講演情報
[28-O-H003-03]排便ケアチーム結成と快便になるための道のり
東京都 ○鈴木 理央, 古賀 勝子, 七田 裕太, 田中 勝, 中瀬 雅子, 山田 恭暉 (立川介護老人保健施設わかば)
背景:当施設のリハビリテーションは生活期リハを実施しており、排泄介助に介入している。便が自力で出せない方へ摘便を行っている際、「痛い」と訴えている場面に遭遇し、何かできることはないかと感じた。当施設では、疾患や個人の状態に応じて浸透圧性下剤を使用する方もいるが、週3日以上排便がない場合は、センノシドやラキソベロンなどの刺激性下剤を使用して排便を促している。しかし、刺激性下剤や浸透圧性下剤を使用していても、排便がなく摘便が必要な状態は続いていた。便秘時の対応が現状のままで良いのか疑問を持ち、水分摂取量の調節をすることで排便に変化が見られるか調査を行った。しかし、水分摂取量の調節だけでは便秘の改善は得られず、『他に何か良い改善方法はないか』と思い、勉強会へ参加した。勉強会では慢性便秘の分類や水分摂取量、食物繊維摂取量、食事摂取量、排便周期把握が重要であることを知った。そこで今回、排便ケアチームを結成し、排便についての知識の共有や取り組み、成果を検討したので、今後の課題と合わせて報告する。経過:排便ケアチームは直接ケアへ関わる医師、看護師、介護士、栄養士、リハでチームを結成し、役割を分担して実施した。刺激性下剤の月間使用量と水分摂取量についての調査期間は令和6年9月から令和7年6月までに入所されている方を対象とした。刺激性下剤の使用が1ヶ月で10回以上の方の中から、89歳女性でADLが全介助で要介護4の方であるA様を抜粋してアプローチを行った。介入前後の計測項目は排便日誌(おまかせうんチッチの排便チェック表を使用)、慢性便秘の分類(大腸通過遅延型、大腸通過正常型、機能性便排出障害)、食事を含めた1日の水分摂取量、食事以外の水分摂取量、食事摂取量、食物繊維摂取量とした。結果および考察:(1)今回の取り組みで難渋した点・排便ケアチームへの知識の共有勉強会で得た知識を共有するために、勉強会の内容を自分なりに噛み砕いてスライドにまとめて共有した。しかし、文字だけではなかなか意図が伝わらず、具体例としてA様を対象にスライドの内容と照らし合わせてメンバー各々に排便周期の分析と慢性便秘の分類の予測を行ってもらった。その結果メンバーからの理解が得られ、各職種の視点から議論ができ、意義のあるミーティングを行えた。・水分摂取量の記録について当施設では、水分を定刻に定量提供しているため、極端に水分が少ない方以外は記録をしておらず、医師、看護師から指示があった利用者様のみ記録をしている。今回水分摂取量の記録の依頼に対し、「毎回水分を摂取しているのがわかっているのに、なぜわざわざ記録に残さないといけないのか」と、ケアチーム以外のスタッフから意見があった。意見のあるスタッフに対し、水分摂取量の記録の必要性を説明し、水分摂取量を確認する方の一覧に追加して、排便ケアチームからスタッフへ声かけを行った。理解に時間を要しながらも協力を得ることができ、水分摂取量の記録が徐々に定着していった。(2)取り組みの成果今回A様の排便周期は分析結果から4-5日であることがわかった。また、水分摂取量、食事摂取量、食物繊維摂取量の観点から慢性便秘の分類を大腸通過遅延型と予測を立て、刺激性下剤内服開始を排便-3日から-6日へ遅らせた。また、腸の蠕動運動促進のために腹部マッサージの実施、腸内環境を整えるために整腸剤を使用した。その結果、介入前2週間で5-6回刺激性下剤を使用していたが、介入後2週間は0回となり、その後も一定の成果が得られている。ここに至るまでに行った排便周期の分析と慢性便秘の分類をすることの重要性と必要性を感じた。また、利用者個々を分析し、介入していくことの重要性に気づいた。今後の課題・展望:・排便ケアチームの取り組みの周知不足ケアチーム以外のスタッフの意識の統一が難しく、今回の取り組みの真の理解と定着まで至らなかった。今後は全スタッフが理解し、取り組みが定着していくように、各職種の担当とミーティングを行っていきたい。・目指すところ今後この取り組みを広げていき、入所時から分析を開始し、個別のアプローチができる仕組み作りを行い、利用者様に心身ともに負担の少ない排便の提供をしていきたい。結語:ケアチーム結成時に、メンバーへ知識の周知をすることやスタッフからの意見への対応など大変なこともあったが、徐々に取り組みの理解が得られた。A様への介入も一定の効果が得られ、排便周期の分析と慢性便秘の分類分けの重要性と必要性を実感した。今後は入所時から排便に対してアプローチを行う仕組みづくりを行っていきたい。
