講演情報

[28-O-C006-03]在宅生活における最適な褥瘡ケアを目指して

岡山県 下浦 淳平, 福嶋 啓祐, 福嶋 真弥, 横山 忍, 三宅 麻絵, 中田 英理 (医療法人福嶋医院介護老人保健施設いるかの家リハビリテーションセンター)
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【目的】
通所は入所と違い24時間での姿勢ケアや全身状態の管理が難しい現状にある。今回通所を利用されている方で褥瘡を発症し、多職種連携を行いリハビリ介入によって改善が見られた経過を報告する。
【症例概要】
男性 90代 要介護5
日常生活自立度(寝たきり度) C2
日常生活自立度(認知症高齢者)4
 H18年  糖尿病 高血圧
R2年5月 右下肢切断
R3年5月 左下肢切断
R4年7月 左内頚動脈狭窄症
R5年1月 仙骨部 腰部褥瘡
麻痺の程度 Brannstrom Stageにて判定
      上肢1 手指1 下肢1
FIM(機能的自立度評価表) 25/126点
本人の主訴:なるべく家で生活したい。
家族の主訴:できる範囲で本人の意向を叶えてあげたい
【方法】
研究対象期間 R5年1月~R7年1月
ブレーデンスケール、DESIGN―Rを使用し状態の評価を実施。リハビリ介入時にクッションを使用しポジショニングを作成、通所利用、在宅生活、訪問リハビリ、訪問看護で24時間での姿勢ケアや全身状態を管理し、多職種での情報共有を行い褥瘡状態の変化を記録。多職種介入として以下のように介入。
医師:褥瘡処置と家族への説明
看護師(通所・訪問):褥瘡の処置と観察 
介護士:移乗・食事・入浴介助など
理学療法士:機能訓練・ポジショニング等・環境設定
管理栄養士:栄養・食形態の評価
ケアマネージャー:ケアプラン調整・家族との調整
【結果】
DESIGN-Rによる褥瘡評価では、発症時5点、最悪時は29点まで悪化しましたが、環境整備と介入により令和6年12月には再び5点に改善。ブレーデンスケールでも、可動性・湿潤・摩擦などのリスク要因の軽減が見られました。
【考察】
本症例は、褥瘡が仙骨部、表皮剥離が腰椎直上に見られる。問題点として麻痺による感覚障害の影響で重心の傾きが見られ、自己体動により前方への座位ズレ、長時間の座位による圧迫及び重心の傾きによる姿勢アライメント不良により仙骨部、腰椎直上への剪断力が考えられる。長時間の座位に対しては除圧力の高いクッション変更し、安静臥床を行い除圧実施。両下肢切断により下肢での座位コントロールが不可能なため車椅子角度調整を行い背中と臀部の設置面積を増やすことで圧分散を行い、重心の傾き対して右側背面にバックサポートをつくり支持性の向上と座位コントロールが可能になったが下肢切断の影響により自身での座位修正が難しいためリハビリ、移乗時、パット交換などの介助による修正を情報共有し実施。在宅ではエアマットを導入し、訪問リハビリ、訪問看護と連携してポジショニングを実施し、在宅での負担軽減を行ったことで評価の点数に改善がみられた。在宅生活における褥瘡ケアの最適化には以下の要素が不可欠であると考えます。在宅生活における褥瘡ケアの最適化には、多職種連携、適切なシーティング環境の整備、リハビリテーション介入、家族支援が不可欠である。本症例でもそれらが複合的に機能し、褥瘡状態の改善に寄与したと考えられる。まず、多職種連携の重要性は数多くの研究で強調されている。在宅医療におけるチームベースの褥瘡予防介入が、褥瘡の発生率を有意に低下させたことを報告している。今回の症例でも、医師、看護師、介護士、理学療法士、管理栄養士、ケアマネジャーによる情報共有と連携が、適切なタイミングでのケアにつながったと考えられる。また、ポジショニングおよびシーティングは、褥瘡管理において中核的な要素である。個別化された車椅子調整と除圧クッションの使用が、仙骨部褥瘡の進行を抑制することを示している。本症例でも、除圧力の高いクッションへの変更や車椅子角度調整、バックサポート作成により、仙骨部の圧分散が効果的に行われ、剪断力の軽減が図られた。さらに、本人の活動と参加を維持・拡大するリハビリテーションは、単なる褥瘡予防にとどまらず、生活の質向上にもつながる。褥瘡予防における可動性の維持が重要な要因として挙げられており、特に在宅高齢者では小さな体動の積み重ねが予防に寄与することが示されている。本症例でも、プッシュアップの導入や上肢筋力訓練により、わずかながら自己体動を可能にしたことが改善に貢献したと考えられる。最後に、家族支援と教育の重要性について、家族や介護者への適切な教育と支援が在宅での褥瘡管理に不可欠であるとされている。本症例では、キーパーソンである家族との継続的な協議と協力体制が、通所以外の在宅場面でも一貫したケアの実施を可能にしたと考えられる。
【まとめ】
在宅における褥瘡管理は、単独の職種では困難で包括的な介入と情報共有を細かく行い、生活環境・本人能力・家族支援を総合的に捉えることが、褥瘡予防及び改善となることが、予防・改善の鍵であると改めて確認された。