講演情報
[27-O-R003-04]在宅復帰者は新たな入所の待機者!?~退所者730名の追跡調査~
千葉県 ○市原 涼介 (介護老人保健施設野田ライフケアセンター)
【はじめに】
当施設は入所・短期入所定員100床を持つ超在宅強化型老健である。在宅復帰という老健本来の役割を果たし、健全な運営を行うためには在宅復帰率と稼働率の両立が日々の課題である。稼働率を維持するため新規入所者の獲得に努めることも必要だが、一度在宅復帰した利用者のフォローを行い再入所の希望に応えることも求められている。今回、施設入所における再入所の割合と、どのような利用者がどのような理由で再入所となったかを調査し、老健に求められる役割と運営方法への活用について考察したので報告する。
【方法および結果】
令和2~6年度までの施設入所者735名と、退所者730名の属性を調査し、下記項目を数値化した。
1)新規入所者と再入所者の割合(n=735名)
新規入所者:463名(63.0%) 再入所者:272名(37.0%)
2)退所先割合(n=730名)
在宅:246名(33.7%) 医療機関:203名(27.8%) 特養・老健:145名(19.9%)
在宅扱い施設:66名(9.0%) 看取り:62名(8.5%) その他:8名(1.1%)
3)退所先別の再入所率(n=248名)
在宅:130名(52.8%) 医療機関:114名(56.2%) 特養・老健:1名(0.7%)
在宅扱い施設:3名(4.5%)
4)在宅復帰後に再入所した理由の割合(n=130名)
介護者の介護負担、就労状況、入院を含む体調不良:81名(62.3%)
本人のリハビリ、入院を含む体調不良:26名(20.0%)
避暑・避寒など季節的な理由:22名(16.9%)
その他(自宅のリフォーム期間):1名(0.8%)
【考察】
入所者735名のうち実に3分の1以上が再入所者であり、老健に求められている再利用率の高さが示された。
退所先別の再利用率でみると、医療機関では56.2%と2人に1人以上の割合で再入所していた。基本的には医療機関で加療された場合再入所となるが、それに至らなかった利用者は老健での医療設備では対応できなくなった、またはそのまま死亡されたケースであった。一方で、特養や有料老人ホームなどへの退所となると再入所率は5%に満たなかった。これは、終いの住まいという役割を持つ長期療養施設へ移ると、そこで生活が完結していることが理由として考えられる。再入所に至った少数のケースは、胃瘻造設や痰の吸引などが必要となり、入所した施設での生活が継続困難となったなどの理由であった。
そして、在宅復帰者は様々な理由で52.8%の割合で再入所していることが分かった。その最も多い理由は介護者自身によるもので62.3%を占めていた。介護により身体・精神的に疲労を感じた、就労状況の変化などの理由があり、中には介護者自身が入院を余儀なくされてしまい、残されてしまう利用者を急遽再入所案内したこともあった。このように、状況によってはよりスピードを求められるケースもあり、家族や担当ケアマネージャーと密に連絡が取れる関係性を築く必要があると感じた。一方で、本人自身の身体機能の低下や医療機関への入院など、再度リハビリを行いブラッシュアップが必要となるケースが20.0%あり、介護者自身の要因に次ぐ理由となった。これは、施設入所中では行えていた活動や栄養管理、医療的なケアなどが自宅に戻ってから継続出来ていない可能性があり、再入所している期間で何が問題であったのかを評価し、在宅サービスや環境調整など生活方法の見直しが必要であると考えた。また、避暑・避寒などを理由に定期的な入所と在宅復帰を希望する利用者も16.9%おり、ここ数年の異常気象も相まってニーズが高まっている。
利用者家族の中には「老健は何か問題が起きないと入所できない。」という認識を持っていることもあり、季節だったりレスパイトであったりと様々な理由で入所が出来る旨を説明すると驚かれることも少なくない。こういったニーズに応える体制を整えることで、地域での在宅生活の限界ラインをギリギリまで引き上げることができ、より多くの在宅復帰を可能とする。引き続き、地域住民や居宅ケアマネージャーに老健の活用方法をPRしていくことが重要だと考えた。
【結論】
今回の調査で、在宅復帰者は高い割合で再入所が必要になることが改めて分かった。在宅復帰後は当施設の通所リハや短期入所、訪問サービスなどで関係性を続けていくことができるが、長期療養施設への退所後はそれが途絶えてしまう。様々なアプローチを行い、老健の一番の目的である在宅復帰者を地域に増やすことが、長い目で見て稼働率の維持に繋がり、健全な施設運営を可能とする。これからも、利用者・家族に再度利用したいと思っていただけるよう丁寧なケアと対応をし、在宅復帰後の療養支援を行っていきたい。
