講演情報
[28-O-H003-07]排泄臭の低減 ~身近なもので排泄臭は消せるのか~
埼玉県 ○大川 竜平 (介護老人保健施設エルサ上尾)
【はじめに】
当施設では虐待防止委員会が不適切ケア報告書で情報収集を行っており2023年度当フロアにおける不適切ケア総数が363件、排泄後の臭いに関する割合は57件の15.7%であり他フロアと比べても非常に高い数値となっている。排泄臭についての先行研究1)では排泄臭は職員にとっては職場環境、利用者においては居住環境としてストレスに繋がるマイナス因子になると述べられている。当フロアにおける現状を鑑みて排泄臭の低減について研究を行うこととした。
【目的】
現状の対策では排泄臭を充分に取り除けていない。現在行っている対策の効果を評価、また、その他有効な手段がないか検証する。
【倫理的配慮】
本研究は倫理的配慮としてプライバシー保護に配慮し、当施設の倫理委員会の承認を受けている。
【研究方法】
1. 対象 排泄支援を要する利用者
2. 期間 2024年9月1日~10月31日
【実施手順】
1. 評価表の作成(0~5の6段階評価)
2. 消臭に効果のあると言われている、物質を選出(木炭、シリカゲル、新聞紙、ビニール袋、コーヒー殻、茶殻、置き型消臭剤、スプレー消臭剤)
3. 各物質と汚染パッドをビニール袋に入れ24時間置く。その間に5回臭いの確認。これを3日間繰り返す。最終選定を行いスプレー、茶殻、コーヒー殻とした。
4. 茶殻、コーヒー殻はパッドの排泄物付着部にふりかける。スプレーは1秒噴霧。食堂横トイレにて1週間実施し、朝食後・昼食後・おやつ後の排泄直後とその1時間後の臭いを数値化(1~5の5段階評価)
【結果】排泄臭の低減に最も効果を発揮した物はコーヒー殻であり、効果の持続性が高かった物はコーヒー殻と消臭スプレーの2種類であった。不適切ケアの集計によると8月、9月と排泄臭に関する報告がそれぞれ5件4件とあったが、実験中の10月は1件であった。家族アンケートから廊下で異臭を感じたことがあると答えたのは、14件中1件で今回の実験後16名の介護職員へ意識調査アンケートを実施「臭いの低減を感じた」は90%で「継続できそうである」と答えた職員は72%であった。
【考察】排泄臭の低減に効果が得られた物質はコーヒー殻と茶殻であった。共通点として「乾燥している」ということがある。湿度はにおいの伝わりに大きく関係しており、湿度が高い状態だと臭いは水蒸気の中に含まれた状態となり散らずに留まるため排泄臭を感じやすくなる。この、においの性質上よく乾燥した殻は湿気を素早く取り除く。その他にコーヒー特有の香りがあり、芳香作用を兼ねていた可能性がある。それらが排泄臭の低減につながったのではないかと考えられた。そして湿気の行き場のないビニール袋や置き型芳香剤が、予想に反して排泄臭そのものの低減につながらなかった理由の一つでないかと思われる。
【おわりに】研究を通して、普段は捨ててしまうコーヒーやお茶の殻で排泄臭の低減が実感できたことは非常に興味深いものであった。しかしながら、今回の研究ではトイレ内という限定的な場所になってしまいフロア全体、広い空間の評価まで研究が及ばなかった。そして素材の確保や保存など課題は多いが、在宅生活においても排泄臭はストレスの要因と考えられているため、在宅復帰に際し家族の不安が払拭できるような実践、改良を行っていきたいと思う。
【引用・参考文献】
三協エアテック株式会社 SATライブラリー
石田,田添ら:尿臭の発生源に着目した介護施設内全体の臭気の低減について,2018
当施設では虐待防止委員会が不適切ケア報告書で情報収集を行っており2023年度当フロアにおける不適切ケア総数が363件、排泄後の臭いに関する割合は57件の15.7%であり他フロアと比べても非常に高い数値となっている。排泄臭についての先行研究1)では排泄臭は職員にとっては職場環境、利用者においては居住環境としてストレスに繋がるマイナス因子になると述べられている。当フロアにおける現状を鑑みて排泄臭の低減について研究を行うこととした。
【目的】
現状の対策では排泄臭を充分に取り除けていない。現在行っている対策の効果を評価、また、その他有効な手段がないか検証する。
【倫理的配慮】
本研究は倫理的配慮としてプライバシー保護に配慮し、当施設の倫理委員会の承認を受けている。
【研究方法】
1. 対象 排泄支援を要する利用者
2. 期間 2024年9月1日~10月31日
【実施手順】
1. 評価表の作成(0~5の6段階評価)
2. 消臭に効果のあると言われている、物質を選出(木炭、シリカゲル、新聞紙、ビニール袋、コーヒー殻、茶殻、置き型消臭剤、スプレー消臭剤)
3. 各物質と汚染パッドをビニール袋に入れ24時間置く。その間に5回臭いの確認。これを3日間繰り返す。最終選定を行いスプレー、茶殻、コーヒー殻とした。
4. 茶殻、コーヒー殻はパッドの排泄物付着部にふりかける。スプレーは1秒噴霧。食堂横トイレにて1週間実施し、朝食後・昼食後・おやつ後の排泄直後とその1時間後の臭いを数値化(1~5の5段階評価)
【結果】排泄臭の低減に最も効果を発揮した物はコーヒー殻であり、効果の持続性が高かった物はコーヒー殻と消臭スプレーの2種類であった。不適切ケアの集計によると8月、9月と排泄臭に関する報告がそれぞれ5件4件とあったが、実験中の10月は1件であった。家族アンケートから廊下で異臭を感じたことがあると答えたのは、14件中1件で今回の実験後16名の介護職員へ意識調査アンケートを実施「臭いの低減を感じた」は90%で「継続できそうである」と答えた職員は72%であった。
【考察】排泄臭の低減に効果が得られた物質はコーヒー殻と茶殻であった。共通点として「乾燥している」ということがある。湿度はにおいの伝わりに大きく関係しており、湿度が高い状態だと臭いは水蒸気の中に含まれた状態となり散らずに留まるため排泄臭を感じやすくなる。この、においの性質上よく乾燥した殻は湿気を素早く取り除く。その他にコーヒー特有の香りがあり、芳香作用を兼ねていた可能性がある。それらが排泄臭の低減につながったのではないかと考えられた。そして湿気の行き場のないビニール袋や置き型芳香剤が、予想に反して排泄臭そのものの低減につながらなかった理由の一つでないかと思われる。
【おわりに】研究を通して、普段は捨ててしまうコーヒーやお茶の殻で排泄臭の低減が実感できたことは非常に興味深いものであった。しかしながら、今回の研究ではトイレ内という限定的な場所になってしまいフロア全体、広い空間の評価まで研究が及ばなかった。そして素材の確保や保存など課題は多いが、在宅生活においても排泄臭はストレスの要因と考えられているため、在宅復帰に際し家族の不安が払拭できるような実践、改良を行っていきたいと思う。
【引用・参考文献】
三協エアテック株式会社 SATライブラリー
石田,田添ら:尿臭の発生源に着目した介護施設内全体の臭気の低減について,2018
