講演情報
[28-O-D005-06]よい香りだね ありがとうアロマテラピーによる行動の改善への取り組み
北海道 ○吉田 類, 工藤 咲菜, 渡部 基江 (介護老人保健施設 グランドサン亀田)
【はじめに】
約99名が入所する当フロアーでは、利用者は様々な形で余暇を過ごされており、利用者間の交流も見られる。アルツハイマー型認知症の利用者(以下A氏)は塗り絵をして過ごす事もあるが大きな声で同じ歌を何度も繰り返し唄う。他利用者への突然の暴言などA氏が原因の利用者間のトラブルが何度かあった。アルツハイマー型認知症患者へのアロマテラピーが状態改善に効果的であると知り先行研究を調べた。浦上は1)・「アロマテラピーによって認知症の中核症状である認知機能に改善が見られる事や、認知症の症状が緩和され患者様の生活の質の改善が見られるという事が示唆されている。ラベンダーとオレンジスイートは鎮静作用があり、心身のバランスを整える効果が期待できる」と述べている。そこで、アロマの効果により、A氏の精神状態が緩和し行動改善が見られる事を期待しアロマテラピーを導入する事を考えた。アロマスプレーを毎日A氏の衣類に噴霧し、精神状態や行動の変化をまとめたので、今回ここで取り組み内容と成果を報告する。
【対象者】
A氏 80代 認知症高齢者の日常生活自立度:IIb 寝たきり度:B1
主病名:アルツハイマー型認知症
研究中、内服薬や治療方針などの変更はなかった。
【倫理的配慮】
A氏のご家族様へ研究の目的と内容を口頭で説明し、研究で得られたデータは研究以外で使用しない事で同意を得た。
【研究方法】
研究期間:2025年4月1日から同年6月30日まで
研究方法
1:アロマスプレーを調合する。
(4月1日~5月31日)(1)ラベンダー6ml+オレンジスイート3ml+精製水45ml+無水エタノール5ml
(6月1日~6月30日)(2)ラベンダー10ml+オレンジスイート5ml+精製水45ml+無水エタノール5ml
2:起床時にA氏の衣類の胸元に(1)のスプレーをワンプッシュ噴霧する。
3:日中を通して状態を観察し、観察項目に沿って以下の該当する数字、または具体的な記載を記録用カレンダーに記録する。
観察項目:「1.多動」 「2.暴言」 「3.イライラ感」 「4.大声で歌う」 「5.著変なし」 「6.その他」:具体的に内容を記載する
4:記録用カレンダーをもとに研究期間中の状態を集計、考察した。
【結果および考察】
アルツハイマー型認知症では、嗅覚が最初に障害されるのが特徴的であり、植物由来の香りを嗅ぐ事で認知症の進行を抑制できる可能性があるとされている。今回の研究にあたり、鎮静効果があるとされるアロマの配合を選択した。副交感神経を刺激し心身をリラックスさせる、ラベンダーとオレンジスイートのオイルを調合し利用者に使用した。結果、4月中の集計では「1.多動」3、「2.暴言」11、「3.イライラ感」8、「4.大声で歌う」24、「5.著変なし」9、「6.その他」2であり、5月の集計は「1.多動」4、「2.暴言」4、「3.イライラ感」9、「4.大声で歌う」20、「5.著変なし」9、「6.その他」0であった。浦上の実験の結果最も良い結果の出た調合法は(2)ラベンダー10ml+オレンジスイート5ml+精製水45ml+無水エタノール5mlであったが、香りの感じ方には個人差があり体調や年齢によっても影響が出るとされているため(1)ラベンダー6ml+オレンジスイート3ml+精製水45ml+無水エタノール5mlにて開始した。5月の時点で思うような効果が得られていないと考え、6月1日からは(2)のアロマスプレーに変更した。その結果、6月の集計では「1.多動」1、「2.暴言」4、「3.イライラ感」1、「4.大声で歌う」18、「5.著変なし」11、「6.その他」0であった。
アロマテラピーを取り入れ検証した結果、わずかではあるが精神状態の改善が見られ一定の効果が得られた。鼻腔から吸収したアロマの芳香成分が自律神経やホルモンバランスを司る視床下部に直接働きかけ心身のバランスが整った事でA氏の気持ちを落ち着かせストレスが和らいだため、問題行動の減少に繋がったと考えられる。A氏からはアロマスプレーの噴霧に対する拒否的な言動や行為も見られず、時折「良い香りだね。ありがとう。」という言葉も聞かれた。
アロマの香りがA氏に対してある一定の効果が得られたが著しい変化にまでは至らなかった。A氏の生活がより穏やかなものになっていくためには継続的にアセスメントを行い、検証を続けていく必要があると考える。
高齢者は薬の吸収、分解、排泄に時間がかかるため薬の作用がゆっくり現れ肝臓や腎臓の機能が低下している場合にはその傾向が強くなる。そのため身体的侵襲のないアロマテラピーの導入を検討し穏やかな生活を送れるよう今後も利用者のニーズに応じた対応に努めていきたい。
