講演情報
[27-O-R003-03]「またね」「おかえり」の繰返しで在宅生活継続を支援繰り返し利用できる老健の強みを活用
大阪府 ○庄田 史子 (介護老人保健施設竜間之郷)
1.はじめに
我が国では、高齢者が要介護状態になっても、住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、地域完結型の支援体制の整備、いわゆる地域包括システムの構築が喫緊の課題となっている。もともと、介護老人保健施設(以下、老健)は「在宅復帰施設」と定義されていたが、2017年6月改正の介護保険法において「在宅支援施設」であると明記され、より大きなくくりで、老健の機能が記されるようになった。そこで、地域包括ケアシステムにおける老健の役割は、地域で暮らす高齢者の人生とともに変化するニーズに、その都度対応し得る受け皿となることではないかと考えた。
しかし、日々入所相談に対応する中で、老健の多様な機能、役割について知られていないと感じ、それらを周知する取り組みを行うことにした。
2.目的
ご利用者及びご家族へ、老健の多様な機能、役割について周知し、次の利用へつなげる。
3.方法
期間:2024年1月4日~9月30日
方法: 利用者及びご家族へ、全国老人保健施設協会(以下全老健)作成冊子「老健って何?」を用い、老健の多様な機能・役割を入所時と退所時に紹介、再利用の提案を実施。期間中に入所し、一度退所したが再入所された件数を集計、目的の変化の有無を中心に分析する。
4.結果
期間中に入所し、一度退所したが再利用された件数は16件。うち在宅からが7件、医療機関からが9件。在宅からの入所は、いずれも在宅復帰を目的とするもの(変化なし)が5件、在宅復帰目的から介護者不在の間の療養目的への変化が1件、在宅復帰目的から施設入所目的への変化が1件。医療機関からの入所では、在宅復帰目的での利用中に転院、治療後も在宅復帰目的での再入所(変化なし)が4件。施設入居目的での利用中に転院、施設入居目的での再利用(変化なし)が3件、在宅復帰目的で入所中に転院、看取り目的での再利用が1件、主介護者不在の間の療養目的での利用中に転院、看取り目的での再利用が1件。16件のうち、4件(25%)は目的の異なる利用であり、老健の多様な機能・役割を周知できた結果と言える。
5.考察
利用目的がいずれも在宅復帰で変化が無かった例においても、退所から再利用までは最短16日、最長約3か月と大きく異なった。前者は、予めでの介護可能な期間を検討、短期在宅を送った例。後者は、期間を定めずに退所したが、限界が来たから再入所するという例。これも、多様な機能・役割を持つ結果と考えられた。また、ご利用者及びご家族から「一度退所するとなかなか利用できないと思っていた。」「寒い時期不安だからとかでも入れてもらえるんですね。」「(短期在宅生活を提案し、竜間之郷が)第2の家になるわけですね。」といった発言が見られ、「またね」と言って自宅へ帰る利用者もいた。老健の多様な機能・役割について周知することができた結果と考えた。
しかし、全入所件数に占める再利用割合は、2014年度で全108件のうち78件(約76%)であったが、2018年度には146件のうち88件(約60%)、2023年度には163件のうち60件(約37%)と低下傾向にあると分かった。低下の一因に、多様な目的での再利用が可能なことの周知不足が考えられた。
また、紹介元別にみると、介護支援専門員がいずれも半数を超え、次いで医療機関が多かった。医療機関からの紹介は、協力医療機関、併設医療機関が占める割合が95%で、ほとんどが転院、治療後に直接再利用しているケースであった。よって、竜間之郷を退所し、しばらく経って医療機関へ入院した利用者が、老健の再利用が必要な場合、竜間之郷へ相談可能であると周知していくことが、今後必要と考えた。
さらに、全老健の調査において、在宅復帰(超)強化型施設における全入所件数のうち、再利用が占める割合が約50%に対し、その他分類施設はや約35%と低い水準であることが分かった。また在宅復帰(超)強化型施設を再利用した利用者の入所前の居所は居宅が約75%を占めていた。これは在宅復帰(超)強化型施設には高い在宅復帰率と回転率が求められるが、再利用件数がこれに貢献していると考えられた。
6.結論
老健の多様な目的で、繰り返し利用できるという特徴をご利用者、ご家族、また支援者に周知する取り組みを継続して行う事が求められる。さらに、医療機関へ入院した際、竜間之郷の利用歴があることを相談員等の退院支援担当者へ伝わる仕組みづくりも検討していく。一人の利用者が「またね」「おかえり」を繰り返しながら、住み慣れた地域で生活を続けられるよう、老健は在宅支援施設として地域に貢献していくことができる。
