講演情報
[27-P-P101-07]入所セット導入による業務改善と満足度向上の取り組み~介護老人保健施設における実践と今後の課題~
富山県 ○古村 麻耶, 石黒 佑季, 前田 梨恵 (介護老人保健施設仁泉メディケア)
【はじめに】
当施設では、ご利用者様への日常的な介護業務に加えて、衣類や日用品の管理・補充、持ち物の記名、ご家族様への連絡対応など、さまざまな間接業務が日々発生しており、介護職員にとっては時間的・精神的な負担が大きくなっていました。
こうした間接業務に多くの時間を取られることで、本来注力すべきケアの質にも影響を及ぼしていると感じていました。
また、ご家族様にとっても、新規入所時の衣類や日用品の準備、記名、季節ごとの衣替え対応などが大きな負担となっており、職員とのやり取りや確認作業に時間を要する場面も少なくありませんでした。特に新規入所時には、ご家族様による物品準備・記名と、職員による確認・収納作業が煩雑化し、双方にとって大きな負担となっていたのが現状です。
こうした課題を受けて、当施設では令和6年6月より、衣類や日用品をあらかじめセット化し、レンタル形式で提供する「入所セット」の導入を開始しました。入所時の準備や記名作業の手間を省くことで、職員の業務負担を軽減し、ご家族様の安心と満足度向上を図ることを目的とした取り組みです。
本報告では、導入前に抱えていた現場の課題や業務の実態を整理するとともに、「入所セット」導入後にどのような効果や改善が得られたかについて、介護職員・ご利用者様・ご家族様へのアンケート結果をもとに分析し、その成果を報告いたします。
【導入の背景と課題】
当施設では、介護業務に加えて私物管理や物品確認といった間接業務が職員の負担となっており、中でも入所時の対応には大きな労力が必要でした。
特に新規入所時には、1名あたり平均30分以上をかけて衣類や日用品の確認・記名・収納作業を行っており、2024年には延べ152名の入所があったため、年間で約76時間以上の職員労力がこの作業に費やされていたことになります。
また、衣類の不足や記名漏れによって再確認やご家族様への連絡が必要になるケースも多く、スムーズな業務遂行の妨げとなっていました。
【導入の経緯と方法】
こうした状況を踏まえ、当初は日用品のセット化・レンタル導入のみを検討していましたが、職員業務の実態を分析した結果、特に衣類の準備・管理に関する負担が大きいことが明らかとなり、衣類も含めた「入所セット」としての導入を決定しました。
「入所セット」とは、入所中に必要な衣類・タオル・日用品を、専門業者と契約してレンタル形式で提供するサービスで、洗濯や補充も含まれており、持ち込み物品を最小限に抑えることができます。
導入にあたっては、業務フローの見直し、職員向けマニュアルの整備、ご家族様向けの案内文書の配布、説明会の開催など、現場とご家族様双方への丁寧な導入準備を行い、スムーズな移行を目指しました。
【導入結果】
入所セットの導入により、入所当日の記名や物品確認の手間が不要となり、業務が効率化されました。
導入から8ヶ月が経過し、介護職員に対するアンケートでは、全員が「入所セットの導入は有益だった」と回答しています。
主な理由としては、「私物管理が大幅に減少」「入所時の準備が簡略化」「直接ケアに使える時間が増えた」などが挙げられています。
また、著しい認知機能低下がないご利用者様へのアンケートでは、衣類に関して約74%の方が「満足」と回答し、「病衣ではなく普段着を着られるのがうれしい」「いろいろな服が楽しめる」といった声が聞かれました。
日用品については、約96%の方が満足しており、「使いやすく、必要なときにすぐ補充される」との意見が大半を占めました。
さらに、導入前からご利用いただいているご家族様へのアンケートでは、約93%が「入所セットに満足」と回答。「季節ごとの衣類準備が不要」「来所時に持参物を気にしなくてよくなった」との声が多く、衣類についても約69%が満足と答えました。
利用料金に関しては、約64%の方が「高いと感じる」と回答しましたが、「サービス内容を考えると妥当」という前向きな評価も多く見られました。
なお、アンケートでの明記は少なかったものの、現場の職員からは「衣類の破損時やサイズ変更時の対応が非常にスムーズになった」との声も多く聞かれており、従来のようにご家族様へ都度連絡・購入依頼を行う必要がなくなったことで、実務上の負担軽減が明確に感じられるようになっています。
これにより、ご利用者様が常に適切な衣類で快適に過ごせる環境が保たれ、ご家族様・職員双方にとっての安心感向上にもつながっています。
【おわりに】
入所セットの導入は、ご利用者様・ご家族様・介護職員の三者にとって多くの利点をもたらしました。
特に、衣類管理や日用品対応といった間接業務が減少したことで、介護職員がご利用者様との関わりに使える時間が増加し、ケアの質の向上に寄与しています。
また、衣類の破損やサイズ変更といった場面においても、従来はご家族様への連絡・買い替え依頼・持参対応が必要でしたが、導入後は業者による迅速な交換が可能となり、職員・ご家族様双方の対応負担が大幅に軽減されました。
ご利用者様が常に清潔で適切な衣類を着用できる体制が整ったことで、生活の質の向上にもつながっていると感じています。
金銭的な負担が発生する点については一定の課題と捉えつつも、サービス内容とのバランスを評価する声が多く、全体として高い満足度が得られた結果となりました。
今回の取り組みは、単なる業務効率化にとどまらず、ご利用者様の快適な生活とご家族様の安心、そして職員の働きやすさを総合的に高めるものであり、今後もアンケート結果や現場の声を踏まえて、継続的に改善を加えながら運用していきたいと考えています。
