講演情報
[27-P-P101-04]介護現場に笑顔の循環を自己理解を育むチームケアの新しいかたち
愛知県 ○小川 笑, 橋詰 あいみ, 中井 このみ, 篠原 一 (老人保健施設ウエルネス守山)
1.はじめに
介護職の離職理由として、「人間関係の悩み」や「自己成長の実感の乏しさ」がしばしば挙げられる。
これらの課題に対し、職員同士の関係性や自己理解を深めることが、定着や働きがいの向上に寄与すると考えられる。
本研究では、介護職員の行動パターンを可視化する心理検査「エゴグラム」を活用し、
職員の特性に応じた役割分担とレクリエーション活動を組み合わせた実践を行った結果、
職員満足度や介護観にどのような変化が見られたかを検討した。
2.方法
本実践は、老人保健施設ウエルネス守山の入所施設に勤務する職員のうち、
エゴグラムを導入したフロアの職員8名を対象とした。
比較のため、導入していない別フロアの職員7名を対照群とした。
対象者にエゴグラムを実施し、5つの自我状態(CP=厳格な親、NP=優しい親、A=大人、FC=自由な子、AC=従順な子)を測定。
その結果に基づき、フロア内での企画として、フロア内に掲示しみんなで「作り終えた」という達成感を得られる
作品制作の企画を行なった。その企画の際、
PDCAサイクル(計画・実行・確認・改善)における役割を適性に応じて振り分けた。
具体的には以下の通りである。
計画(Plan):プロジェクトの企画、材料調達計画 → Aが高い人
実行(Do):利用者と一緒に装飾制作、レクリエーションで活用 → FCが高い人
確認(Check):活動記録やポスター作成 → NPとCPのバランスが良い人
改善(Act):掲示物更新や振り返りの実施 → ACが高い人
【フロア内企画について】
作品制作のレクリエーションとして、入所者と職員、みんなで1つのものを作り上げることを目標とした。
その中で、完成後満足度が上がり、また、継続的に作成できる季節感のある掲示物を作成することをPlan担当者と改善担当者が考えた。
内容は、春に向けた「願いの桜」づくりを行った。それは、職員と利用者がそれぞれの願いを語り合う交流の場も設け、またそれらの願いををさくらの掲示物として記入し飾った。
次の月には「願いの鯉のぼり」を作り、6月には紫陽花を作るなど、「季節感のある掲示物をみんなで作る」という目標を共有し実行した。
【職員満足度評価方法】
職員満足度については、企画の実践前後に「快適職場調査表(中央労働災害防止協会)」を使用し、以下6項目を5段階評価で調査した。
キャリア形成
人間関係
処遇(給与・待遇)
休暇の取りやすさ
労働負荷
社会とのつながり
上司と部下ごとに平均を出し、それぞれの認識の差異と、数値の変化と職員の自由記述をもとに分析を行った。
3.結果
導入フロアでは、実践前と比較して「人間関係」「キャリア形成」「労働負荷」の満足度が上昇し、また、上司と部下の数値の差がほとんどなくなった。
特に「人間関係」の項目は全員が改善を実感しており、「以前より話しやすくなった」「協力しやすくなった」との声が多数聞かれた。また、プロジェクトを通じて「自分の得意分野を活かせた」「利用者と楽しく関われた」との自由記述もあった。
一方、導入していないフロアでは、満足度に大きな変化は見られず、「キャリア形成」「社会とのつながり」においてわずかに低下傾向が認められた。
なお、導入フロアでも「処遇」や「評価」に関しては、わずかながら満足度が低下した。
これは、エゴグラムによって自分の強みが明確になったことで、「もっと成長したい」「評価されたい」という意識が高まったことが影響した可能性があると考える。
4.考察
本取り組みにより、エゴグラムを用いた自己理解の促進と、特性に応じた役割分担が、職員同士の信頼関係の構築や協働の質を高める要因になったと考えられる。
また、レクリエーション活動を通して得られた「心が通い合う実感」は、職員の介護観にポジティブな変化をもたらした。
当初は、「同じ価値観を持つ職員同士が同じ勤務になることが望ましい」と考えていたが、今回の実践を通して、むしろ、「多様な特性を認め合い、補い合うこと」がチームの力を高めるという新たな視点が得られた。
筆者自身も、本活動を通して「介護とは一方通行の支援ではなく、お互いを認め合うことである」という実感を強くした。
願いを語り合い、想いという花を育てる――そのような日々の小さな交流こそが、介護の本質的な価値であるという考えに至る経験を得た。
5.結論
今回使用したエゴグラムのような、職員の価値観を見出す心理ツールの活用は、介護職員の自己理解を深め、チームの関係性や職場の雰囲気を改善する実践的な手法として有効であった。
また、職員の介護観や働きがいにも良い影響を与えることが示唆された。
