講演情報

[28-O-A016-01]自立した排泄支援に向けた多職種連携の取り組み

大阪府 山本 玲子, 冨田 良枝, 蛯原 潤平, 武山 辰夫, 新井 沙耶香 (介護老人保健施設ソルヴィラージュ)
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「はじめに」
 当施設は3フロア・入所定員150人の介護老人保健施設である。これまで自然排便がある利用者は非常に少なく、ひと月に約400本程度のグリセリン浣腸(以下、浣腸薬)を使用していた。
 慢性便秘症の方は、健常人と比較して健康感、社会生活機能、心の健康の項目でQOLが低下していると報告されており、浣腸薬に頼ることのない排泄支援の確立が課題であった。今回、多職種が協働して浣腸薬に極力頼らない排泄支援に取り組んだので報告する。

「目的」
 浣腸薬使用の常態化が利用者の苦痛を増強し、社会生活機能や心の健康に悪影響を及ぼすことが考えられた。そこで、多職種が連携して排泄ケアを見直し自然排便を促す支援を行った結果、浣腸薬の使用本数が大幅に減少し、自然排便の頻度が向上した。

「方法」
1)自然排便を妨げる薬剤の見直し
 薬剤部による研修(大腸のメカニズム、効果的な下剤の使い方など)の実施。看護師は薬剤部指導のもと下剤の調整を行なった。医師と相談し、不必要な睡眠剤などの減薬につなげた。
2)水分摂取量の増加(目標1日1.5~2L)
 飲み物の種類や温度、食感などを考慮し、飲水摂取を促した。
3)腸の蠕動を促すレクリエーションや集団体操の提供
4)適切なタイミングでのトイレ誘導

「結果」
 半年間の取り組みにより、徐々に浣腸薬の使用本数を減らすことができた。現在も1カ月あたり17本前後で推移している。また、寝たきりで床上排泄の利用者についても、摘便の際に僅かな刺激で排出できるケースも多くなっている。また、便秘が解消されることで、利用者の表情や言動が明るくった。セルフケアに対する意識も高まり、利用者の多くは、水分摂取に対する積極的な言動や行動が数多くみられるようになった。

「考察」
 排便ケアに対する具体的な対応・ケアが明確となったことで、多職種が多方面からアプローチできた。浣腸薬に頼らない自然な排便が促されたことで利用者のQOL向上に繋がったと考えられる。職員一人ひとりが排泄支援の重要性を再認識しケアに対する意識とモチベーションの向上にも繋がったと考える。
 なお、高齢者の水分摂取は、便秘予防の他にも認知機能の低下、脱水による発熱、尿路感染症の予防にも効果があるとされ、今後も継続的に支援していく必要がある。

「結論」
 多職種連携による排泄支援の取り組みにより、浣腸薬に頼らず自然排便を促すケアの実現が可能になった。また、今回の取り組みを通して、職員一人ひとりの排便ケアに対する意識改革にも繋がり、多職種連携の必要性を再認識する機会となった。

参考文献
1)日本消化管学会編集:便通異常症 診療ガイドライン2023 南江堂
2頌徳会グループ理事長 日野頌三:生命の花を咲かせます 生きる力を支えます 力を活かして支えます 関西医療福祉通信、2024
3)一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会編集:新版 排泄ケアガイドブック・照林社
4)梶原敦子 監修:TENAワークショップ1 アセスメントから始める排便サポート
5)大川弥生著:目標指向的介護の理論と実際・中央法規出版
6)札幌大通 胃と大腸の内視鏡クリニック ホームページ(https://odori-clinic.com/colum/)

武山辰夫 山本玲子 古田弥生 橋本舞 佐野優斗 渋川拓真
安達雅人 上垣美幸 蛯原潤平 宮元優花 新井沙耶香 冨田良枝