講演情報
[27-P-P2Q1-05]体組成計とアンケートによる職員の健康支援の検討
熊本県 ○池上 暢, 黒土 達也, 橋口 玲子 (介護老人保健施設ぼたん園)
【はじめに】
医療介護施設においても、職員の心身の健康を経営的視点で捉える「健康経営」が注目されている。中でも、運動習慣の定着は健康維持だけでなく、ストレス軽減や職務満足度の向上を通じて、生産性向上にもつながると報告されている。しかし、介護現場では業務の多忙さやシフト勤務などの要因により、運動習慣の確立が困難な場合も少なくない。そこで当施設では、体組成計を用いて健康状態を可視化すると伴に、職員の運動習慣や健康意識の現状把握を目的としてアンケート調査を実施した。本研究では体組成計の測定項目にある「脚部筋肉量点数(以下:脚点)」に着目して分析を行い、運動不足やその改善に向けてどのような支援が有効かを考察・提案し、健康寿命の延伸や生活習慣病の予防・改善、生産性向上、健康経営の実践に向けた取り組みの一助としたい。
【方法】
当法人のフィットネススタジオ「和楽」にて、マルチ周波数体組成計MC-780-N(以下:体組成計)を使用し、2024年8月と11月の計2回にわたり測定を実施した。対象はぼたん園職員86名のうち、2回の測定ができなかった30名を除く56名で、平均年齢48±10.77歳、男性23名、女性33名であった。加えて、運動習慣に対する意識調査としてアンケートを行い、生活習慣や運動の頻度・種類、実施における課題や支援に対するニーズを確認した。
【結果】
脚点においては、56名中24名(42.8%)に改善が見られたが、2回の測定結果におけるt検定では統計的に有意差は認められなかった。アンケートでは、「健康のために気を付けていること」として「定期的な運動」「十分な睡眠」「体重管理」などが挙げられた。運動の動機としては「ダイエット」「健康維持・運動不足解消」が多く、週2回以上運動している職員は65.5%に達した。運動の種類としては、ストレッチ・筋トレ・ウォーキングが70.3%を占めた。一方、定期的に運動ができていない理由としては、「面倒くさい」(40%)、「家事・育児・介護の負担がある」(30%)、「仕事が忙しい」(20%)といった意見が多く、これらが全体の90%を占めていた。
【考察】
脚点の改善は42.8%に認められたが、統計的有意差は確認されなかった。その背景として、測定間隔中の運動内容・頻度が職員の自主性に任されており、運動の継続性や質にばらつきがあったことが考えられる。対象者の年齢構成を見ると、30歳以上が94.6%、50歳以上が41%を占めており、加齢による筋力低下を踏まえると、脚点改善にはより計画的で継続的な運動支援が必要とされる。また、「運動の必要性は感じているが実施できていない」との回答が34.5%にのぼり、主な理由として「時間の確保が困難である」が多く挙げられた。これは赤枝らの報告にも合致し、30-50代の職員にとって運動の継続には時間的な余裕の確保が鍵となる。さらに、「運動を始めるきっかけとして望む支援」として、「子ども連れでの参加が可能な環境」や「子どもが待機できるスペースの確保」など家庭との両立を意識した意見が多く寄せられた。加えて「家事代行などの生活支援サービス」や、「アプリやスマートウォッチによる運動効果の可視化」など、生活環境やモチベーションに関わる支援ニーズも確認された。現在、当法人ではアロマセラピー・マインドフルネス・太極拳・スマートリハなど、心身のストレス軽減を目的とした健康支援プログラムを導入しているが、周知や利用促進には課題が残っている。今後は職員のライフステージや家庭背景に応じた柔軟な支援体制の整備が求められる。たとえば、子育て中の職員でも参加しやすい時間帯や形態の運動機会、費用補助の導入、家事・育児との両立を可能にする支援策などが重要である。以上より、単なる健康啓発にとどまらず、具体的な行動変容を促す支援体制の整備が不可欠である。これにより、職員の健康増進、ワークライフバランスの充実、作業効率や生産性の向上が期待され、ひいては法人全体の価値向上にもつながると考える。