当施設では、ご利用者様への日常的な介護業務に加えて、衣類や日用品の管理・補充、持ち物の記名、ご家族様への連絡対応など、さまざまな間接業務が日々発生しており、介護職員にとっては時間的・精神的な負担が大きくなっていました。
こうした間接業務に多くの時間を取られることで、本来注力すべきケアの質にも影響を及ぼしていると感じていました。
また、ご家族様にとっても、新規入所時の衣類や日用品の準備、記名、季節ごとの衣替え対応などが大きな負担となっており、職員とのやり取りや確認作業に時間を要する場面も少なくありませんでした。特に新規入所時には、ご家族様による物品準備・記名と、職員による確認・収納作業が煩雑化し、双方にとって大きな負担となっていたのが現状です。
こうした課題を受けて、当施設では令和6年6月より、衣類や日用品をあらかじめセット化し、レンタル形式で提供する「入所セット」の導入を開始しました。入所時の準備や記名作業の手間を省くことで、職員の業務負担を軽減し、ご家族様の安心と満足度向上を図ることを目的とした取り組みです。
本報告では、導入前に抱えていた現場の課題や業務の実態を整理するとともに、「入所セット」導入後にどのような効果や改善が得られたかについて、介護職員・ご利用者様・ご家族様へのアンケート結果をもとに分析し、その成果を報告いたします。
【導入の背景と課題】
当施設では、介護業務に加えて私物管理や物品確認といった間接業務が職員の負担となっており、中でも入所時の対応には大きな労力が必要でした。
特に新規入所時には、1名あたり平均30分以上をかけて衣類や日用品の確認・記名・収納作業を行っており、2024年には延べ152名の入所があったため、年間で約76時間以上の職員労力がこの作業に費やされていたことになります。
また、衣類の不足や記名漏れによって再確認やご家族様への連絡が必要になるケースも多く、スムーズな業務遂行の妨げとなっていました。
【導入の経緯と方法】
こうした状況を踏まえ、当初は日用品のセット化・レンタル導入のみを検討していましたが、職員業務の実態を分析した結果、特に衣類の準備・管理に関する負担が大きいことが明らかとなり、衣類も含めた「入所セット」としての導入を決定しました。
「入所セット」とは、入所中に必要な衣類・タオル・日用品を、専門業者と契約してレンタル形式で提供するサービスで、洗濯や補充も含まれており、持ち込み物品を最小限に抑えることができます。
導入にあたっては、業務フローの見直し、職員向けマニュアルの整備、ご家族様向けの案内文書の配布、説明会の開催など、現場とご家族様双方への丁寧な導入準備を行い、スムーズな移行を目指しました。
【導入結果】
入所セットの導入により、入所当日の記名や物品確認の手間が不要となり、業務が効率化されました。
導入から8ヶ月が経過し、介護職員に対するアンケートでは、全員が「入所セットの導入は有益だった」と回答しています。
主な理由としては、「私物管理が大幅に減少」「入所時の準備が簡略化」「直接ケアに使える時間が増えた」などが挙げられています。
また、著しい認知機能低下がないご利用者様へのアンケートでは、衣類に関して約74%の方が「満足」と回答し、「病衣ではなく普段着を着られるのがうれしい」「いろいろな服が楽しめる」といった声が聞かれました。
日用品については、約96%の方が満足しており、「使いやすく、必要なときにすぐ補充される」との意見が大半を占めました。
さらに、導入前からご利用いただいているご家族様へのアンケートでは、約93%が「入所セットに満足」と回答。「季節ごとの衣類準備が不要」「来所時に持参物を気にしなくてよくなった」との声が多く、衣類についても約69%が満足と答えました。
利用料金に関しては、約64%の方が「高いと感じる」と回答しましたが、「サービス内容を考えると妥当」という前向きな評価も多く見られました。
なお、アンケートでの明記は少なかったものの、現場の職員からは「衣類の破損時やサイズ変更時の対応が非常にスムーズになった」との声も多く聞かれており、従来のようにご家族様へ都度連絡・購入依頼を行う必要がなくなったことで、実務上の負担軽減が明確に感じられるようになっています。
これにより、ご利用者様が常に適切な衣類で快適に過ごせる環境が保たれ、ご家族様・職員双方にとっての安心感向上にもつながっています。
【おわりに】
入所セットの導入は、ご利用者様・ご家族様・介護職員の三者にとって多くの利点をもたらしました。
特に、衣類管理や日用品対応といった間接業務が減少したことで、介護職員がご利用者様との関わりに使える時間が増加し、ケアの質の向上に寄与しています。
また、衣類の破損やサイズ変更といった場面においても、従来はご家族様への連絡・買い替え依頼・持参対応が必要でしたが、導入後は業者による迅速な交換が可能となり、職員・ご家族様双方の対応負担が大幅に軽減されました。
ご利用者様が常に清潔で適切な衣類を着用できる体制が整ったことで、生活の質の向上にもつながっていると感じています。
金銭的な負担が発生する点については一定の課題と捉えつつも、サービス内容とのバランスを評価する声が多く、全体として高い満足度が得られた結果となりました。
今回の取り組みは、単なる業務効率化にとどまらず、ご利用者様の快適な生活とご家族様の安心、そして職員の働きやすさを総合的に高めるものであり、今後もアンケート結果や現場の声を踏まえて、継続的に改善を加えながら運用していきたいと考えています。