当施設は入所・短期入所定員100床を持つ超在宅強化型老健である。在宅復帰という老健本来の役割を果たし、健全な運営を行うためには在宅復帰率と稼働率の両立が日々の課題である。稼働率を維持するため新規入所者の獲得に努めることも必要だが、一度在宅復帰した利用者のフォローを行い再入所の希望に応えることも求められている。今回、施設入所における再入所の割合と、どのような利用者がどのような理由で再入所となったかを調査し、老健に求められる役割と運営方法への活用について考察したので報告する。
【方法および結果】
令和2~6年度までの施設入所者735名と、退所者730名の属性を調査し、下記項目を数値化した。
1)新規入所者と再入所者の割合(n=735名)
新規入所者:463名(63.0%) 再入所者:272名(37.0%)
2)退所先割合(n=730名)
在宅:246名(33.7%) 医療機関:203名(27.8%) 特養・老健:145名(19.9%)
在宅扱い施設:66名(9.0%) 看取り:62名(8.5%) その他:8名(1.1%)
3)退所先別の再入所率(n=248名)
在宅:130名(52.8%) 医療機関:114名(56.2%) 特養・老健:1名(0.7%)
在宅扱い施設:3名(4.5%)
4)在宅復帰後に再入所した理由の割合(n=130名)
介護者の介護負担、就労状況、入院を含む体調不良:81名(62.3%)
本人のリハビリ、入院を含む体調不良:26名(20.0%)
避暑・避寒など季節的な理由:22名(16.9%)
その他(自宅のリフォーム期間):1名(0.8%)
【考察】
入所者735名のうち実に3分の1以上が再入所者であり、老健に求められている再利用率の高さが示された。
退所先別の再利用率でみると、医療機関では56.2%と2人に1人以上の割合で再入所していた。基本的には医療機関で加療された場合再入所となるが、それに至らなかった利用者は老健での医療設備では対応できなくなった、またはそのまま死亡されたケースであった。一方で、特養や有料老人ホームなどへの退所となると再入所率は5%に満たなかった。これは、終いの住まいという役割を持つ長期療養施設へ移ると、そこで生活が完結していることが理由として考えられる。再入所に至った少数のケースは、胃瘻造設や痰の吸引などが必要となり、入所した施設での生活が継続困難となったなどの理由であった。
そして、在宅復帰者は様々な理由で52.8%の割合で再入所していることが分かった。その最も多い理由は介護者自身によるもので62.3%を占めていた。介護により身体・精神的に疲労を感じた、就労状況の変化などの理由があり、中には介護者自身が入院を余儀なくされてしまい、残されてしまう利用者を急遽再入所案内したこともあった。このように、状況によってはよりスピードを求められるケースもあり、家族や担当ケアマネージャーと密に連絡が取れる関係性を築く必要があると感じた。一方で、本人自身の身体機能の低下や医療機関への入院など、再度リハビリを行いブラッシュアップが必要となるケースが20.0%あり、介護者自身の要因に次ぐ理由となった。これは、施設入所中では行えていた活動や栄養管理、医療的なケアなどが自宅に戻ってから継続出来ていない可能性があり、再入所している期間で何が問題であったのかを評価し、在宅サービスや環境調整など生活方法の見直しが必要であると考えた。また、避暑・避寒などを理由に定期的な入所と在宅復帰を希望する利用者も16.9%おり、ここ数年の異常気象も相まってニーズが高まっている。
利用者家族の中には「老健は何か問題が起きないと入所できない。」という認識を持っていることもあり、季節だったりレスパイトであったりと様々な理由で入所が出来る旨を説明すると驚かれることも少なくない。こういったニーズに応える体制を整えることで、地域での在宅生活の限界ラインをギリギリまで引き上げることができ、より多くの在宅復帰を可能とする。引き続き、地域住民や居宅ケアマネージャーに老健の活用方法をPRしていくことが重要だと考えた。
【結論】
今回の調査で、在宅復帰者は高い割合で再入所が必要になることが改めて分かった。在宅復帰後は当施設の通所リハや短期入所、訪問サービスなどで関係性を続けていくことができるが、長期療養施設への退所後はそれが途絶えてしまう。様々なアプローチを行い、老健の一番の目的である在宅復帰者を地域に増やすことが、長い目で見て稼働率の維持に繋がり、健全な施設運営を可能とする。これからも、利用者・家族に再度利用したいと思っていただけるよう丁寧なケアと対応をし、在宅復帰後の療養支援を行っていきたい。
