講演情報
[28-O-D005-07]レクリエーション活動で、認知機能の維持向上を目指す
愛知県 ○片山 晴菜, 錦見 満, 渡邉 美幸, 中村 公治, 吉村 あすか, 田中 陽介 (医療法人聖生会介護老人保健施設リハビリス日進)
【はじめに】
介護老人保健施設リハビリス日進でのレクリエーション(以下レク)の考え方は「みんなで楽しむ」よりも「みんなと楽しむ」であり、認知症段階に応じて五感に働きかけるレクを目指している。認知機能の低下と視覚に障害のある利用者が通所リハビリテーション(以下デイケア)を利用する事となり、今までデイケアで行っていたレクでは視覚に働きかける活動が多かった為、今回の事例に上げた利用者には適していなかったので、レクの時間に時折不穏な姿が見受けられた。不穏なく楽しく過ごして頂けるように職員一同で話し合い、改善した結果をここに報告する。
【目的】
レクの提供方法を変更する事で、デイケアでの日課を無理なく穏やかに過ごすことができる。
【事例紹介】
A氏、80代、男性、要介護度4。疾患名:糖尿病、緑内障、両視力低下、視力は光が分かる程度、認知症段階:象徴期、利用開始当初(R5,10/25~)HDS-R19点、翌年(R6,10/9)HDS-R16点、視覚障害があるため入浴・食事・排泄・移動・移乗等のADLに関して一部介助と声掛けが必要。尿路感染症を繰り返すためバルンカテーテル挿入中。デイケア利用日:月・水・金 ショートステイ 1~2回/月
【方法】
・A氏とコミュニケーションを図る事が出来る利用者の隣に座席をセッティングするなど考慮し、他者とのコミュニケーションが円滑に図れるようにする。
・職員もコミュニケーションを図るためにこまめな声掛けを行ない、レクの内容を遅滞なく伝える。
・集団レクでは、視覚重視よりもなるべく触覚や聴覚等に働きかけるレクを提供する。
・レク中はA氏に寄り添い、傾聴する事で不穏を軽減する。
・月に1度HDS-Rの評価を行い、変化を比べる。
【取り組み】
デイケアでは得点を競うゲームを週替わりに行っており、優勝者には帰宅前に表彰式を行い、賞状を授与している。また、各曜日の年間優勝者を新年に発表し表彰している。ゲームの種類はフリースロー、パターゴルフ、輪投げ、ストラックアウトと、どれも視覚が必要となるゲームばかりである。A氏には職員も一緒に行う事を伝え参加して頂く。その間、他の利用者には出来るだけ静かにして頂き、本人が集中して取り組めるように配慮する。また、目標の近くで職員が手を叩き方向を知らせる。音のする方向が理解出来たら、A氏の身体を支え声かけしながら一緒にゲームを行う。失敗してしまった際は周りの利用者に了承を得て再度挑戦して頂く。成功した際は周りの利用者に拍手を求め、共感して頂く。HDS-Rの評価を毎月1回実施、前月と比較し把握する。
【結果】
デイケア利用中の座席を配慮する事で、他の利用者が自然とA氏に話し掛け、A氏の日中の発語や笑顔が増えた。不穏な様子が軽減され、会話も穏やかになった。R7.5/21の時点でHDS-Rは13点という結果となった。HDS-Rの数値を維持、向上する事は出来なかったが、実際にレク活動への参加回数が増えた。現在も時折不穏な姿が見受けられるが、以前に比べると穏やかになりレク活動への参加拒否回数を減らす事が出来た。職員もA氏の特徴を理解し把握する事で、不穏なく参加して頂ける様に声をかけるタイミングを計る事が出来るようになった。他の利用者へ理解を求める事で、デイケア利用中にA氏に話し掛けてレク活動中に応援してくれる利用者が増えた。A氏も他の利用者の声かけに応えるように笑顔で参加してくれるようになった。ゲームの成功体験を重ねて頂く事でレク参加への意欲向上へ繋げる事が出来た。
【考察】
認知機能が低下し、視力に障害のある高齢者は、瞬時に環境に適応出来ず周囲の状況を把握する事が困難である。デイケア利用者は家族の関りが最も大きいが、外部連携を図る事で認知機能の低下を防ぎ、改善される事も大いにある。介助者や他の利用者といった、家族以外の社会が関わりを持つ事でADLの維持へと繋げる事が出来る事が分かった。
【おわりに】
当施設の施設名「リハビリス」は、ラテン語のRe・Habilisが由来であり、人間が本来持っている能力や状態を取り戻す事を示唆しており「日常業務のリハビリ化」を重要視している。今回の事例の様に、出来ないからと諦めたり放置したりするのでは無く、思考や方法を柔軟に変えながらその方と関わりを持ち、丁寧に接して行く事が重要だと再認識した。人は十人十色と言われるように、同じ人は誰一人ともいない。相手をカテゴライズするのではなく、一個人として大切に相手の今の時間に寄り添える介護従事者を目指していきたい。
