講演情報

[28-O-A009-03]ひとりぼっちじゃないよ!~一人よりチームで~

兵庫県 中藤 俊佑, 桑垣 圭祐 (社会福祉法人 明石恵泉福祉会 介護老人保健施設 恵泉)
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(はじめに)
当施設は平成元年に設立された超強化型老健で、地域に信頼される施設を目指し在宅復帰に力を入れて取組んでいる。在宅復帰に伴って入所、退所が増加する中で、利用者一人ひとりのADLの変化などに気づき対応することはもちろんのこと利用者一人ひとりのwell-beingをできる限り早く見つけていくことが求められる。
人材確保や育成は介護業界全体の課題であるが、当施設でも同様の課題を抱え、力量や経験年数の足りない職員は気軽に相談できる環境がなく1人で悩むことも少なくなかった。
そこで、職員の力量や経験の差による対応の違いや相談できる環境という課題を解決することで、利用者一人ひとりのアセスメントをしっかりと行い、利用者個々が「自分らしさ」を表出しながらwell-beingな状態で生活できるようになるのではなかと考え取組んだ結果、良い変化が確認できたので報告する。
(目的)
職員によって経験年数や力量に差があり、OJTで指導していたものの力量の差は埋まらず、職員によっては力量の差を感じて気軽に相談できなかった。
チーム担当制は、職員の力量や経験の差から生じる利用者のケアの質の違いをチーム力で埋め、これまで相談することを躊躇してしまっていた職員はチームと言う相談の場ができるのではないかと考えた。
また、それ以外にもチームで活動することで改善できることがあると考えた。
(1)1人で担当すると個人の力量により利用者への対応が変わるが、チームで担当することで力量差を埋めて利用者によりよいケアを提供する
(2)シフト制で勤務しているため担当者が休みだと取組やケアの変更が進まないことがあるが、チームで担当することで対応のスピードを上げられる
(3)担当者が複数名いることで家族や多職種と対話する機会が増える
(4)担当者1人で悩まず、チームで相談ができる
(対象・方法)
対象は一般棟の利用者86名と職員27名(雇用形態に関係なし)
令和5年4月にチーム担当制導入に向けて活動を開始した。まず、職員全員に導入後のイメージができるように導入の目的や具体的にどのようなシステムになるのかを説明した。
令和5年6月からチーム担当制を試行。
令和5年7月から月1回リーダー会議を開催し、現状報告や課題、問題について話し合った。
1チームは、職員3~4名で利用者14~15名を担当し、1名リーダーを設置した。リーダーが問題や課題を抱え込んで孤独を感じないように月1回リーダー会議を開き、現状の報告や良くなったこと、課題などを話し合った。
メンバーの中には、チームリーダー(以下リーダー)の役割を介護主任や副主任といった役職者のように「マネジメント」「人材育成」といった役割と捉える職員もいた為リーダーの役割を明確にした。
リーダーの役割は、(1)リーダー会議で話し合った内容をメンバーや多職種に伝えていく(2)悩んでいる職員と一緒に考え、相談していくとした。
メンバーの役割も明確にし、(1)期限を守った書類の作成(2)カンファレンスへの参加(3)自らの考えや情報を発信していくとした。
(結果)
チームで活動することで複数の視点で利用者を観ることができ、そのことから小さな変化に気づき細かなアセスメントにつながり利用者のニーズをきめ細かく拾えるようになった。また、ケアの変更や対応策について、職員同士で意見交換し様々な視点を持って問題解決することができるようになった。
1人で考えたり悩んだりせずチーム内で相談し話し合うことができるようにもなった。
これらのことから、利用者から「話しかけてくれる人が増えた」「気にかけてくれる人が増えた」という話が聴けた。
(考察・結論)
チーム担当制を導入するまでを振り返ってみると、力量が足りない職員であっても力量のある職員と同じことを求められるため負担を感じていた。また、相談したいけれど独り立ちしたからには自分で考えなければならないという無言のプレッシャーもあった。力量が備わっている職員もシフト制の勤務の中でケアの変更をタイムリーに行おうと無理をしていた。
取組当初は前担当者の意向に大きく影響されなど、チームではなく個人の集まりであったが、リーダー会議などを通し、チーム担当制のさまざまな課題を解決していったことで1つのチームとなった。
小さなチームはフロアのチームになり、一般棟の大きなチームとなっていった。
私たちは、チーム担当制の導入によって力量の差はあってもお互いがフォローし合い、複数の視点で物事を観ることが利用者のwell- beingに繋がることを体感した。
また、職員の負担感が軽減され、時間的な余裕が生み出され利用者との対話の時間が増えた。利用者との対話の時間が増えることで、変化に気づいたりニーズを拾えたりすることにつながり利用者のケアに還元できた。
(まとめ)
令和5年にチーム担当制を導入後、さまざまな課題をみんなで考え解決して、利用者にとってはケアの質や対応のスピードに大きな差がなくなり、職員にとっては1人で考え対応しなければならないという孤独感や負担感が減少した。
また、職員1人の担当制では経験年数や生活期リハビリテーションの理解度などから利用者のケアに力量差がはっきり表れていたが、チームで意見交換や情報共有するなどの機会が増え、力量がある職員から利用者に対してのアプローチの仕方や、アセスメントの方法などを学ぶことができ人材育成につながり職員全体の力量アップにつながった。
チームでアセスメントすることで、小さな変化やニーズに気づき利用者のケアに反映できた。そして、反映したケアについて、さらに職員同士が話し合い対話の機会を増やし活発に意見交換ができるようになった。
チーム担当制の導入は、「利用者のwell- beingを求めていくこと」つまり当法人の経営理念である「すべての人が幸せを実感できるサービスを提供する」を実現した。