講演情報
[27-P-P2Q1-06]通所リハビリテーションに関する意識調査~ケアマネジャーへのアンケート調査からの一考察~
東京都 ○多良 淳二, 神田 順子 (介護老人保健施設イマジン)
【はじめに】通所リハビリテーション(以下、通所リハ)は、利用者が可能な限り住み慣れた自宅で自立した日常生活を送れるよう、施設に通い、医学的管理のもとで生活機能向上のためのリハビリテーションや、食事や入浴などの日常生活上の支援を日帰りで提供するサービスである。今回通所リハの適切な利用を促進する要素を把握するため、利用者との接点が多く、必要に応じて通所リハの利用を検討する機会の多いケアマネジャー(以下、CM)を対象に意識調査を実施した。本調査により、CMが捉える通所リハの役割、重視する内容、利用の利点などを把握し、必要とされるサービス内容について考察することを目的とした。【対象】市内の居宅介護支援事業所および地域包括支援センターに所属するケアマネジャー39名。【方法】Googleフォームを用いたWEBアンケート調査。【アンケート内容】以下の5項目について調査した。1)属性(所属、経験年数、取得資格)2)通所リハの役割として捉えていること3)通所リハを紹介する際に重視すること4)通所リハを利用して良かったこと5)利用にあたっての難点項目2)~4)については、20の選択肢からの複数回答形式とした。【結果】1)所属: 居宅介護支援事業所 24名、地域包括支援センター 15名。経験年数: 1年未満: 2名、1~3年: 3名、5~10年: 5名、10年以上: 30名。取得資格:保健師: 1名、看護師: 6名、理学療法士: 1名、作業療法士: 1名、社会福祉士: 13名、精神保健福祉士: 4名、介護福祉士: 22名、歯科衛生士: 1名、管理栄養士: 1名、栄養士: 1名。2)役割として捉えている上位項目:リハビリテーションの提供: 37名ADLの維持・改善: 32名利用者の社会交流の場および社会参加の促進: 28名身体機能の維持・向上: 26名QOLの向上: 22名入浴サービスの提供: 21名退院後の生活移行支援: 21名3)通所リハを紹介する際に重視することの上位項目:リハビリテーションの提供: 38名ADLの維持・改善: 31名身体機能の維持・向上: 28名QOLの向上: 20名退院後の生活移行支援: 20名多職種協働による多角的な利用者支援: 18名4)通所リハを利用して良かった点の上位項目リハビリテーションの提供: 34名ADLの維持・改善: 29名身体機能の維持・向上: 24名入浴サービスの提供: 16名利用者の社会交流の場および社会参加の促進: 16名QOLの向上: 15名5)利用にあたっての難点の上位項目開始までの手続き: 28名卒業(修了)について: 21名送迎対応: 13名提供時間中のサービス内容について: 8名また記述回答では、「慣れた場からの卒業に対する不安」「診療情報提供書の準備の負担」「送迎範囲と対応の不十分さ」についての意見が複数見受けられた。【考察】今回の地域のケアマネジャーへのアンケート調査から、『リハビリテーションの提供』、『ADL維持・改善』、『身体機能維持・向上』については、いずれも役割として高く認識されており、紹介時の重要度も高く、提供後の評価も高いことが明らかになった。この結果は、通所リハが身体機能やADL機能の維持改善に向けたリハビリテーションの場としての機能を期待されていることを示唆している。今後もこのリハビリテーションの質を確保し、利用者の心身に好影響を与えるサービスとして機能し続けることが通所リハの主たる目的であると考えられる。また、『入浴サービスの提供』は、紹介時の重要度はやや低いが、役割として認識され、提供後の評価は高いことが明らかになった。これは、アンケートで上位に位置するリハビリテーション機能に付随して、必要に応じて入浴サービスが提供できる体制が、利用者やCMにとって高い付加価値となっていることが示唆された。次に、回答数が多く重要度が高いが、利用後の評価が低い項目として、『医療的ケアの充実』、『レクリエーションなど活動の充実』、『多職種協働による多角的な利用者支援』、『退院後の生活移行支援』が挙げられた。特に『退院後の生活移行支援』は、役割としての認知度は高く、紹介時の重要度も高いが、評価が低かった点が注目された。これは、通所リハの利用開始にあたっての手続きに難点があることが一因と考えられる。記述回答においても「診療情報提供書の準備の負担」が挙げられており、利用開始時の情報収集については、より柔軟な対応が必要であると考える。さらに、『医療的ケア』や『多職種協働による利用者支援』に対する評価の低さについては、利用者だけでなくCMも、実際に提供されているこれらサービスの具体的な内容を十分に把握できていない可能性が考えられる。そのため、提供されるサービス内容、特に専門的な医療的ケアや多職種連携のプロセスについて、リハビリテーションマネジメントを活用して、より分かりやすく提示できる体制づくりが求められるまた、『卒業(修了)のあり方』が利用にあたっての難点として捉えられていた。通所リハは通所介護と比較し事業所数が少ない現状がある。通所リハサービスを必要な時期に、必要な利用者へ適切に提供するためには、利用者の状態に応じた効果的な卒業(修了)の体制づくりが不可欠である。利用者が安心して次のステップへ移行できるよう、卒業後の具体的な支援方法を提示・提案していくことが重要であると考える。【おわりに】近年、新型コロナウイルス感染症の発生前後で通所リハの利用は減少している状況にある。今回の調査にて、CMが考える通所リハの在り方が具体的に把握でき、必要とされるサービスに不可欠な要素が理解することができた。自事業所の体制や地域におけるサービスの状況を踏まえ、今回の調査結果で明らかになったニーズに応えられるサービス提供体制の構築を進めたいと考える。
