講演情報

[28-O-C007-07]老健施設における感染対策ICDが ノロウィルス感染を契機にやれたこと

愛知県 岡村 武彦1, 福井 真理子2, 岡田 温1, 伊藤 久美子1, 伊藤 正和1, 伊藤 実那1 (1.シルピス大磯, 2.善常会リハビリテーション病院)
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【緒言】COV-19感染症が5類となり、現在でも変異株はどんどん変化している中で、医療スタッフも含めて徹底した感染対策は忘れ去られようとしている昨今である。そんな中、本年4月にInfection Control Doctor(ICD)である演者が善常会シルピス大磯という老健施設に赴任した。在宅復帰支援を目指し、リハビリに力を入れている103床の超強化型老健である。看護師、介護士、理学療法士、管理栄養士など多くのスタッフが毎日365日リハビリを行い、自宅やほかの施設に移れるよう頑張っている。赴任と同時に2階フロアーでノロウィルス感染が広がっており、併設しているリハビリ病院の感染管理認定看護師(ICCN)がすでに対応中であることが分かった。入所者の1人は状態が悪くなり、近隣病院に救急搬送されていた。【方法】まずしっかりとしたゾーニングの再確認と対応、罹患患者の全身管理を行いつつ、スタッフの手指衛生の指導を徹底して行った。当施設では、夜間スタッフの数が少なく、2階と3階で交差して看護師1人が2フロアー対応にあたっているため、特に注意を要した(介護士は夜勤もフロアー専属)。ICCNは基本的に併設病院勤務で忙しい状況であり、演者も赴任早々スタッフと面識もない状態の中で、演者の指示指導を十分受け入れてもらえるかどうか不安の中での対応であった。各スタッフのマスク装着不備も多く、トイレなどには正しい手洗い方法などの張り紙もあって、併設リハビリ病院の感染対策委員会からの指導がうかがわれたが、老健施設という特殊性もあり、多くが認知症である入所者の対応には手薄な現状であった。ノロウィルス感染症クラスターの出ているフロアーで、ある程度めどが立ったところで、全員の手指衛生の基本指導を徹底して行うこととした。毎日朝夕の申し送り時間に3分間だけ時間をもらい、即乾性手指衛生剤による手指衛生をそこにいるスタッフ全員と行い、1-2分程度のミニレクチャー(耐性菌について、消毒薬の種類、コロナの最近の動向など毎回感染に関係する異なった内容を提供)を毎回行った。これを2週間継続。演者は週4日間の勤務なので、残りの1日はICCNにやってもらった。終了後、もう一つのフロアーで1週間同様のことを行った。これと同時進行で、ICCNと共に環境ラウンドを週1回行い、できるだけ改善すべきところを写真に撮ってラウンドを行った部署に配布。翌週確認のラウンドを行った。このころにはノロウィルス感染症クラスターは収束し、通常の運営が可能となっていた。また、嬉しいことにリハビリ部署からの希望あり、手指衛生と1-2分程度のミニレクチャーを朝の申し送りの時に1週間続け、スタッフ全員が1回以上参加できるように対応した。その後、1か月間でスタッフ全員の発光塗料による手指衛生のチェックを行い、更なる認識の強化を図った。【結果】4か月間という短い期間ではあったが、以上のことを実践したことで、ノロウィルス感染によるクラスター発生を最小限に抑え、感染についての正しい知識の普及と手指衛生の重要性を施設全体に普及できる契機となった。【考察】赴任後わずか3か月半の間にこれだけできたことは、ICDとしての意識をもって今までの経験を生かして頑張ったことは当然であるが、たまたま同じグループ内にICCNがいたことと、管理者の方々のご理解があって、通常業務以外のことに許可をしていただいた結果実現したものと考える。今後さらにCOV-19変異株の感染拡大や新たな感染症の脅威がいつ起こってもおかしくない現状である。老健施設においても、通常業務以外にもICDとして可能な限り感染対策指導を継続してゆく予定である。【結論】赴任早々ノロウィルス感染症クラスターを経験して、従業員数600名を超える大きなグループの中で、ICD1人のみでも、熱意をもって管理者陣営の理解を得たことが功を奏したものと思われる。