講演情報

[27-P-P2Q1-02]当園での情報共有の意識調査~課題と対策の検討まで~

千葉県 大田 浩基, 米澤 卓, 土田 裕子 (介護老人保健施設 船橋うぐいす園)
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【はじめに】
当園は2000年2月に開設した入所定員100床(一般棟60床、認知棟40床)の施設である。2025年5月より在宅超強化型に移行し、より高度なサービスが求められるようになった。しかしその一方で、職員間における情報共有の不足から生じるヒヤリハットや事故が散見されるようになった。問題解決を図る為、アンケート調査・考察から課題抽出を行い、具体的な行動指針を
立てた。
【方法】
一般棟に所属する介護職、看護師、リハビリテーション職、管理栄養士等33名を対象に情報共有についてのアンケート調査を実施した。尚アンケート調査は2025年2月22日~3月2日に実施した。質問事項は以下5項目を用意した。
(1)「現状の情報共有方法(園内でのみ参照可能な情報共有)をどう思いますか?」
(2)「業務時間外を含めた情報共有ツールは必要だと思いますか?」
(3)「(時間外を含めた情報共有ツールが必要・やや必要だと思うとお答えした方へ)理由をお聞かせ下さい(自由記載)」
(4)「(時間外を含めた情報共有ツールが不必要・やや不必要だと思うとお答えした方へ)理由をお聞かせ下さい(自由記載)」
(5)「自由な意見をお聞かせ下さい」
【結果】
回収率は45%(15名)であった。
(1)「現状の情報共有方法(園内でのみ参照可能な情報共有)をどう思いますか?」という問いに対して「十分だと思う」が3名、「やや十分だと思う」が5名、「やや不十分だと思う」が6名、「不十分だと思う」が1名だった。
(2)「業務時間外を含めた情報共有ツールは必要だと思いますか?」という問いに対して「必要だと思う」が5名、「やや必要だと思う」が5名、「やや不必要だと思う」が2名、「不必要だと思う」が3名だった。
(3)の必要だと思う理由として、必要な情報が全体へ共有しきれていない・伝言形式に陥りやすく内容が変わってしまう事がある等の意見が多かった。情報共有ツールの提案としてLINE・ラインワークス等のメッセージアプリの提案があった。
(4)の不要だと思う理由として、休日等の時間外では会社の情報を入れたくない・仕事から完全に離れたい等の意見があった。
【考察】
アンケートの一般的な平均回収率は30%前後といわれており、回収率45%はその事から一見妥当である。ただ当園の状況を鑑みると令和7年1月~3月だけでヒヤリハットが181件、事故報告が128件生じており、情報共有不足が原因となるものも多数含まれている。早急に問題解決に動かなければならない事を踏まえると回収率45%は低いと考える。
情報共有不足を改善し、ヒヤリハットや事故報告数を減らす為には、職員の行動変容が必要となる。人の行動を変容させるには、いくつか方法があると思うが、今回行動変容ステージ理論に着目して、現在の当園職員が位置する変容段階や、それに対する働きかけを考えた。
アンケート調査の回収率を行動変容ステージ理論から考察すると、当園一般棟は情報共有に関し、「無関心期」の職員が多いと推察された。また「現状の情報共有方法(園内でのみ参照可能な情報共有)をどう思いますか?」という問いに対し、「十分だと思う」「やや十分だと思う」と回答した割合が計8名(53.3%)と過半数を超えていた事から、現状に満足している、又は関心が薄く問題意識を感じていない職員が多いと考えられた。厚生労働省は「無関心期」の段階に該当する場合の働きかけとして、(1)意識の高揚、(2)感情的経験、(3)このままではまずいと思う、(4)環境の再評価、(5)周りへの影響を考えるといったものを挙げている。一般的に「無関心期」では行動変容の必要性を正しく理解してもらい、まずは関心を持ってもらう援助が必要であるといわれている。その為、教育や啓発に重点をおいて行動を起こす必要があると考えた。
そこで今回、情報共有について気づきや興味関心をもってもらう事を目的に、研修会を企画した。研修会とした理由は、当園一般棟では「無関心期」の職員が多いと推察された為、まずは情報共有へ興味を持ってもらう機会を提供する事が必要であると考えたからである。研修は、(1)マネジメントの基本について、(2)現状の理解、(3)なぜ情報共有が大事なのか(昨今の介護・医療業界の傾向)、(4)情報共有の手法について、(5)情報の捉え方の理解、(6)最新の情報共有についてとする予定である。また研修会を開催するにあたり、開催するに至った背景等についても説明・開示を行う事で、現状の理解を促す事が出来ると考えた。研修会は月1~2回、10分程度の短時間で開催する予定である。また、開催後に再度情報共有に関するアンケートを実施し、職員の理解度を確認する予定である。
この研修会をきっかけに、職員へ情報共有に対する知見を与え、まずは「無関心期」から「関心期」への移行を促していきたい。情報共有に対して関心を高く持ってもらい、将来的に「関心期」以上への移行を働きかけていく事で、ヒヤリハット・事故の抑制のみならず、施設全体のサービス向上に寄与していきたい。