講演情報

[28-O-A009-05]フロア紹介動画を施設ホームページに掲載する試み取り組みによって得られた効果について

東京都 會田 友恵, 八巻 祐介, 佐々木 由貴, 布澤 靖識 (オネスティ南町田)
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【はじめに】
 当施設ではコロナ以降面会等についての制限が徐々に緩和されつつあるが、令和6年10月時点において、利用者家族がフロア内を自由に過ごせる状況には戻っていない。そこで我々は利用者の日常の様子や雰囲気を家族に知ってもらいたいと考え、フロアでの様子を撮影し短い紹介動画に編集し、施設ホームページ上に配信する試みを行なった。その後、視聴した家族・職員にアンケート調査を行い、活動内容の効果について検証したため報告する。
【目的】
 フロア紹介動画を配信する事は一連の活動の中で利用者家族・職員にとってどのような効果があるのかを考察し今後の活動に繋げていく。
【研究方法】
期間:2024年10月1日~2025年3月31日
対象:動画視聴した利用者家族および施設職員
方法:
1.10月 動画作成の同意を書面にてフロアの利用者及び家族に確認し、27名全ての方から肯定的な意見を頂いた。
2.11月 動画作成と要点
 1)要旨はフロアの様子や雰囲気を伝える事。視聴者が飽きないように1~2分程度の編集とした。
 2)今回は「音楽レク」をテーマに準備段階から練習・本番へと普段の雰囲気が分かる構成とした。作成は介護士、看護師、リハビリ職員の多職種チームで行なった。
 3)視聴の対象は利用者家族とし、ターゲット層を50~60歳代としたため、公開するSNS媒体は馴染みがあると思われる施設のホームページ上とした。
3.12月 施設統括会議へ企画書の提出をして承認される。
4.翌年3月 法人本部で承認され施設ホームページに動画がアップロードされる。
5.3月 視聴した家族・職員へのアンケート実施。
 データ収集方法:利用者家族は面会に来た際、動画を視聴していれば自由意見で聞き取りを行なった。職員は全職員に調査用紙を配布し自由記載で調査を行なった。
 データ分析方法:研究デザインは質的記述的研究とした。動画視聴の効果に関わる内容に着目してコード化し、その意味内容の類似性でカテゴリー化した。
【結果】
1.アンケート調査
  利用者家族からは8名の回答を頂いた。
  職員は調査票を82名に配布し62名から回収された。
2.動画視聴の効果と課題
 カテゴリーを≪≫で、コードを『』で示す。
 1)家族における動画視聴の効果として2つ、課題として1つのカテゴリーが生成された。(表)
≪施設での事を知れる満足感≫は『雰囲気がよく分かった』『日常の様子を知ることが出来た』など動画により得られる情報で満足する気持ちを示すものであった。≪次のアップロードへの期待≫は『今後も機会を多くしてほしい』『楽しみです』といった今後も見たいと期待を込めたものであった。≪配偶者家族の動画閲覧に対する課題≫は『私一人では見られず息子と見る』といった高齢者家族のSNS活用の困難さが窺えるものであった。
 2)職員においては動画視聴の効果として4つ、課題として2つのカテゴリーが生成された。(表)
≪施設での事を知ってもらう機会の提供≫は動画視聴による情報提供の有益性を示すものであった。≪モチベーション向上への動機づけ≫では『施設全体で取り組みたい』『レクをもっと増やしたい』といったモチベーション向上への動機づけとなるものであった。≪レク実施の目的や根拠を振り返るきっかけ≫はレクを行なう目的などの意味を考えるきっかけになるというものであった。≪家族以外に対する副次的な効果≫では、施設利用を考えている方や求職者にも情報発信できる効果を示すものであった。≪情報発信方法選定の課題≫については、SNS活用は良いとしながらも現状に適した媒体を考える必要があるといったものであった。≪動画作成における人的・時間的な課題≫は、人員不足の中での企画や分担について心配するものであった。
【考察】
 動画は短時間で多くの情報を伝える手段として有効とされており、私たちはその特性を活かして、面会が限られる中でもフロアの様子を家族に届けたいと考えた。当施設では「オネスティ通信」という紙媒体の便りを月一回刊行しており、それに加えて動画でフロア紹介を行えば家族がもっと効率よく施設の情報を得られると考えた。
 家族アンケート調査からも≪施設での事を知れる満足感≫が示されており家族のニードを満たす事ができたと言える。また≪次のアップロードへの期待≫も示されており、今後テーマを変えて続けていく事も重要であると言えた。ただ高齢の家族からはインターネットを扱えないといった課題も示されており、視聴してもらうための工夫も求められている。
 職員アンケート調査で得られた結果は、言い換えればそれらを実行していきたいという思いを含んでいる。動画配信は施設の様子を知ってもらう良い機会だと考える職員が多い事も示され、情報提供手段の幅を広げられたといえる。また≪モチベーション向上への動機づけ≫で示されているが、意欲向上により今後の展望を期待する職員の思いも多く表れていた。実際、我々も動画を多職種チームで一丸となって完成させた際には非常に高い達成感があり、この取り組みにチャレンジする価値は十分にあったと言える。その他の効果として動画はレク実施の意味を考えるきっかけになった事や、新規利用者の増加に繋がる可能性、求職者へのアピールになるといった施設にとって有益な面も多い事が示唆された。一方で課題も見られSNSの発信方法は、例えば若年世代向けならばインスタにする等ターゲットとする年齢層に応じたSNS媒体の選択の必要性がある事も再確認した。また勤務時間外の活動を助長させてしまう可能性もあるため、有益性と同時に課題にも対応する必要があるといえた。
【まとめ】
 利用者家族のために取り組みを始めたが、家族だけでなく職員側にも多くの良い効果がある事が示唆された。今後も継続・拡大し、テーマや媒体を工夫しながら、より多くの家族・関係者に情報が届けられる体制を目指したい。