講演情報

[28-O-C007-02]感染症対策教育が職員の意識改革にもたらす影響

島根県 三原 美和子, 内田 ゆきえ, 原 和行, 渡邊 悠斗 (老人保健施設たき)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【はじめに】
施設における感染対策の徹底は他職種との共同の中、意識レベルや知識に格差があり全職員が周知し、感染管理ができるようになるのは容易なことではなく、繰り返す教育を行いながら職員の考え方や行動の変化をさせる努力を行っている。また、併設するデイケアや事務職員の勉強会の徹底はできておらず全職員が感染対策に関する知識が習得できていないのが現状であった。今回、高齢者施設などの感染対策向上加算算定を開始し、連携病院からの視察での指摘事項に対して、全職員にアンケート調査を行ったところ、定期的な教育を行っていた職員と行っていない職員では感染対策に対する意識に差があることが判明した。そこで、生産性向上委員会のリーダーや感染対策委員会リーダーに対して指導方法についてのコーチングを行い。全職員に対しての勉強会や指導を行った。結果全体的な意識改革に有効であると評価できた。合わせて、対策の見直しを行うことでコストダウンにも繋がったので報告する。
【研究方法】
1)全職員に対してアンケート調査実施
  5段階評価による評価に加え自由記述で評価
2)各部署で感染対策や指摘事項を示し改善を行ってもらった後、実態調査を行う
3)リーダーに対して指導方法についてのコーチングを行い、全職員に対して勉強会を開催し全職員の行動がどう変化したか5段階評価と自由記述によるアンケート実施
【倫理的配慮】
対象となる職員に対して調査は任意であることを伝えまた、個人情報を保護し回答を個人的評価にしないことと決め調査依頼を行った
【結果】
感染対策の指摘事項についての内容報告後アンケート実施回答率100%
 定期的な感染対策研修会に参加している職員 19人 「まあまあ理解できている」57.9% 「理解できている」26.3%「あまり理解できていない」15.8%
自由記載
 「感染対策にはコストがかかる」「理解はしていたが、指摘を受け、そうだなと再確認できた」 「対策移行期には全職員の意識を変えることが難しいと感じた」
研修に参加していない職員 10人回答率100%「まあまあ理解できている」50%「理解できている」50%
自由記載
 「通所施設は在宅系施設なので病院のように厳重にしても意味がないと思う」 「通所利用者は土足で施設内を歩いているが入所利用者も同じフロアを歩いているがその辺はどう対策されるのか?」
【実態調査】
定期的研修を行っている職員に対して改善項目を示したところ、感染対策リーダーが主体となってすぐに改善策を提示してきた。コストも含め検討を行ったが、実際導入するために全職員への周知の方法が難しいとの相談を受けた。定期的研修を受けていなかった職員は改善策がわからず、指示を求めてきた
【リーダーへの指導後の変化】
感染対策委員会・生産向上委員会リーダーに対して全職員への周知方法やリーダーとしての役割についてのコーチングを行った。その後、リーダーを主体として全職員がわかりやすいように改善前後の写真を撮って勉強会を開催し、勉強会に参加できなかった職員に対しては回覧や個別指導を行い全職員へ周知を行った。
勉強会実施後アンケート実施 回答率 100%「十分理解できている」20.7% 「まあまあ理解できた」58.6% 「理解できた」20.7%
自由記載「感染対策に関する知識が足りなかったことに気づかれた」「学びを深めたいと思った」「理解していても実践できていないこともあり、もっと細かい対策をしていこうと思った」「指導を受け感染対策に対する考え方が変わった」「ウイルスなどだけではなく害虫などにも目を向けていかなければならないとわかりました」「デイケアでも対策をしなければいけないと思った」「見直しを行うことでコストダウンにも繋がったのは驚いた」
【考察】
今回、連携病院からの視察後、改善すべき事案に対して、各部署に周知したが、日頃より感染対策の勉強会に参加していた職員は意識が高く自ら改善策を提案し意見を出し合うことが出来た。しかし、参加していなかった職員は感染に対する意識が低いため、自らが変容することを考えることはなく、新しい事柄に対しての意識改革が難しかった。そこで、指導役である感染対策リーダーや生産性向上委員会のリーダーに対してリーダーとしての役割についてコーチングを行い人的資源の質を上げることで、全体の意識改革につながった。合わせて感染対策の見直しを行うことで薬品の統一化や、清掃、消毒方法の変更などによりコストダウンにつながることが出来た。職員の知識や技術の習得が感染対策に最も重要であることがこの研究を通して分かった。
【結語】
今後、職員の離職や人員の不足により、業務内容を縮小させ介護の質を上げていくことが最も重要になってくる。介護職員の知識の向上を行うことで介護の質が上がり、利用者の満足度が増えることで、職員のやりがいに繋がっていくという生産性向上の考え方を取り入れながら実践していくことでより効果的で継続的な感染対策にもつながっていくと思われる。