講演情報
[28-O-C007-05]スキンテア予防の取り組み当施設独自のスキンテアリスクアセスメント表の運用
茨城県 ○金澤 圭介 (取手市介護老人保健施設 緑寿荘)
【はじめに】
スキンテアは皮膚が摩擦やずれで裂けたり、はがれたりする真皮深層までの皮膚損傷のことを指す。高齢者は皮膚のバリア機能が低下していることが多く、スキンテア発生リスクが高い。当施設では両上下肢のスキンテアを繰り返す人が多く、対策を個々に行っていた。スキンテアを起こしやすい人をアセスメントするにあたり、既存のアセスメントスケールだと75歳以上はリスクありと該当されるが、高齢者施設においてはほとんどの人が該当する。その為、特にスキンテアリスクの高い人をアセスメントし、予防的ケアを行うことで発生件数を少なくすることが出来るか検討、実践した。
【目的と期間】
目的:スキンテアリスクの高い人をアセスメントし、両上下肢の予防的ケアを行うことで発生回数を少なくすることができるか検証する。
予防的ケア期間:2024年7月~12月
対象者:入所者全員(平均80.4名)
【方法】
1.スキンテアハイリスク者の抽出方法
(1)一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会の個体要因リスクアセスメント表を参考に、施設独自の個体要因リスクアセスメントスケール(以後、独自のスケールとする)を作成し合計点7点以上をハイリスク者とする。
項目1全身状態(a低栄養:アルブミン値3.0以下、bステロイド・抗凝固薬内服、c低活動性:要介護度4、5)を各1点。
項目2皮膚状態(d乾燥・落屑、e紫斑、f浮腫、gティッシュペーパー様)を各2点
(2)2023年度スキンテアを2回以上発生している人。(独自のスケール平均点数:7.16)
2.個体要因に対しスキンケア・外力発生要因に対し環境を調整し予防的ケアを行う。
(1)スキンケアは両上下肢に毎日1回ヴァセリンローションを塗布。
(2)環境の調整は肌の露出を少なくする。長袖の服、アームカバーの着用を推奨。
ベッド柵や車椅子など上下肢が当たりやすい箇所にカバーやクッション材を設置する。
3.A期間:予防的ケアを行っていなかった2023年7~12月
B期間:独自のスケールを使用し予防的ケアを行った2024年7~12月
上記期間のスキンテア発生回数を比較する。
【結果】
(1)施設全体のスキンテア発生回数は、A期間25回。B期間17回。
A期間:7月4回、8月7回、9月5回、10月3回、11月4回、12月2回
(月別発生率2~8%)
B期間:7月3回、8月2回、9月3回、10月7回、11月1回、12月1回
(月別発生率1~8%)
(2)B期間のハイリスク者内での発生回数は、8回。
7月3回、8月2回、9月2回、10月1回、11月0回、12月0回
(月別発生率0~30%)
【考察】
(1)独自のスケールでハイリスク者を抽出し予防的ケアを行ったことで、発生回数が減少し、さらに利用者全体の発生回数減少につながったと考えられる。また、発生率の高いハイリスク者に焦点をあて予防的ケアを行ったことは有効であった。
(2)B期間の10月は7回で発生回数が増加した。これは新規入所で皮膚が脆弱かつ、スキンテアの危険に対する認識が乏しい人や、ターミナル期で全身状態が悪い人など新たなハイリスク者を評価しなかったことが増えた要因としてあげられる。そのことを踏まえて2024年11月からは独自のスケールでハイリスク者を毎月見直し、予防的ケアを行った。結果、11月以降は発生回数の減少に繋がったと考えられる。
(3)ハイリスク者のスキンケア以外に外力発生要因に対し環境面を見直し、受け持ち介護士が入所者の状況に応じてベッド柵や車椅子のフットレストなど、体がぶつかりやすい部分にカバーをつける等の対策を行ったことが、発生減少につながったと考えられる。
(4)保湿ケアを毎日することで皮膚のバリア機能の改善へ繋がり、スキンテア発生が減少した。スキンテア予防のためには、入所者の日々のケアの中でアセスメントを行い、適宜対象者の見直しが必要である。
【まとめ】
(1)独自のスケールでスキンテアハイリスク者を抽出し、保湿ケア・環境を整える予防的ケアを行うことで全体のスキンテア発生件数を減少させることが出来た。
(2)スキンテア予防のためには定期的なアセスメントとケアを行っていく必要がある。
(3)予防的ケアを実施してもスキンテアが発生しており、保湿剤や塗布回数等の検討をしていく事が今後の課題である。
参考文献
