講演情報

[28-O-H001-01]夜間の安眠確保に向けたオムツ交換の見直し

奈良県 中西 輝好1, 今西 浩章1 (1.介護老人保健施設 大和田の里, 2.介護老人保健施設 大和田の里, 3.介護老人保健施設 大和田の里)
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「はじめに」
これまで、夜間帯のオムツ交換は、4時間程度の間隔で実施されてきた。これは、交換間隔を空けることによる尿漏れや、尿路感染症、褥瘡の発生リスクを考慮した為である。夜間帯に利用者の連続した安眠できる時間が確保されていないという課題はあったものの、前述したリスクを考慮すると改善は困難と考えられてきた。しかし、2023年8月、排泄アイテムについて当法人が契約している排泄アイテムの会社と意見を交わす機会があり、現状の問題点や改善したいと考えている点を意見交換するとともに、最新の排泄ケアに関する情報を得た。この情報を基に、従来のオムツ交換の方法・オムツアイテムの選択を見直し、夜間帯の安眠時間の確保に向けた取り組みを開始した。本発表では、その改善事例と今後の展望について報告を行う。 
「目的と方法」
 「夜間帯におけるオムツ交換の見直しを通じて、利用者の安眠時間を確保する。」事を目標に以下の4つの方法を実施した。
(1)排泄ケアに関する知識・技術の向上
・当法人が契約している排泄アイテムの会社の協力のもと、介護職員を対象に排泄アイテムの理解や適切なオムツの装着方法に関する研修会を実施すると共に、リーダー以上の介護士には、改めて排泄アイテムの装着に対する座学及び実技研修を行った。リーダー以上の介護士が学んだ内容を他の職員へ伝達し技術的にも漏れにくい状況を整備した。
(2)排尿量の把握と分析方法の学習
各フロアの全日オムツ着用者5名を対象に、5日間の排尿量を測定した。排泄量と共に、オムツの交換時間・使用しているオムツアイテムの種類・オムツのどの部分に排尿されているかを図に書き込んだ。その測定結果を基に当法人が契約している排泄アイテムの会社と共に、オムツの交換時間や間隔が適切か・アイテムの選定は適切かなど分析を繰り返した。
(3)オムツ交換回数とアイテムの最適化
対象者を拡大しすべての全日オムツ着用者に対し尿測測定を実施した。排泄量や排泄時間を分析し、個々の利用者に適したオムツ・パットを選定した。また、夜間の安眠を考慮した時間帯にオムツ交換を行うタイミングを調整した。
(4)陰部洗浄、体位変換の徹底
利用者の居室内に陰部洗浄表・体位変換表を設置し、陰部洗浄は1回/日及び体位変換それぞれの表に書き込むようにした。チェック表を使用することで、スタッフの対応忘れを尿路感染症や褥瘡の予防を徹底した。
「結果」
〇夜間のオムツ交換の間隔を、第一段階目として4時間間隔から8時間間隔へ変更し、利用者の連続睡眠時間を確保した。変更後に観察を続けた結果、尿路感染や褥瘡などの発生がないことを確認した。その後、第二段階目として、夜間帯の交換間隔を8時間間隔から12時間間隔へ変更し、大幅な睡眠時間の確保が出来るようになった。
〇夜間のオムツ交換回数の変更に伴い、日中のオムツ交換の間隔についても、4時間間隔から6時間間隔へ変更した。そうすることで、従来のタイムスケジュールの変更が可能となり、以前と比較して職員が落ち着いて利用者とコミュニケーションを取る時間を確保することに繋がった。
〇オムツ交換の回数変化に伴う尿路感染と褥瘡の発生件数の比較
第一段階 期間【2022年6月~2023年9月と2023年10月~2025年1月】
・尿路感染発症者件数の月平均は、取り組み前0.9件、取り組み後0.9件と変化はなかった。
・褥瘡発生件数の月平均は、取り組み前2.5件、取り組み後1.8件へ減少した。
第二段階 期間【2025年2月~2025年5月】
・尿路感染発症者件数の月平均は、取り組み前0.9件、取り組み後1.25件へ増加した。
・褥瘡発生件数の月平均は、取り組み前1.8件、取り組み後1.25件へ減少した。
(第一段階での期間は15ケ月に対し、第二段階での期間は3ケ月と集計期間が短く厳密な比較が出来ていない)
「考察」
今回の取り組みにより、尿路感染症と褥瘡の発生の低減を図りながらも、夜間帯の利用者の睡眠時間を確保及び職員と利用者のコミュニケーションの時間の確保する事ができた。
オムツ交換の時間間隔の変更が、尿路感染症や褥瘡の発生件数を必ずしも増加させないことが示唆され、予防策を徹底したことで、更に発生件数の低減に繋がったと考える。
予防策も体位変換・陰部洗浄の表を活用して「徹底した見える化」を実現した事が職員全員の取り組みへの意識を促進することが出来たと思われる。
今後の展望として、オムツ交換回数を1日通して4回から3回へ変更してから尿路感染症がわずかに増加している為、原因分析を継続し、尿路感染症の発生予防に努めていきたい。
今回の取り組みを通して、常に新しい知識や技術を学びアップデートしていくことが必要と改めて感じた。排泄以外の分野でも既存のやり方を変えることが出来るかを積極的に検討してケアの質向上に繋げ、利用者が安全かつ快適に過ごせる環境作りに尽力していきたい。