今後は、処遇や労働環境といった構造的課題にも目を向けつつ、お互いの介護観を認め合える柔軟な姿勢を現場に広げていくことが求められる。
介護職の離職理由として、「人間関係の悩み」や「自己成長の実感の乏しさ」がしばしば挙げられる。
これらの課題に対し、職員同士の関係性や自己理解を深めることが、定着や働きがいの向上に寄与すると考えられる。
本研究では、介護職員の行動パターンを可視化する心理検査「エゴグラム」を活用し、
職員の特性に応じた役割分担とレクリエーション活動を組み合わせた実践を行った結果、
職員満足度や介護観にどのような変化が見られたかを検討した。
2.方法
本実践は、老人保健施設ウエルネス守山の入所施設に勤務する職員のうち、
エゴグラムを導入したフロアの職員8名を対象とした。
比較のため、導入していない別フロアの職員7名を対照群とした。
対象者にエゴグラムを実施し、5つの自我状態(CP=厳格な親、NP=優しい親、A=大人、FC=自由な子、AC=従順な子)を測定。
その結果に基づき、フロア内での企画として、フロア内に掲示しみんなで「作り終えた」という達成感を得られる
作品制作の企画を行なった。その企画の際、
PDCAサイクル(計画・実行・確認・改善)における役割を適性に応じて振り分けた。
具体的には以下の通りである。
計画(Plan):プロジェクトの企画、材料調達計画 → Aが高い人
実行(Do):利用者と一緒に装飾制作、レクリエーションで活用 → FCが高い人
確認(Check):活動記録やポスター作成 → NPとCPのバランスが良い人
改善(Act):掲示物更新や振り返りの実施 → ACが高い人
【フロア内企画について】
作品制作のレクリエーションとして、入所者と職員、みんなで1つのものを作り上げることを目標とした。
その中で、完成後満足度が上がり、また、継続的に作成できる季節感のある掲示物を作成することをPlan担当者と改善担当者が考えた。
内容は、春に向けた「願いの桜」づくりを行った。それは、職員と利用者がそれぞれの願いを語り合う交流の場も設け、またそれらの願いををさくらの掲示物として記入し飾った。
次の月には「願いの鯉のぼり」を作り、6月には紫陽花を作るなど、「季節感のある掲示物をみんなで作る」という目標を共有し実行した。
【職員満足度評価方法】
職員満足度については、企画の実践前後に「快適職場調査表(中央労働災害防止協会)」を使用し、以下6項目を5段階評価で調査した。
キャリア形成
人間関係
処遇(給与・待遇)
休暇の取りやすさ
労働負荷
社会とのつながり
上司と部下ごとに平均を出し、それぞれの認識の差異と、数値の変化と職員の自由記述をもとに分析を行った。
3.結果
導入フロアでは、実践前と比較して「人間関係」「キャリア形成」「労働負荷」の満足度が上昇し、また、上司と部下の数値の差がほとんどなくなった。
特に「人間関係」の項目は全員が改善を実感しており、「以前より話しやすくなった」「協力しやすくなった」との声が多数聞かれた。また、プロジェクトを通じて「自分の得意分野を活かせた」「利用者と楽しく関われた」との自由記述もあった。
一方、導入していないフロアでは、満足度に大きな変化は見られず、「キャリア形成」「社会とのつながり」においてわずかに低下傾向が認められた。
なお、導入フロアでも「処遇」や「評価」に関しては、わずかながら満足度が低下した。
これは、エゴグラムによって自分の強みが明確になったことで、「もっと成長したい」「評価されたい」という意識が高まったことが影響した可能性があると考える。
4.考察
本取り組みにより、エゴグラムを用いた自己理解の促進と、特性に応じた役割分担が、職員同士の信頼関係の構築や協働の質を高める要因になったと考えられる。
また、レクリエーション活動を通して得られた「心が通い合う実感」は、職員の介護観にポジティブな変化をもたらした。
当初は、「同じ価値観を持つ職員同士が同じ勤務になることが望ましい」と考えていたが、今回の実践を通して、むしろ、「多様な特性を認め合い、補い合うこと」がチームの力を高めるという新たな視点が得られた。
筆者自身も、本活動を通して「介護とは一方通行の支援ではなく、お互いを認め合うことである」という実感を強くした。
願いを語り合い、想いという花を育てる――そのような日々の小さな交流こそが、介護の本質的な価値であるという考えに至る経験を得た。
5.結論
今回使用したエゴグラムのような、職員の価値観を見出す心理ツールの活用は、介護職員の自己理解を深め、チームの関係性や職場の雰囲気を改善する実践的な手法として有効であった。
また、職員の介護観や働きがいにも良い影響を与えることが示唆された。
今後は、処遇や労働環境といった構造的課題にも目を向けつつ、お互いの介護観を認め合える柔軟な姿勢を現場に広げていくことが求められる。