我が国では、高齢者が要介護状態になっても、住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、地域完結型の支援体制の整備、いわゆる地域包括システムの構築が喫緊の課題となっている。もともと、介護老人保健施設(以下、老健)は「在宅復帰施設」と定義されていたが、2017年6月改正の介護保険法において「在宅支援施設」であると明記され、より大きなくくりで、老健の機能が記されるようになった。そこで、地域包括ケアシステムにおける老健の役割は、地域で暮らす高齢者の人生とともに変化するニーズに、その都度対応し得る受け皿となることではないかと考えた。
しかし、日々入所相談に対応する中で、老健の多様な機能、役割について知られていないと感じ、それらを周知する取り組みを行うことにした。
2.目的
ご利用者及びご家族へ、老健の多様な機能、役割について周知し、次の利用へつなげる。
3.方法
期間:2024年1月4日~9月30日
方法: 利用者及びご家族へ、全国老人保健施設協会(以下全老健)作成冊子「老健って何?」を用い、老健の多様な機能・役割を入所時と退所時に紹介、再利用の提案を実施。期間中に入所し、一度退所したが再入所された件数を集計、目的の変化の有無を中心に分析する。
4.結果
期間中に入所し、一度退所したが再利用された件数は16件。うち在宅からが7件、医療機関からが9件。在宅からの入所は、いずれも在宅復帰を目的とするもの(変化なし)が5件、在宅復帰目的から介護者不在の間の療養目的への変化が1件、在宅復帰目的から施設入所目的への変化が1件。医療機関からの入所では、在宅復帰目的での利用中に転院、治療後も在宅復帰目的での再入所(変化なし)が4件。施設入居目的での利用中に転院、施設入居目的での再利用(変化なし)が3件、在宅復帰目的で入所中に転院、看取り目的での再利用が1件、主介護者不在の間の療養目的での利用中に転院、看取り目的での再利用が1件。16件のうち、4件(25%)は目的の異なる利用であり、老健の多様な機能・役割を周知できた結果と言える。
5.考察
利用目的がいずれも在宅復帰で変化が無かった例においても、退所から再利用までは最短16日、最長約3か月と大きく異なった。前者は、予めでの介護可能な期間を検討、短期在宅を送った例。後者は、期間を定めずに退所したが、限界が来たから再入所するという例。これも、多様な機能・役割を持つ結果と考えられた。また、ご利用者及びご家族から「一度退所するとなかなか利用できないと思っていた。」「寒い時期不安だからとかでも入れてもらえるんですね。」「(短期在宅生活を提案し、竜間之郷が)第2の家になるわけですね。」といった発言が見られ、「またね」と言って自宅へ帰る利用者もいた。老健の多様な機能・役割について周知することができた結果と考えた。
しかし、全入所件数に占める再利用割合は、2014年度で全108件のうち78件(約76%)であったが、2018年度には146件のうち88件(約60%)、2023年度には163件のうち60件(約37%)と低下傾向にあると分かった。低下の一因に、多様な目的での再利用が可能なことの周知不足が考えられた。
また、紹介元別にみると、介護支援専門員がいずれも半数を超え、次いで医療機関が多かった。医療機関からの紹介は、協力医療機関、併設医療機関が占める割合が95%で、ほとんどが転院、治療後に直接再利用しているケースであった。よって、竜間之郷を退所し、しばらく経って医療機関へ入院した利用者が、老健の再利用が必要な場合、竜間之郷へ相談可能であると周知していくことが、今後必要と考えた。
さらに、全老健の調査において、在宅復帰(超)強化型施設における全入所件数のうち、再利用が占める割合が約50%に対し、その他分類施設はや約35%と低い水準であることが分かった。また在宅復帰(超)強化型施設を再利用した利用者の入所前の居所は居宅が約75%を占めていた。これは在宅復帰(超)強化型施設には高い在宅復帰率と回転率が求められるが、再利用件数がこれに貢献していると考えられた。
6.結論
老健の多様な目的で、繰り返し利用できるという特徴をご利用者、ご家族、また支援者に周知する取り組みを継続して行う事が求められる。さらに、医療機関へ入院した際、竜間之郷の利用歴があることを相談員等の退院支援担当者へ伝わる仕組みづくりも検討していく。一人の利用者が「またね」「おかえり」を繰り返しながら、住み慣れた地域で生活を続けられるよう、老健は在宅支援施設として地域に貢献していくことができる。