医療介護施設においても、職員の心身の健康を経営的視点で捉える「健康経営」が注目されている。中でも、運動習慣の定着は健康維持だけでなく、ストレス軽減や職務満足度の向上を通じて、生産性向上にもつながると報告されている。しかし、介護現場では業務の多忙さやシフト勤務などの要因により、運動習慣の確立が困難な場合も少なくない。そこで当施設では、体組成計を用いて健康状態を可視化すると伴に、職員の運動習慣や健康意識の現状把握を目的としてアンケート調査を実施した。本研究では体組成計の測定項目にある「脚部筋肉量点数(以下:脚点)」に着目して分析を行い、運動不足やその改善に向けてどのような支援が有効かを考察・提案し、健康寿命の延伸や生活習慣病の予防・改善、生産性向上、健康経営の実践に向けた取り組みの一助としたい。
【方法】
当法人のフィットネススタジオ「和楽」にて、マルチ周波数体組成計MC-780-N(以下:体組成計)を使用し、2024年8月と11月の計2回にわたり測定を実施した。対象はぼたん園職員86名のうち、2回の測定ができなかった30名を除く56名で、平均年齢48±10.77歳、男性23名、女性33名であった。加えて、運動習慣に対する意識調査としてアンケートを行い、生活習慣や運動の頻度・種類、実施における課題や支援に対するニーズを確認した。
【結果】
脚点においては、56名中24名(42.8%)に改善が見られたが、2回の測定結果におけるt検定では統計的に有意差は認められなかった。アンケートでは、「健康のために気を付けていること」として「定期的な運動」「十分な睡眠」「体重管理」などが挙げられた。運動の動機としては「ダイエット」「健康維持・運動不足解消」が多く、週2回以上運動している職員は65.5%に達した。運動の種類としては、ストレッチ・筋トレ・ウォーキングが70.3%を占めた。一方、定期的に運動ができていない理由としては、「面倒くさい」(40%)、「家事・育児・介護の負担がある」(30%)、「仕事が忙しい」(20%)といった意見が多く、これらが全体の90%を占めていた。
【考察】
脚点の改善は42.8%に認められたが、統計的有意差は確認されなかった。その背景として、測定間隔中の運動内容・頻度が職員の自主性に任されており、運動の継続性や質にばらつきがあったことが考えられる。対象者の年齢構成を見ると、30歳以上が94.6%、50歳以上が41%を占めており、加齢による筋力低下を踏まえると、脚点改善にはより計画的で継続的な運動支援が必要とされる。また、「運動の必要性は感じているが実施できていない」との回答が34.5%にのぼり、主な理由として「時間の確保が困難である」が多く挙げられた。これは赤枝らの報告にも合致し、30-50代の職員にとって運動の継続には時間的な余裕の確保が鍵となる。さらに、「運動を始めるきっかけとして望む支援」として、「子ども連れでの参加が可能な環境」や「子どもが待機できるスペースの確保」など家庭との両立を意識した意見が多く寄せられた。加えて「家事代行などの生活支援サービス」や、「アプリやスマートウォッチによる運動効果の可視化」など、生活環境やモチベーションに関わる支援ニーズも確認された。現在、当法人ではアロマセラピー・マインドフルネス・太極拳・スマートリハなど、心身のストレス軽減を目的とした健康支援プログラムを導入しているが、周知や利用促進には課題が残っている。今後は職員のライフステージや家庭背景に応じた柔軟な支援体制の整備が求められる。たとえば、子育て中の職員でも参加しやすい時間帯や形態の運動機会、費用補助の導入、家事・育児との両立を可能にする支援策などが重要である。以上より、単なる健康啓発にとどまらず、具体的な行動変容を促す支援体制の整備が不可欠である。これにより、職員の健康増進、ワークライフバランスの充実、作業効率や生産性の向上が期待され、ひいては法人全体の価値向上にもつながると考える。