介護老人保健施設リハビリス日進でのレクリエーション(以下レク)の考え方は「みんなで楽しむ」よりも「みんなと楽しむ」であり、認知症段階に応じて五感に働きかけるレクを目指している。認知機能の低下と視覚に障害のある利用者が通所リハビリテーション(以下デイケア)を利用する事となり、今までデイケアで行っていたレクでは視覚に働きかける活動が多かった為、今回の事例に上げた利用者には適していなかったので、レクの時間に時折不穏な姿が見受けられた。不穏なく楽しく過ごして頂けるように職員一同で話し合い、改善した結果をここに報告する。
【目的】
レクの提供方法を変更する事で、デイケアでの日課を無理なく穏やかに過ごすことができる。
【事例紹介】
A氏、80代、男性、要介護度4。疾患名:糖尿病、緑内障、両視力低下、視力は光が分かる程度、認知症段階:象徴期、利用開始当初(R5,10/25~)HDS-R19点、翌年(R6,10/9)HDS-R16点、視覚障害があるため入浴・食事・排泄・移動・移乗等のADLに関して一部介助と声掛けが必要。尿路感染症を繰り返すためバルンカテーテル挿入中。デイケア利用日:月・水・金 ショートステイ 1~2回/月
【方法】
・A氏とコミュニケーションを図る事が出来る利用者の隣に座席をセッティングするなど考慮し、他者とのコミュニケーションが円滑に図れるようにする。
・職員もコミュニケーションを図るためにこまめな声掛けを行ない、レクの内容を遅滞なく伝える。
・集団レクでは、視覚重視よりもなるべく触覚や聴覚等に働きかけるレクを提供する。
・レク中はA氏に寄り添い、傾聴する事で不穏を軽減する。
・月に1度HDS-Rの評価を行い、変化を比べる。
【取り組み】
デイケアでは得点を競うゲームを週替わりに行っており、優勝者には帰宅前に表彰式を行い、賞状を授与している。また、各曜日の年間優勝者を新年に発表し表彰している。ゲームの種類はフリースロー、パターゴルフ、輪投げ、ストラックアウトと、どれも視覚が必要となるゲームばかりである。A氏には職員も一緒に行う事を伝え参加して頂く。その間、他の利用者には出来るだけ静かにして頂き、本人が集中して取り組めるように配慮する。また、目標の近くで職員が手を叩き方向を知らせる。音のする方向が理解出来たら、A氏の身体を支え声かけしながら一緒にゲームを行う。失敗してしまった際は周りの利用者に了承を得て再度挑戦して頂く。成功した際は周りの利用者に拍手を求め、共感して頂く。HDS-Rの評価を毎月1回実施、前月と比較し把握する。
【結果】
デイケア利用中の座席を配慮する事で、他の利用者が自然とA氏に話し掛け、A氏の日中の発語や笑顔が増えた。不穏な様子が軽減され、会話も穏やかになった。R7.5/21の時点でHDS-Rは13点という結果となった。HDS-Rの数値を維持、向上する事は出来なかったが、実際にレク活動への参加回数が増えた。現在も時折不穏な姿が見受けられるが、以前に比べると穏やかになりレク活動への参加拒否回数を減らす事が出来た。職員もA氏の特徴を理解し把握する事で、不穏なく参加して頂ける様に声をかけるタイミングを計る事が出来るようになった。他の利用者へ理解を求める事で、デイケア利用中にA氏に話し掛けてレク活動中に応援してくれる利用者が増えた。A氏も他の利用者の声かけに応えるように笑顔で参加してくれるようになった。ゲームの成功体験を重ねて頂く事でレク参加への意欲向上へ繋げる事が出来た。
【考察】
認知機能が低下し、視力に障害のある高齢者は、瞬時に環境に適応出来ず周囲の状況を把握する事が困難である。デイケア利用者は家族の関りが最も大きいが、外部連携を図る事で認知機能の低下を防ぎ、改善される事も大いにある。介助者や他の利用者といった、家族以外の社会が関わりを持つ事でADLの維持へと繋げる事が出来る事が分かった。
【おわりに】
当施設の施設名「リハビリス」は、ラテン語のRe・Habilisが由来であり、人間が本来持っている能力や状態を取り戻す事を示唆しており「日常業務のリハビリ化」を重要視している。今回の事例の様に、出来ないからと諦めたり放置したりするのでは無く、思考や方法を柔軟に変えながらその方と関わりを持ち、丁寧に接して行く事が重要だと再認識した。人は十人十色と言われるように、同じ人は誰一人ともいない。相手をカテゴライズするのではなく、一個人として大切に相手の今の時間に寄り添える介護従事者を目指していきたい。