ベストプラクティス スキン-テア(皮膚裂傷)の予防と管理 一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会 2015年
スキンテアは皮膚が摩擦やずれで裂けたり、はがれたりする真皮深層までの皮膚損傷のことを指す。高齢者は皮膚のバリア機能が低下していることが多く、スキンテア発生リスクが高い。当施設では両上下肢のスキンテアを繰り返す人が多く、対策を個々に行っていた。スキンテアを起こしやすい人をアセスメントするにあたり、既存のアセスメントスケールだと75歳以上はリスクありと該当されるが、高齢者施設においてはほとんどの人が該当する。その為、特にスキンテアリスクの高い人をアセスメントし、予防的ケアを行うことで発生件数を少なくすることが出来るか検討、実践した。
【目的と期間】
目的:スキンテアリスクの高い人をアセスメントし、両上下肢の予防的ケアを行うことで発生回数を少なくすることができるか検証する。
予防的ケア期間:2024年7月~12月
対象者:入所者全員(平均80.4名)
【方法】
1.スキンテアハイリスク者の抽出方法
(1)一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会の個体要因リスクアセスメント表を参考に、施設独自の個体要因リスクアセスメントスケール(以後、独自のスケールとする)を作成し合計点7点以上をハイリスク者とする。
項目1全身状態(a低栄養:アルブミン値3.0以下、bステロイド・抗凝固薬内服、c低活動性:要介護度4、5)を各1点。
項目2皮膚状態(d乾燥・落屑、e紫斑、f浮腫、gティッシュペーパー様)を各2点
(2)2023年度スキンテアを2回以上発生している人。(独自のスケール平均点数:7.16)
2.個体要因に対しスキンケア・外力発生要因に対し環境を調整し予防的ケアを行う。
(1)スキンケアは両上下肢に毎日1回ヴァセリンローションを塗布。
(2)環境の調整は肌の露出を少なくする。長袖の服、アームカバーの着用を推奨。
ベッド柵や車椅子など上下肢が当たりやすい箇所にカバーやクッション材を設置する。
3.A期間:予防的ケアを行っていなかった2023年7~12月
B期間:独自のスケールを使用し予防的ケアを行った2024年7~12月
上記期間のスキンテア発生回数を比較する。
【結果】
(1)施設全体のスキンテア発生回数は、A期間25回。B期間17回。
A期間:7月4回、8月7回、9月5回、10月3回、11月4回、12月2回
(月別発生率2~8%)
B期間:7月3回、8月2回、9月3回、10月7回、11月1回、12月1回
(月別発生率1~8%)
(2)B期間のハイリスク者内での発生回数は、8回。
7月3回、8月2回、9月2回、10月1回、11月0回、12月0回
(月別発生率0~30%)
【考察】
(1)独自のスケールでハイリスク者を抽出し予防的ケアを行ったことで、発生回数が減少し、さらに利用者全体の発生回数減少につながったと考えられる。また、発生率の高いハイリスク者に焦点をあて予防的ケアを行ったことは有効であった。
(2)B期間の10月は7回で発生回数が増加した。これは新規入所で皮膚が脆弱かつ、スキンテアの危険に対する認識が乏しい人や、ターミナル期で全身状態が悪い人など新たなハイリスク者を評価しなかったことが増えた要因としてあげられる。そのことを踏まえて2024年11月からは独自のスケールでハイリスク者を毎月見直し、予防的ケアを行った。結果、11月以降は発生回数の減少に繋がったと考えられる。
(3)ハイリスク者のスキンケア以外に外力発生要因に対し環境面を見直し、受け持ち介護士が入所者の状況に応じてベッド柵や車椅子のフットレストなど、体がぶつかりやすい部分にカバーをつける等の対策を行ったことが、発生減少につながったと考えられる。
(4)保湿ケアを毎日することで皮膚のバリア機能の改善へ繋がり、スキンテア発生が減少した。スキンテア予防のためには、入所者の日々のケアの中でアセスメントを行い、適宜対象者の見直しが必要である。
【まとめ】
(1)独自のスケールでスキンテアハイリスク者を抽出し、保湿ケア・環境を整える予防的ケアを行うことで全体のスキンテア発生件数を減少させることが出来た。
(2)スキンテア予防のためには定期的なアセスメントとケアを行っていく必要がある。
(3)予防的ケアを実施してもスキンテアが発生しており、保湿剤や塗布回数等の検討をしていく事が今後の課題である。
参考文献
ベストプラクティス スキン-テア(皮膚裂傷)の予防と管理 一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会 2015年

