講演情報
[28-O-H001-06]生活機能回復への支援~オムツから紙パンツへの移行~
山口県 ○森田 香織, 田中 理恵, 小川 真由美, 前田 治美, 富崎 由希子 (介護老人保健施設サンライズ21)
【はじめに】<BR>高齢者の尊厳を保つために、3大介護のうちの1つである排泄介助は重要である。排泄介助は昼夜問わず介助が必要な為、介助量が増加する傾向にある。また、利用者様や家族からの要望もあったが、オムツを使用している利用者様のトイレ介助は転倒などのリスクが高くなる現状があった。しかし、オムツを使用している利用者様から「トイレに行きたい。」と訴えが見られた為、トイレ介助を定期的に行う事で訴えへの寄り添いを図る。<BR>【目的】<BR>当施設では、体調不良などでオムツ使用となり、下肢筋力低下等がみられた利用者様に対して、積極的にトイレでの排泄介助を行えていなかった。これでは利用者様の希望に沿った尊厳を維持するケアとは言えない。今後の排泄ケア改善の為、尿便意の訴えがあり落ちつかないA氏。膝、肘の痛みがあり立位保持が困難だが、便意がある時に職員を呼ぶB氏に対してそれぞれに合った排泄ケアの検討を実施した結果を報告する。<BR>【方法】<BR> 期間:令和6年12月9日から令和7年3月9日まで<BP>「(1)」それぞれの排泄に関わる情報の収集<BP>「(2)」排泄ケアの立案を行う。<BR>「(3)」排泄のチェック表の作成を行い、トイレ後に記入を行う。<BR>「(4)」2ヶ月後に途中経過の話し合いを行い、ケア内容の見直しを行う。<BR>「(5)」3ヶ月後に全てのまとめを行う。<BR>【取り組み・経過】<BR> A氏 92歳 介護度3 既往歴 頻尿、急性心不全<BR> 「排泄アセスメント」<BR> 6月に新型コロナウイルス感染症に罹患し、下肢筋力低下や尿便意が曖昧となりオムツ使用となった。その後、7月より日中、独語や帰宅願望の訴えが多くなった為、トイレ介助が困難となりオムツ使用継続となった。12月25日に精神科に受診を行った結果、内服治療開始となり、日中の独語はあるが行動は落ち着いた。<BR>「排泄支援」<BR> 日中は紙パンツと紙パンツ用パット600<SUB>cc</SUB>を使用し、希望時と食後にトイレ介助を行う。トイレ介助を行った際の動作、パット内の排尿、トイレ介助時の排尿、排便、便の性状、下剤の有無を排泄日誌に記入する。夜間は睡眠の妨げにならないように、オムツ使用を継続する。<BR> 「経過」<BR> 12月9日よりトイレ誘導、介助を開始する。食後尿便意の訴えがなく職員がトイレ誘導する事が多かった。食間時には、尿便意の訴えが多く見られた。トイレへの誘導・介助を行った際は軽介助で動作ができ、排尿は必ずあった。開始直後は600H<SUB>cc</SUB>パット内に排尿があったが、その後徐々に減少した。排便は下剤を服用日に出ることが多かった。集計によると平均的に1日2回ぐらいの訴えがあり、声かけにも拒否することもなく、トイレに行かれていた。<BR>【結果】<BR> オムツ使用時には、ホールからトイレへの自走が何度もあり落ち着きが無かった。しかし、尿便意の訴え時にトイレ誘導・介助を行う事で、落ち着きがみられ、穏やかに過ごすことができるようになった。パット内汚染はあるが、パット内の尿量は少なくオムツから紙パンツへ移行することができた。<BR>【取り組み・経過】<BR> B氏 88歳 要介護3 既往歴 左上腕骨顆上骨折 認知症 貧血<BR>「排泄アセスメント」<BR> 入所時はトイレ介助を行っていたが、肘、膝の疼痛や関節水腫がみられた。その為、トイレ介助が困難となりオムツ使用となった。<BR>「排泄支援」<BR> 排便が朝食後に出る事が多く、朝食後のトイレ誘導を行う。肘、膝の痛みがあり立位保持が困難である為、朝食後1回の誘導とする。尿意、便意が曖昧な為、オムツ対応のまま行う。便意の訴えが食後にあることが多い為、食後に職員2名でポータブルトイレ介助を行う。トイレ介助を行った際の排尿、排便、便の性状、不穏の有無を排泄日誌に記入する。<BR>「経過]<BR> 12月9日より職員2名に寄るポータブルトイレ介助を開始する。開始時は、ポータブルトイレ介助時に排便があった。しかし、2月の時点では、ポータブルトイレ介助を行った際には排便は無く、昼食後にオムツ内に排尿・排便があることが続いた。その為、昼食後にポータブルトイレ介助を行うことにした。変更後すぐは、オムツ内に排尿・排便があったが徐々にポータブルトイレ介助を行う際に排尿・排便があるようになった。<BR>【結果】<BR> ポータブルトイレ介助を開始し、肘、膝の疼痛や関節水腫等は無かった。しかし、立ち上がり動作や立位保持が困難であり職員2名での介助が必要な為、誘導回数を増やせなかった。オムツ内に排泄されていることが多い為、紙パンツへの移行は困難だった。ポータブルトイレに座ると9割以上排尿または排便がみられた。1日1回の誘導とした結果、排尿、排便パターンの正確な把握ができなかった為、オムツ使用を継続した。<BR>【考察・まとめ】<BR> 排泄日誌を使用し排尿パターンを見える化にしたことで、職員の排泄介助のタイミングを統一することができた。トイレ誘導を開始したことによって利用者様の不満軽減に繋げることができた。<BR> A氏はトイレ介助を定期的に行うことによってオムツから紙パンツへ変更になった。又、下肢筋力の低下を防ぐことができ、介助量の減少にも繋がった。<BR> B氏は1日1回のトイレ誘導だった為、排泄パターンの把握が困難だった。しかし、トイレ介助を行うようになってからは、衣類への排泄汚染が減少傾向になった。トイレ介助を開始したことで少しでも不満解消に繋がった。