【引用文献】
1)浦上克哉:あなたの物忘れ「いわゆるボケ」ですか「認知症」ですか?P164-165 2011
約99名が入所する当フロアーでは、利用者は様々な形で余暇を過ごされており、利用者間の交流も見られる。アルツハイマー型認知症の利用者(以下A氏)は塗り絵をして過ごす事もあるが大きな声で同じ歌を何度も繰り返し唄う。他利用者への突然の暴言などA氏が原因の利用者間のトラブルが何度かあった。アルツハイマー型認知症患者へのアロマテラピーが状態改善に効果的であると知り先行研究を調べた。浦上は1)・「アロマテラピーによって認知症の中核症状である認知機能に改善が見られる事や、認知症の症状が緩和され患者様の生活の質の改善が見られるという事が示唆されている。ラベンダーとオレンジスイートは鎮静作用があり、心身のバランスを整える効果が期待できる」と述べている。そこで、アロマの効果により、A氏の精神状態が緩和し行動改善が見られる事を期待しアロマテラピーを導入する事を考えた。アロマスプレーを毎日A氏の衣類に噴霧し、精神状態や行動の変化をまとめたので、今回ここで取り組み内容と成果を報告する。
【対象者】
A氏 80代 認知症高齢者の日常生活自立度:IIb 寝たきり度:B1
主病名:アルツハイマー型認知症
研究中、内服薬や治療方針などの変更はなかった。
【倫理的配慮】
A氏のご家族様へ研究の目的と内容を口頭で説明し、研究で得られたデータは研究以外で使用しない事で同意を得た。
【研究方法】
研究期間:2025年4月1日から同年6月30日まで
研究方法
1:アロマスプレーを調合する。
(4月1日~5月31日)(1)ラベンダー6ml+オレンジスイート3ml+精製水45ml+無水エタノール5ml
(6月1日~6月30日)(2)ラベンダー10ml+オレンジスイート5ml+精製水45ml+無水エタノール5ml
2:起床時にA氏の衣類の胸元に(1)のスプレーをワンプッシュ噴霧する。
3:日中を通して状態を観察し、観察項目に沿って以下の該当する数字、または具体的な記載を記録用カレンダーに記録する。
観察項目:「1.多動」 「2.暴言」 「3.イライラ感」 「4.大声で歌う」 「5.著変なし」 「6.その他」:具体的に内容を記載する
4:記録用カレンダーをもとに研究期間中の状態を集計、考察した。
【結果および考察】
アルツハイマー型認知症では、嗅覚が最初に障害されるのが特徴的であり、植物由来の香りを嗅ぐ事で認知症の進行を抑制できる可能性があるとされている。今回の研究にあたり、鎮静効果があるとされるアロマの配合を選択した。副交感神経を刺激し心身をリラックスさせる、ラベンダーとオレンジスイートのオイルを調合し利用者に使用した。結果、4月中の集計では「1.多動」3、「2.暴言」11、「3.イライラ感」8、「4.大声で歌う」24、「5.著変なし」9、「6.その他」2であり、5月の集計は「1.多動」4、「2.暴言」4、「3.イライラ感」9、「4.大声で歌う」20、「5.著変なし」9、「6.その他」0であった。浦上の実験の結果最も良い結果の出た調合法は(2)ラベンダー10ml+オレンジスイート5ml+精製水45ml+無水エタノール5mlであったが、香りの感じ方には個人差があり体調や年齢によっても影響が出るとされているため(1)ラベンダー6ml+オレンジスイート3ml+精製水45ml+無水エタノール5mlにて開始した。5月の時点で思うような効果が得られていないと考え、6月1日からは(2)のアロマスプレーに変更した。その結果、6月の集計では「1.多動」1、「2.暴言」4、「3.イライラ感」1、「4.大声で歌う」18、「5.著変なし」11、「6.その他」0であった。
アロマテラピーを取り入れ検証した結果、わずかではあるが精神状態の改善が見られ一定の効果が得られた。鼻腔から吸収したアロマの芳香成分が自律神経やホルモンバランスを司る視床下部に直接働きかけ心身のバランスが整った事でA氏の気持ちを落ち着かせストレスが和らいだため、問題行動の減少に繋がったと考えられる。A氏からはアロマスプレーの噴霧に対する拒否的な言動や行為も見られず、時折「良い香りだね。ありがとう。」という言葉も聞かれた。
アロマの香りがA氏に対してある一定の効果が得られたが著しい変化にまでは至らなかった。A氏の生活がより穏やかなものになっていくためには継続的にアセスメントを行い、検証を続けていく必要があると考える。
高齢者は薬の吸収、分解、排泄に時間がかかるため薬の作用がゆっくり現れ肝臓や腎臓の機能が低下している場合にはその傾向が強くなる。そのため身体的侵襲のないアロマテラピーの導入を検討し穏やかな生活を送れるよう今後も利用者のニーズに応じた対応に努めていきたい。
【引用文献】
1)浦上克哉:あなたの物忘れ「いわゆるボケ」ですか「認知症」ですか?P164-165 2011
