講演情報
[27-P-CO01-04]感染対応の確立「気づく大切さ」で感染拡大を防ぐ
山口県 ○寺政 直子 (介護老人保健施設ふれんず)
1.はじめに施設内収容者50名のうち90歳から100歳以上の利用者は 46% 要介護4以上25%年齢に伴う認知で短期記憶障害や指示が通らないために感染当時も自分が感染源であることも理解できず隔離が十分にできない状態でした。どこの老健施設でも業務対策に感染管理は常に重要課題の一つです。一定の閉鎖空間でサービスを提供する形態の施設であるため初段階での感染対応で大きく拡大が左右されてきます。(1)病原体が活動してしまう環境にあるかどうか(2)感染症にかかりやすい身体状況にあるかどうか(3)ヒトと病原体を媒介するものがあるかどうか。この3点を考慮し施設内での環境や業務手順を幾度と検討しました。また、感染認定看護師や保健師の外部からの視察を組み込み、視野を広げ感染対策マニュアルを確立していきました。その経過をここに報告します。3.R4年12月~1月の24日間の初期感染状態R4年12月感染が職員から拡大をしていき感染マニュアルでの隔離対応を始めました。初期の施設内のウイルス発生に最善であろう対応を資料や厚労省のマニュアルから取り入れ施設内ゾーニングを行い、赤、黄色テープでレッドゾーンを床に仕切り重々しく防御態勢をしました。拡大は80%以上になりスタッフもほぼ全員感染してしまいました。人手不足で他部署からの補助体制で勤務し常勤の勤務者が1名の時もあり利用者の異常に気付くこともできず日々食事配食と排泄で日々を過ごしました。4.施設内はビニールでの仕切り、廊下もディスポ商品の使用と食事の残飯や食事の空き容器などのごみで場所を取り落ち着ける環境ではありませんでした。感染者には赤ラインの出入りができないと説明をしますが、理解ができずまた、ラゲブリオの内服で症状も落ち着いているため、感染している自覚がなく他の利用者さんに紛れ込み感染者が通常に食堂でテレビを観ている状況でした。ふと見渡せば歩行困難な利用者がベランダに立っているなどどこの高齢者施設でも想像に至ると思いますがその都度居室に誘導していく日々で、次は何が起こるのだろうか?という不安も含め体力的にも奮闘しました。日々感染者が増えていくことで「みんなに感染してしまえば後は落ち着くだけではないか」という心の中で失望感にかわっていきました。5.感染拡大からの問題初段階の感染ルートは食事介助、排泄介助でした。利用者同士の接点を最小限にするため居室内での行動規制したことから臥床時間が長く共有トイレも行けずオムツ対応になった利用者もあり褥瘡形成も大きな問題となりました。6.感染隔離のための環境を作ることで時間が経ち少しずつ周りが見えるようになった数日後に何が問題なのだろう?と感染の分析をはじめました。ハリーポッタの魔法の足跡地図のように感染ルートをスタッフと模索しました。感染者の同室者との関係、トイレ使用場所、介護度、利用者同士の交流など思いつくことを出し合いこの2枚の用紙以外にもメモ書きように作成しました。7.骨までの褥瘡形成者が出ました。離床に介助が必要者であった為冷静に考えれば想定できるものではありましたが、スタッフの欠員などから注意が欠如していた代償でした。対策として保清を重要視しスタッフに感染の注意喚起をして約10日後にすべての利用者に入浴とリハビリを通常に開始しました。8.食事介助に関しては少しでも介助の接点がないように利用者の自力摂取が可能な量で栄養成分を変えない一部補助食品に変えました。残食の摂取介助は介護の基本である目線を合わせたコミュニケーションも禁止し座って行わないことにしました。排泄に関してはトイレ内の手すりや便座など手からのウイルス感染を予防するため使用の都度0.1%の次亜塩素水を噴霧しふき取りを開始しました。これは無感染状態の今も継続中です洗濯・清掃部門のクリーン課や医師や薬剤処方などの外来部門や外部からの問い合わせを受けている受付や総務等、他部署からの感染状況の情報提示の依頼があり 連絡チェック表の作成と共有ホルダに日々の利用者情報を入力してどこからも情報が取得できるようにしました。10.コロナ終息後から8か月後に県の保健福祉課の職員様と感染認定看護師の巡視をお願いしました。施設内のすべての部署への視察を受けR4年の初回実施した防御対応も変更しました。良いと思っていた加湿器も加温タオルも中止です。(余談ですが加温タオルを中止したタイミングで月に1名発症していた尿路感染もなくなりました。11.その後も感染症は面会や職員経由にて入ってきました。関連図から感染源の流入ルートを利用者の行動ルート、座席、居室、介護度など多方面から関連図に肉付けをして原因を割り出し、感染隔離対策を立案します。そして感染者個々の日々の症状経過や治療内容を一覧にして問題点を継続して評価し短い期間での感染拡大停止へのPDCAを行っています。どの施設も当施設のプロセスは通常に流れた内容と思われますが、スタッフが終息を目標に多方面から意見を言い合えるいい機会であったためここで報告発表させていただきました。11.最後に感染に対しては「気づく大切さ」「早急な感染関連図の作成」「感染対策マニュアルの継続的な見直しの実施」が必要である。
