講演情報

[27-P-CO01-06]5類移行後のCOVID-19集団感染を経て

長崎県 濱田 宏敏, 吉田 明弘 (介護老人保健施設フォスター島原)
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【はじめに】                      
日本にCOVID-19が初めて発生したのは2020年1月15日である。これを機に日本でもCOVID-19の蔓延が始まり今日に至るまで多くの死者や罹患者が発生した。COVID-19の国内増加に伴い、政府による緊急事態宣言や解除の繰り返しを得て2023年5月8日より、5類感染症へ引き下げられた。当施設では5類感染症に移行後の2024年3月に大規模なCOVID-19の集団感染が発生し、感染拡大と人員不足への対応に追われた。本発表では集団感染発生後の対応と対策について報告する。

【経過】
2024年2月29日に3F入所者様1名のCOVID-19陽性が判明したことを発端に、同フロアで急速に感染症が拡大し3月2日には12名もの陽性者が発生した。その後も連日に陽性者が増加し、3月11日以降は2Fフロアにて陽性者が増加し、感染の中心が3Fから2Fへ移行した。3月24日の陽性者を最後に新規陽性者は確認されなくなり約1ヵ月におよぶ集団感染対応となった。2F入所者様50名中33名陽性(66%)、3F入所者様50名中40名陽性(80%) 職員:49名中23名陽性(47%)の感染(職員:事務所、リハビリ、栄養士、看護師、介護士)

【平時からの感染症予防の取り組み】
(1)サージカルマスク着用、手洗い、手指消毒の徹底
(2)施設独自の健康管理フォーラムにて職員の体調管理を実施。
(3)朝、昼、夕の定期的な換気を行う。15分程度。
(4)職員の食事は対面に座らない様にずらして食事を行う。
(5)面会は1Fの個室を使用して対面にて行う。感染症流行時は随時変更あり。
(6)感染症管理体制委員会による年2回の勉強会の実施。感染症に対する知識や、ガウン着脱の技術等
(7)入所者様のCOVID-19ワクチン接種(12月)
(8)共用スペースや手すり、トイレの消毒

【陽性者発生後の感染対応】
初感染日(2月29日)より臨時の感染症管理体制委員会を開催し、該当フロア(3F)の食事を1F大ホールから3Fフロアや談話室、各居室内に変更し、陽性者の居室をゾーニングにて隔離対応を実施。
陽性者、及びに同室者の定期的な検温を実施し、当日の職員で隔離部屋対応者を決めて何人もの職員が隔離部屋に入らない様に対応。
密になるのを防ぐ為、各フロアの談話室で行われているレクリェーションの中止。
機能訓練はCOVID-19感染時は集団感染が起きていない場合は各フロア、居室内にて実施。
陽性者が発生したフロアでは入浴を中止し、全身清拭、衣類の更衣を実施。希望者はドライシャンプー対応。
毎週1回臨時の感染症管理体制委員会を開催。経過報告と検討を行う。
2F陽性者が発生した日(3月5日)に同様に食事を1F大ホールから2Fフロアや談話室、各居室内に変更。
看護、介護職員の感染による人員不足もあり事務所、リハビリによる食事の配膳や下膳の協力依頼行う。
食事の配膳は感染が少ないフロアから先に配る。感染状況で2Fからか3Fかは変動あり。

【対策】
(1)職員の熱発時は併設の病院にてCOVID-19抗原検査を施行する。陽性の場合は0日数えの5日間自宅待機。その後職場復帰する。入所者様は施設内にてCOVID-19抗原検査を施行。陽性者が出た場合は居室隔離、ゾーニングによる動線管理を行い感染対策の必要物品の設置(ビニール手袋、N95マスク、使い捨てガウン、その他)
(2)陽性者が発生した場合は陽性者確認表の作成。
(3)感染対策を意識した面会の実施。COVID-19発生時や県内で感染症が増加した際は2部屋を使用し、間にビニールカーテンで仕切り面会を行う。又はオンライン面会の実施。
(4)COVID-19感染症マニュアルの作成、改正
(5)COVID-19流行時は職員の休憩室の分散を行い密になるのを避ける。

【考察】
COVID-19感染症マニュアルに沿った対応を実施したが結果として多数の陽性者の発生あり、感染拡大を防げなかった。2月29日の初感染日以降、わずか3日で13名の陽性者が確認され急速に集団感染へと進行した。今回の感染拡大の背景として無症状の段階での感染源特定が非常に困難であった。陽性者が発生した時点で食事場所の変更やゾーニング等を行ったが対応が感染の速度に追い付かずに爆発的に増え、その後3Fから2Fに波及したのは反省点である。

【まとめ】
「症状が出てから対応する」から「症状がなくても感染しているかもしれない」に意識を転換する事が今後の感染対策としての鍵となる。その為にも、COVID-19の県内や地域での感染情報が入れば感染症管理体制委員会を通して感染症に対する注意喚起を促して対応していく。たとえ5類感染症に緩和されたとしても施設という閉鎖環境での蔓延を防ぐ為にも早期発見、早期対応と感染拡大抑制に努めることで入所者様が安心して過ごしていける施設作りを目指し、これからも感染症対策に取り組んでいく。