講演情報

[28-O-C007-06]95歳でストーマを造設し受容から在宅復帰への関わり90歳代で建て替えた独居宅への在宅復帰サポート

兵庫県 常深 優 (加東市介護老人保健施設ケアホームかとう)
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【はじめに】
日本では高齢化が加速し18年前に超高齢化社会になり、介護施設の受容は高まり、在宅復帰を支える看護師の存在はますます重要である。社会の高齢化に伴いストーマを造設する高齢者も増えてきている。今回、95歳でストーマ造設し90歳代で新築リフォームをした家で独居生活を続けたいと願う利用者に関わった。健康管理や医療処置の支援だけでなく、多職種と連携し在宅復帰を目指す関わりの中で、多職種との連携の在り方を振り返り新たな連携の取り方を構築することができたためここに報告する。【事例紹介】90歳代 女性 緊急手術でストーマ造設
ストーマへの受容ができておらず、セルフケアの未確立な状態で退院し入所
他者との交流はほとんどなし
独居で3年前に身体機能に合う家に新築し自宅に帰りたいという目標を持っていた
キーパーソンは大阪に住む姪のみ
「新築の家に住まわせてあげたい」という思いはあったが遠方であり不安があった。【実際】
入所後、まずはストーマへの思いを傾聴し、「自分のおなかから腸が出ているなんて、見るのが怖い」との発言があったが、次第に自身のストーマを見ることが出来るようになった。次に、装具交換練習を開始した。手指の巧緻性の低下があり、面板のカットは不可能であったため、プレカット装具への変更を行った。交換方法を簡単にすることで入所後2ケ月で見守りのもと自己で装具交換が可能となった。皮膚トラブルも起こしており、皮膚の観察や対処方法についても説明した。対処方法については、薬剤やアクセサリーの使用など「難しくてできない」との発言があり、皮膚の異常を発見した場合は早期にスタッフに伝えるように指導した。同時に、集団生活の中で食事時やおやつ時に食堂へ行くことで、離床して過ごす時間が大きく増えた。入所時は、居室で過ごすことが多かったがデイルームでテレビを見たり、他の利用者と会話したりする機会が増えた。
姪とは月に1回程度、施設ケアマネージャーを含め面談を行った。退所への不安などを話し合い、電話でも定期的に情報共有を行った。
退所後の本人・姪の不安軽減のために、当施設のデイサービスを利用し、入浴・ストーマ装具の交換など継続ケアを行うことと、定期の訪問看護の利用調整を行った。もし装具が外れるなどのトラブル時に自宅で対処できない場合は、緊急で訪問看護の利用も出来ることとなった。サービスの調整が出来、約3か月で自宅への退所が実現した。
退所後も、デイサービスと訪問看護を利用しながら、主に自宅で生活することができている。また、早期に困ったことに対応できるようにデイケア利用時やショートステイ・長期入所を利用し状態観察を行い、不安なことなどの話を傾聴した。【倫理的配慮】
文章をまとめるにあたり、ご本人に口頭にて確認し、発表以外では使用しないこと、利用者の個人情報やプライバシーの保護に配慮することを説明し同意を得た。【考察】
超高齢者であり、緊急手術による身体の変化や近くに家人がいないという不安は大きかったと考える。しかし、入所者が自宅に帰りたいという強い思いがあったからこそ、時間をかけて関わることでストーマを受容することが可能であった。そして、思いを実現できるように、情報発信の場をもうけて情報交換し、関わる全ての職種が目標共有し、それぞれの職種ができる支援を明確にすることができた。そのため、目標に向かって介入しサービス調整を行うことで、本人・家族の不安軽減ができ、自宅に退所することが実現できた。退所後も同じ施設内のサービスを利用することで、少しでも長く安心して在宅生活が送れるように継続した介入を行うことが可能となった。
今回の事例を通して、多職種で連携を行うために本人・家族の思いが達成可能なものにするためのツールとして、看護・介護支援連携録を作成した。面談中に記入し、家族へ相異がないか確認を行ってもらい情報提供への同意の欄に署名してもらい、外部の利用予定の多職種への情報提供を行った。裏面には、カンファレンスや退所前訪問、サービス調整などの記入欄を作成し、退所までのスケジュール管理も明確になった。口頭だけでは伝わらないことなど、可視化することで関わる全ての職種が問題把握し、それぞれの職種ができる支援を明確にすることができ、早期退所に向けた関りができた。また、個人カルテに保管したことで、いつでも見られるように管理し施設内スタッフが情報を周知し統一した関りを行うことが出来たと考える。【おわりに】
ストーマ造設した入所者のセルフケア能力を高齢者だからと先入観を持つことなく、丁寧に見極めることが重要である。高齢者の場合、ストーマケアだけでなく日常生活の支援や認知機能が低下した場合も考慮しなければならない。
看護・介護支援連携録について、今年度より運営を開始したばかりであるが情報を集約し施設内スタッフが周知し統一した関りを行えるようにすることや、外部との交流を深め、繋げていくことが今後の課題である。今後も入所者が住み慣れた地域で、その人らしく在宅で過ごせるように寄り添える看護・介護を行っていきたい。