講演情報
[27-O-R003-02]新型コロナ禍中に脳卒中を乗り越え自宅復帰できた一例
山口県 ○有吉 真彦, 前川 剛志 (介護老人保健施設宇部幸楽苑)
【はじめに】:新型コロナ禍の中で、入苑の当初から「自宅に帰り長男とまた暮らしたい」と言われ、自宅復帰に向けて色々な困難に向き合い頑張られた。自宅では長男が仕事をしながら食事・排泄・移動のことなど、介護全般に対する不安を抱えながらも、母親の思いを汲んで自宅復帰ができたのでその症例を報告する。
【症例紹介】:76歳、要介護2の女性である。現病歴には糖尿病、高血圧症、左/右被殻出血後遺症、左穿通枝アテローム血栓性梗塞後遺症、脳血管性パーキンソン症候群、陳旧性多発性脊椎圧迫骨折、肝嚢胞があり、既往歴には前述のもの以外に子宮筋腫、右踵骨骨折がある。
入所前の状況:55歳で右被殻出血を発症したが、麻痺なく普段の生活を送れていた。2022年9月に右足の出にくさと構音障害を自覚し、左被殻出血で入院し保存的治療となるが、入院中に左穿通枝梗塞を発症して右上肢麻痺、構音障害、嚥下障害などが残った。
入苑後のADL: 移動は車イス(自操可能)。ベッド・トイレへの移乗は自立。排泄は紙パンツ・パット使用し、日中はトイレ、夜間はパット内である。食事は糖尿食1400kcalで軟飯・刻み菜、(とろみあん使用)汁、水分補給もトロミ付きである。むせ込みがあり、咽頭・喉頭内視鏡で誤嚥リスクありとされた。入浴は軽介助で手の届かない所、洗浄が不十分な所を介助した。更衣は麻痺側の袖通しは介助で、ボタンは自分で対応可能であった。
入所から自宅復帰まで: 2023年4月に入苑された。入所時に「可能であればまた自宅に帰りたい」と希望されたが、新型コロナ禍の期間中で家族との面会にも制限があり、外出・外泊もできなかったが必死にリハビリを継続された。2024年3月に法事に参加する為、リハビリスタッフより長男に車への乗降のアドバイスを行い、法事の日を迎えた。しかし、長男からはさらなるリハビリテーションを依頼され、本人はその後もリハビリを頑張った。同年4月から自宅復帰の為の外出訓練を開始した。しかし、同年9月の夜間帯に意識消失があり自宅復帰は一旦中止となった。2024年11月に長男と話し合い、「母親が自宅に帰りたいと言うのであれば帰してあげたい」と決断され、再度自宅復帰の努力を再開した。2025年1月に長男に自宅復帰に向けた食事指導を開始した。管理栄養士、居宅ケアマネ、施設ケアマネ、相談員が出席し、食事の風景の動画を見せ、自宅に帰ってからの注意点を示した。また、長男が食事を作れないので、食事の対応を検討した。同年2月に嚥下内視鏡検査を行い、食事も誤嚥している可能性があることが分かり、食事の姿勢・セッティング・すべり止め・水分にはトロミの指導などが入る。同年3月に 2回目の自宅訪問を行い、居宅ケアマネ・福祉用具担当者を招いてレンタルと今後の予定について話し合った。4月に退苑後に利用するデイサービスの施設を見学し、食事時の注意点などを申し送り、トイレでの移乗を当苑で訓練することが決まる。また、退院前連携会議を開催し、管理栄養士より長男にトロミの付け方を指導して、リハビリからは歩行時の腋窩介助などを指導した結果、4月17日に無事に自宅復帰できた。
【倫理的配慮】:研究対象者、およびその長男に研究の目的、主旨、研究への参加の自由を保証し、不参加や辞退することで不利益を被らないこと、データーは研究以外に使用しないこと、学会などで発表するは匿名化などにより、個人情報保護法に則って発表することを説明した。また本研究は当法人倫理委員会の承認を受けている。
【考察】:今回の自宅復帰は、長男が一人暮らししている自宅に帰ることになった。長男は介護未経験で、食事準備などがあまりできず、母親には片麻痺と嚥下障害があった。また施設の方針でコロナを警戒して、外出・外泊ができない状況で、退所日が自宅生活本番になって、本人・長男に不安を与えた。事前に自宅訪問し、問題となる自宅内での動きや長男に介護指導、トロミの付け方、食事を朝・昼・夕食をデイサービスで食べることで、外出・外泊をせずとも最低限の準備ができた。
