講演情報

[28-O-H004-03]排泄ケアにおける適切な製品選択の有効性フィッティング最適化と陰部巻き廃止でQOL向上

徳島県 河野 恵美子, 原 由記 (介護老人保健施設平成アメニティ)
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【はじめに】
高齢化社会の伸展に伴い介護現場における適切な排泄ケアの重要性が増している。〔1〕特に、おむつを使用する方にとって、身体に合わないおむつは尿漏れや皮膚のかぶれなどの原因となり、QOLの低下に直結する。〔2〕当施設では、漏れの不安から男性入所者に対して3枚のパッドを使用していた。また、適正サイズでないおむつやパッドを使用することで、製品の機能を活かすことができていなかった。個々にあったおむつのサイズとパッドの選択、特に男性入所者の陰部巻きパッドの使用中止が排泄ケアに与える影響について検討した。

【課題】
おむつ使用者は皮膚トラブルが多く、おむつサイズの不適合やパッドの選択・使用方法の問題が疑われた。特に男性入所者で陰部にパッドを巻き、その上にさらにパッドを重ねる方法がズレや漏れ、皮膚の蒸れの原因となっていると考えられた。

【目的】
入所者個々の体型・排泄量に合ったおむつサイズ・パッドの最適化を行い、アウター外尿漏れと皮膚トラブルを改善に寄与するか検証する。

【方法】
従来、午前の排泄介助時はワイドパッド、午後の排泄介助時は、夜1枚安心パッド(多いタイプ)、夜間の排泄介助時は、夜1枚安心パッド(特に多いパッド)を使用していた。今回入所者個々のおむつの最適化に向けて、まず、午前、午後の排泄介助時は、ワイドパッドを使用し、夜間の排泄介助時は夜1枚安心パッド(多いパッド)の使用に変更した。次に入所者一人ひとりの体型、排泄量により、おむつのサイズを選定し、パッドも基本のものでトラブルがないか確認し、再選定を繰り返した。その中で陰部巻きの必要性を検討し、中止することにした。変更後、100名(調査未完了3名除く)を対象に5日間アウター外漏れの回数を調査し効果を検証した。

【結果】
5日間の調査の結果、アウター外尿漏れ14回、便漏れ2回、混合漏れ0回に留まり、衣類洗濯量も減少した。入所者からは「ごわごわしなくなった」「動きやすい」、と好評であった。それに伴い、使用するおむつやパッドの使用枚数やコスト削減に寄与した。月間総使用枚数は16,792枚から12,880枚と23.4%減少し、なかでも、Lサイズテープ型は1,518枚から250枚へ、夜1枚安心パッド(特に多いパッド)は3,936枚から0枚へと大幅に減少した。これにより、総費用は554,652円から367,320円へと33.8%減少した。

【考察と今後の課題】
おむつサイズ・パッド選択適正化でアウター外尿漏れが減少したことにより、洗濯量や介護業務の減少した。入所者の苦痛軽減、皮膚トラブルも減少し、QOLの向上につながったと考えられる。排泄ケアは入所者の状態変化や季節の影響も受けるため継続的なアセスメントが必要である。そのためには、全介護者が適正選択・装着方法の知識を習得し実践できる体制づくりが重要であると考える。全介護者が必要性を認識するためにも、今後は漏れ率や皮膚トラブル、使用枚数などデータの詳細分析を行い有効性を明確化することが課題である。

【最後に】
入所者のため、業務効率化のため、この方法が最適だと思い込んでいたケアが検証してみると最適ではなかった。この結果を受けて、当たり前と思っているケアの見直しの大切さを感じ、介護従事者も常に新しいケア方法のアンテナを広げ、入所者の快適で尊厳ある生活の支援を目指し研鑽を重ねていこうと思う。

参考文献
[1] 帝京科学大学紀要編集委員会. 紙おむつを教材に用いた高齢者の排泄ケアに関する学び. 帝京科学大学紀要. 2019, Vol.15, p.91-99. Available from: https://tust.repo.nii.ac.jp/record/611/files/v15p091-099.pdf

[2] 名古屋大学排泄情報センター. 高齢者排尿障害に対する患者・介護者、看護師向きの排泄ケアガイドライン作成. 厚生労働科学研究成果データベース. Available from: https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2006/063011/200619004A/200619004A0001.pdf