講演情報

[27-P-CO01-03]よりよい看取りにするための看取り後カンファレンス

広島県 竹田 昌史, 打越 愛樹, 田中 将大, 村東 美根子, 菅原 真由美, 福本 尋美 (公立みつぎ総合病院介護老人保健施設「みつぎの苑」)
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【はじめに】
 介護老人保健施設「みつぎの苑」では、以前の研究発表にて、介護福祉士の看取り介護に対する精神的負担感の軽減を目指し、知識と技術の習得を目的に研修を行った。研修にグループワークを取り入れ、介護福祉士同士や多職種と情報を共有できたことは効果的だったが、本人や家族との関わりに関しては研修後も精神的な負担感は軽減しないとの結果がでた。理由として、「本人や家族の希望に沿った介護が提供できているかわからない」と「死を迎える人やその家族に対し、自分の実践した介護が正しかったのか答えがわからない」また、「その思いを共有する場がない」ことが背景にあると考えた。
 現在、看取り後カンファレンスは、主に家族からの意見の伝達、各職種が関わった内容について話し合いをしているが、介護福祉士の意見や振り返りを話す機会がなく、精神的な負担感を抱えたままである。そして、気持ちの整理がつかないまま、次の看取り介護を実践している状況があると感じる。
 今回、看取り後カンファレンスの内容の見直しを行うために、看取り介護終了後一週間以内に「看取りケア確認シート」を記入し自分自身のケアを振り返る機会をもつことにした。その後、個人の思いの共有を目指した看取り後カンファレンスを実施することで、介護福祉士個人の気持ちにどのような変化があったかを報告する。
【目的】
 看取りのケア確認シートを活用して職種の意見と個人の思いの共有を検討し、次の看取り介護に繋げることができるようにする。
【方法】
 研究期間:2023年9月~2024年12月
 研究対象:みつぎの苑認知症棟 介護福祉士20名(従来棟12名、ユニット型8名)、看取り介護対象者とその家族
 1 看取り介護終了後に自分自身の行ったケアを整理するため「看取りケア確認シート」(東京都健康長寿センター研究所、執筆:島田千穂)を使用し、介護福祉士個人で振り返りを行う。
 2 「看取りケア確認シート」にて抽出した、看取り介護で生じた個人の思いや振り返りを含めた看取り後カンファレンスを行う。
 3 「看取りケア確認シート」にて記載された、介護福祉士の看取り介護で感じた気持ちの変化を件数毎に集計し、個人の気持ちの共有を行うことで、看取り介護に対する精神的負担感を軽減し、次の看取り介護に繋げることができるか検証する。
【結果】
 「看取りケア確認シート」は大きく分けて4つの項目に分けられている。
 (1)亡くなった方、その家族についての特徴やエピソードについては、個別性が強く出る項目で、回答は人それぞれであった。「その人らしさ」を意識しながら看取りケアを提供できたかのアンケート結果は、症例が増えていき改善がみられた。
 (2)看取り期の本人の状態の理解や本人・家族との関わりについては、個人差が強い症状の中でも便秘や口腔乾燥が共通して多く、その他の痛みやむくみ、褥瘡などの症状はばらつきがあった。症状の理解や看取りのケアに沿ってケアが出来たかについては、症例を重ねていくにつれ改善がみられた。
 (3)亡くなった時・亡くなった後の本人・家族については、最期に関わったスタッフからはほぼ全ての症例で本人家族共に比較的穏やかな表情であったとの結果になった。家族に後悔があったと思うかについても、全症例で全く無かったか、どちらかと言えばなかったとなっている。
 (4)看取りのケアの自己評価と家族の満足度についてでは、まず自己評価で、全く不十分とやや不十分は減少傾向で、まあ十分と十分はやや改善傾向となった。推定の家族の満足度はどちらでもないが増え、不十分項目は波があり、十分項目はやや下落となった。また、フリー記述の後悔や反省点としては、感染症対策で面会も自由にできない、看取りとなると転床となるためあまり関わりがなくなってしまうなど、施設方針により困難さやわだかまりが残るといった内容があった。
【考察】
 項目によっては個人差が大きく影響するものがある。個人差の内容としては、症状や看取り期間の長さ(最長78日最短2日)、社会的背景の違い(キーパーソンが成年後見人、家族の面会頻度や理解度など)が考えられる。それらの項目は、スタッフ個々でも利用者・家族に関わる頻度の差があり、さらには受け止め方も違うため、どうしても症例により違いがあるのだと考えられる。
 しかし項目の中でも、ケア内容の理解や予測される症状は経験と知識により改善が見込める内容であり、それらの項目は症例を重ねる度に改善した結果になったと考える。最期についての項目は、ほぼ全ての症例で本人も家族も穏やかな表情で後悔もないとスタッフは評価しているため、QOLの高い看取りケア・対応が出来ていると思われる。また、看取りの自己評価で不十分項目に改善がみられた結果は、看取りの振り返りをしっかり積み重ね、経験が増えたことが表れていると考えるが、十分項目に大きな改善が見られないことや家族の満足度が良くならないことは、ケアや対応に関しての自信の無さや、知識や経験が増えたため「もっとこうしたら良かったのでは?違う対応が出来たのではないか?」という認識が増えた可能性があると考える。また感染症対策の施設方針による看取りに対する困難さやわだかまりは、事務職も含めた多職種で適宜検討していく必要がある。
【おわりに】
 症例により個人差が出るため、本人・家族との対応が難しかったり、自信のなさが出てくることも多いと考えられるが、この経験の積み重ねと振り返りの共有は少しずつ次の看取りに繋がると考える。そのことは精神的負担軽減と看取り介護に対する自信になると考えられ、本人・家族だけでなくスタッフにとっても良い看取りになるため、今後も続けていきたい。