講演情報
[27-P-STR1-04]香取市リハビリテーション協議会の取り組み他施設連携による地域リハビリテーション活動支援事業
千葉県 ○古林 敏幸, 高柳 仁人 (介護老人保健施設夢プラスワン)
1.香取市の地域課題香取市は千葉県成田市の東に位置し、総人口は約66000人、高齢化率は38%であり、特に75歳以上の後期高齢者数は一貫して増加し続けている。また、「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」(65歳以上の一般市民対象)のアンケート調査において、地域でのグループ活動への参加意向について、「是非参加したい・参加してもよい」、が46.2%となっている。さらに、「勤務等の都合で機会がない」、「参加方法がわからない」、「一緒に活動する仲間がいない」という理由で活動に参加していない方のうち、過半数以上は、地域活動に「是非参加したい・参加してもよい」と考えているようである。しかし、憩いの場や集団体操といった集まる場や機会の減少、開催されているものの情報がない、その情報が住民に届いてないなど問題があり、高齢者の要介護申請率が増加している課題がある。2.香取市リハビリテーション協議会とは香取市リハビリテーション協議会(以下:協議会)とは、「この地域に住まわれる方々の、その人らしい生活を支えるという目標に向かい、リハビリテーションチームとして結束力を高め、質の高いリハビリテーションを行う」という理念をもとに、香取市内の病院(急性期・回復期)、クリニック(整形外科・通所リハ)、介護老人保健施設、訪問看護ステーション、特別養護老人ホーム、リハ特化型デイサービス等のリハビリ専門職の有志による団体である。発足して約10年が経過しており、当施設も発足当時より参加している。活動内容は、月一回の定例会議を行い、市と連携して地域リハビリテーション活動支援事業の委託を受け、介護予防講座、通いの場へのリハビリ派遣、介護予防サポーター講座、転倒骨折予防教室、地域ケア会議への参加、ケアマネ・介護職への介護指導、研修会の開催・運営を実施している。現在では、介護保険分野だけでなく中高生の職業体験やJAへの腰痛対策指導など、活動範囲を広げている。3.地域リハビリテーション活動支援事業(香取もりもり体操)香取もりもり体操(以下:もりもり体操)は、香取市の地域課題で挙げられた「憩いの場や集団体操といった集まる場や機会」を増やす事を目的に始められた。高知県のいきいき100歳体操や茨城県のシルバーリハビリ体操などを参考に、「誰でも簡単に出来る筋力アップの体操」、「自分たちでも継続できる体操」として協議会内の施設で開発され、平成30年頃に香取市に提案し、翌年採用となった。体操の内容は、準備体操、筋力体操、整理体操の3つに大きく分けられている。(1)準備体操は深呼吸や足踏み運動などを、数を数えながらゆっくり行う。(2)筋力体操は、「春の小川」や「どんぐりころころ」などの童謡に合わせながら、腕を上げる運動や椅子からの立ち上がり、踵上げ運動などを息や動作を止めずに既定のリズムに沿って行う。(3)整理体操は腕や太もものストレッチと深呼吸を準備体操と同様に数を数えながらゆっくり行う。という流れとなっている。また、実施する会場に合わせて床あるいは椅子での実施が可能な他、参加者自身によって重錘を用意・装着して負荷量を増やすなど、参加者の身体機能レベルに合わせて行う事が出来る。さらに、認知機能面の体操(左右の手でジャンケンや3つの絵が描かれたシートを見て何が写っているか見つけるなど)やタオルを使った音楽体操なども加えて行い、合計2~3時間程の体操という全体の構成になっている。因みに、もりもり体操の「もりもり」の由来は、香取市の観光名所でもある香取の社(香取神宮)に見守られながら、「もりもり」力をつけて頂き、いつまでも住み慣れた地域で一世代若く、元気に生活して頂きたい、という思いが込められている。4.もりもり体操を協議会はどのように実施しているのか地域リハビリテーション活動支援事業の一環として、上記のもりもり体操を行っている。流れは以下の通りである。(1)香取市から開催地区の情報が香取市リハビリテーション協議会窓口に届く。(2)協議会の会議内で担当事業所を決める。(3)担当事業所のセラピストが決まったら、香取市より依頼文が届き、予定された日時に集いの場(地区の集会所や公会堂)へ行き体操を実施していく。(4)これを週1回1ヵ月行い、初回は体力測定と体操の指導をしっかり行う。(5)住民主体で行っていく体操である為、2週目、3週目と徐々に指導の介入量を減らしていき、4回目はほぼ見守りで行い、修正箇所や注意点があれば伝える程度となる。(6)5回目以降は住民のみで集まって実施していく。(7)担当事業所は3ヶ月後に、正しく継続できているかモニタリングを行う。(8)1年後に体力測定を実施している。体力測定は、握力(筋力)、開眼片脚立位時間(バランス能力)、5回立ち上がりテスト(総合的な下肢機能)の3つを計測し効果判定を行っている。5.もりもり体操の効果コロナ禍もあり、もりもり体操が実施できなくなってしまった地区もある。そこで、継続している地区と辞めてしまったそれぞれの地区の高齢者の50名を1年の経過を追ったところ、継続者の要介護(要支援)認定率が4%だったのに対し、辞めてしまった地区の要介護(要支援)認定率は20%という結果となった。現在、もりもり体操は香取市内の広範囲で約60か所、総人数は約1070名が参加されている。これは一施設の専門職だけではとても業務内に活動することが困難な数である。しかし、活動領域垣根を超えた専門職同士で連携することにより、わずかではあるが地域の要介護申請増加の抑制に貢献できていることがわかった。今後も介護老人保健施設として、また香取市リハビリテーション協議会として地域に根ざした支援活動に取り組んでいきたい。
