中に生じるストレスの軽減に焦点を当てた取り組みを行ったが、その他にも職員間の連携がうまく取れない等、様々な要因がストレスとなっている。
介護現場はストレスが蓄積しやすい環境であり、忙しい時にこそ意識的に一呼吸置き、気持ちを切り替え冷静かつ丁寧な対応が必要となる。こうした技術は業務中だけでなく私生活においても平常心を保つ手段として有効である。
アンガーマネジメントを一つのツールとして取り入れ、怒りの感情と正面から向き合い、それを否定せず受け止めながら適切にコントロールしていく事が重要である。利用者様により良いケアを提供していく為には自らの感情を理解し、冷静に対応できる力を付けることを課題に今後も取り組んでいきたい。
当施設は病院併設型の超強化型老人保健施設である。入所定員96名で2フロアに分かれている。H30年度、基本型老健で始まった当時の年間の新規入所者数は2フロアで41名だった。その後R3年度には2倍になり、超強化型となったR6年度には122名と約3倍に増えた。45名だった退所者数もR6年度には118名の2倍以上になっている。
これらの状況から日々の業務に追われる中で、職員が慢性的なストレスを感じている事が分かった。そこで、介護業界においてアンガーマネジメント技術の重要性が注目されている事に着目し、どう行えば精神的な余裕を持つ事ができるのかを考え、職員のストレス軽減を目的に同技術の習得に取り組んだ結果をここに報告する。
【目的】
職員のストレスの原因を追究し、それにあった対応策を考える事ができる。
【期間】
2025年4月1日~2025年5月30日
【対象】
看護・介護職員17名
【方法】
1、研究前の職員へのアンケート調査
13項目の事例をあげ、その中から最もイライラする項目を選択してもらい、上位5項目をアンガーマネジメント実施前後で比較する。尚、ストレスレベルは10段階に分け数値化する。
2、研究前のアンケート回収後、アンガーマネジメント技術の意義と方法について説明を行う。
3、アンガーマネジメント実施後、職員へ良かった点・悪かった点のアンケート調査を行う。
【倫理的配慮】
アンケートは統計をとる目的だけに使用し、個人を特定されないよう配慮し、無記名で回収した。
【経過・結果】
職員が業務中に感じるストレスの要因を明らかにするため、事前アンケート調査を実施し、13項目中の上位5項目を選び出した。1位:頻回なトイレ対応、2位:転倒リスクがある方の頻回な立ち上がり対応、3位:同じ訴えが続く方への対応、4位:頻回なコール対応、5位:同時に複数箇所で鳴るコール対応となった。これらの事例についてストレスレベルの数値化を行い、その後、アンガーマネジメント技術の意義と方法を職員に説明した上で、8つの対処法を記載したカードを配布し、業務に取り組んでもらった。実施後のアンケートでは、業務中のストレスは僅かに減少する結果となり、その中で「深呼吸」が最も使用され、次いで「思考を止める」「その場を離れる」であった。
アンガーマネジメントの実施後、良かった事として「深呼吸により冷静に対応できた」「ストレスを感じた時に行う事で気持ちが落ち着いた」「気持ちをリセットし新たな気持ちで向き合えた」などがあった。一方で悪かった事として「イライラしている時に6秒ルールや深呼吸はできないと思った」「考えるのを止めると気が楽になるが問題と向き合えていない」「短時間で行えるものしか試していない」「忙し過ぎたり余裕がない時は活用できていなかった」などの意見があった。
【考察・まとめ】
アンガーマネジメントの実施により効果を実感する職員もいたが、大きな効果としては表れなかった。主な要因として多忙な現場の中、簡単な方法でなければ実施するのが難しい事が挙げられる。他にも短い実施期間であった事や、職員ごとのストレスレベルに個人差がある為、効果にばらつきが生じたと考えられる。
頻回なトイレ対応によりストレスを感じるという職員が最も多かったが、主な要因として、すぐに対応できない状況の中、待つことが困難な利用者様に対して「少しお待ち下さい」と何度も伝えることになり、同じ事の繰り返しによってストレスをより強く感じてしまうのではないかと考えられる。こうしたストレスを抱えたまま業務にあたることは、利用者様への質の高いサービス提供の妨げとなり、不適切なケアに繋がる恐れもある。特に認知症の方との意思疎通の難しさや、時間に追われる業務環境が職員に焦りをもたらし、それがプレッシャーとなってストレスをさらに蓄積させる。理想としては常に利用者様を優先した対応が求められるが、現実には思うような対応ができない状況が多く存在し、その結果として、通常なら笑って流せるような出来事に対してもイライラし、怒りの感情に繋がってしまうという悪循環に陥りがちである。このような状況を改善するには、職員同士が利用者様への対応において「良かった」と感じた言葉かけや接し方を積極的に共有し、対応策を講じる事で感情的になってしまうのをある程度は防ぐことができるのではと考えられる。また、怒りを感じた際には、その感情を否定するのではなく、上手く受け止めて自分のモチベーションへと転換することができれば、より良いケアの提供へと繋がっていく。
今回は、利用者様の対応中に生じるストレスの軽減に焦点を当てた取り組みを行ったが、その他にも職員間の連携がうまく取れない等、様々な要因がストレスとなっている。
介護現場はストレスが蓄積しやすい環境であり、忙しい時にこそ意識的に一呼吸置き、気持ちを切り替え冷静かつ丁寧な対応が必要となる。こうした技術は業務中だけでなく私生活においても平常心を保つ手段として有効である。
アンガーマネジメントを一つのツールとして取り入れ、怒りの感情と正面から向き合い、それを否定せず受け止めながら適切にコントロールしていく事が重要である。利用者様により良いケアを提供していく為には自らの感情を理解し、冷静に対応できる力を付けることを課題に今後も取り組んでいきたい。