【まとめ】:自宅復帰の準備期間中、苑内のコロナクラスターや本人の意識消失などがあり、何度も自宅復帰が中止となった。しかし、本人、長男ともに自宅復帰を諦めず、その日を夢見ながらリハビリ等を頑張り、退苑の日を迎えられた。長男には全てが始めてのことで負担も大きかったが、一ヶ月間という自宅復帰の期間を設けることで、心のゆとりをもって介護に当たることができ、今後の長期の自宅復帰に繋がると考える。
【症例紹介】:76歳、要介護2の女性である。現病歴には糖尿病、高血圧症、左/右被殻出血後遺症、左穿通枝アテローム血栓性梗塞後遺症、脳血管性パーキンソン症候群、陳旧性多発性脊椎圧迫骨折、肝嚢胞があり、既往歴には前述のもの以外に子宮筋腫、右踵骨骨折がある。
入所前の状況:55歳で右被殻出血を発症したが、麻痺なく普段の生活を送れていた。2022年9月に右足の出にくさと構音障害を自覚し、左被殻出血で入院し保存的治療となるが、入院中に左穿通枝梗塞を発症して右上肢麻痺、構音障害、嚥下障害などが残った。
入苑後のADL: 移動は車イス(自操可能)。ベッド・トイレへの移乗は自立。排泄は紙パンツ・パット使用し、日中はトイレ、夜間はパット内である。食事は糖尿食1400kcalで軟飯・刻み菜、(とろみあん使用)汁、水分補給もトロミ付きである。むせ込みがあり、咽頭・喉頭内視鏡で誤嚥リスクありとされた。入浴は軽介助で手の届かない所、洗浄が不十分な所を介助した。更衣は麻痺側の袖通しは介助で、ボタンは自分で対応可能であった。
入所から自宅復帰まで: 2023年4月に入苑された。入所時に「可能であればまた自宅に帰りたい」と希望されたが、新型コロナ禍の期間中で家族との面会にも制限があり、外出・外泊もできなかったが必死にリハビリを継続された。2024年3月に法事に参加する為、リハビリスタッフより長男に車への乗降のアドバイスを行い、法事の日を迎えた。しかし、長男からはさらなるリハビリテーションを依頼され、本人はその後もリハビリを頑張った。同年4月から自宅復帰の為の外出訓練を開始した。しかし、同年9月の夜間帯に意識消失があり自宅復帰は一旦中止となった。2024年11月に長男と話し合い、「母親が自宅に帰りたいと言うのであれば帰してあげたい」と決断され、再度自宅復帰の努力を再開した。2025年1月に長男に自宅復帰に向けた食事指導を開始した。管理栄養士、居宅ケアマネ、施設ケアマネ、相談員が出席し、食事の風景の動画を見せ、自宅に帰ってからの注意点を示した。また、長男が食事を作れないので、食事の対応を検討した。同年2月に嚥下内視鏡検査を行い、食事も誤嚥している可能性があることが分かり、食事の姿勢・セッティング・すべり止め・水分にはトロミの指導などが入る。同年3月に 2回目の自宅訪問を行い、居宅ケアマネ・福祉用具担当者を招いてレンタルと今後の予定について話し合った。4月に退苑後に利用するデイサービスの施設を見学し、食事時の注意点などを申し送り、トイレでの移乗を当苑で訓練することが決まる。また、退院前連携会議を開催し、管理栄養士より長男にトロミの付け方を指導して、リハビリからは歩行時の腋窩介助などを指導した結果、4月17日に無事に自宅復帰できた。
【倫理的配慮】:研究対象者、およびその長男に研究の目的、主旨、研究への参加の自由を保証し、不参加や辞退することで不利益を被らないこと、データーは研究以外に使用しないこと、学会などで発表するは匿名化などにより、個人情報保護法に則って発表することを説明した。また本研究は当法人倫理委員会の承認を受けている。
【考察】:今回の自宅復帰は、長男が一人暮らししている自宅に帰ることになった。長男は介護未経験で、食事準備などがあまりできず、母親には片麻痺と嚥下障害があった。また施設の方針でコロナを警戒して、外出・外泊ができない状況で、退所日が自宅生活本番になって、本人・長男に不安を与えた。事前に自宅訪問し、問題となる自宅内での動きや長男に介護指導、トロミの付け方、食事を朝・昼・夕食をデイサービスで食べることで、外出・外泊をせずとも最低限の準備ができた。
【まとめ】:自宅復帰の準備期間中、苑内のコロナクラスターや本人の意識消失などがあり、何度も自宅復帰が中止となった。しかし、本人、長男ともに自宅復帰を諦めず、その日を夢見ながらリハビリ等を頑張り、退苑の日を迎えられた。長男には全てが始めてのことで負担も大きかったが、一ヶ月間という自宅復帰の期間を設けることで、心のゆとりをもって介護に当たることができ、今後の長期の自宅復帰に繋がると考える。
