講演情報

[28-O-H004-04]介護機器の活用による排泄課題の改善に向けた取り組み~当施設の現状と課題について~

滋賀県 岡崎 菫, 石地 正代, 三橋 亮介, 坂東 裕一, 北村 祐真, 山中 実 (社会福祉法人青祥会介護老人保健施設長浜メディケアセンター)
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《はじめに》〈BR〉当施設は超強化型介護老人保健施設として運営しており、令和6年度の在宅復帰率は67.2%である。以前に行った調査研究にて在宅復帰における最重要課題は排泄の自立であり在宅復帰に向けて排泄課題の改善が必要であることを発表した。その中で、リハビリ専門職による個別リハビリ場面での排泄動作練習だけでなく夜間帯も含めた24時間のアプローチが必要で、介護職員等との連携も重要であった。ICT機器や介護ロボット等を活用して排泄や睡眠状況を可視化することで個々に合わせた排泄支援が可能となり在宅復帰に伴う家族の不安軽減が図れることを報告した。現在も当施設では排泄支援の重要性を認識し、多職種連携や機器の活用を基に排泄課題の改善に向けた取り組みを実施し排泄支援加算も積極的に算定している。今回は当施設のICT機器や見守り機器を活用した排泄課題の改善について現状を再確認することで、より良い排泄支援の継続に繋げたいと考え調査を行ったため報告する。〈BR〉《対象》〈BR〉令和7年6月30日(以下調査時)の入所者100名(一般棟:49名、認知症専門棟:51名)。調査対象利用者は、平均年齢88.9歳、男性14名(14%)女性86名(86%)、平均要介護度3.1であった。〈BR〉《方法》〈BR〉入所者の排泄評価としてBarthel Index(以下BI)の排泄動作、排尿コントロール、排便コントロールの排泄項目を評価した。BI排泄項目を入所時と調査時で比較し排泄の改善状態を確認した。排泄に関わる主な課題について国際生活機能分類(以下ICF)を基に個人・環境因子、運動機能、排泄機能、認知機能に分類し整理した。〈BR〉《結果》〈BR〉BI排泄項目自立利用者は排泄動作入所時16名、調査時25名。排尿コントロール入所時21名、調査時24名。排便コントロール入所時22名、調査時22名。 BI排泄項目を入所時と調査時で比較した結果、改善は100名中15名。悪化は4名で体調不良によるものであった。排泄に関わる主な課題については、個人・環境因子3名、運動機能15名、排泄機能41名、認知機能6名であった。〈BR〉《考察》〈BR〉尿失禁の頻度は加齢とともに増加し、80歳代では21.1%の人が尿失禁を有しており、在宅高齢者の約10%、病院や介護施設などに入所している高齢者では50%以上に尿失禁がみられるとされている。当施設入所者においても排泄が自立しているものは2割程度であり失禁も含め排泄に介助が必要な人は多い。排泄課題の改善には客観的な評価による状態把握をもとにアプローチを行う必要がある。当施設での排泄支援の手法として、ICFによる排泄支援のアセスメント(個人・環境因子、運動機能、排泄機能、知的機能)を実施したうえで、評価結果を基に多職種で課題に関するカンファレンスを行い、目標設定やアプローチ手法について検討している。しかし、排泄動作は食事動作等とは異なり、通常個室等の閉鎖空間で行われ動作状況等が確認しにくいことや膀胱等の排泄機能が可視化困難であることから適切な状態把握の妨げとなっている。当施設の排泄介助者における排泄の主な課題は排泄機能が41名と最も多く、次いで運動機能が15名であった。排泄機能については膀胱内の蓄尿状態を可視化するために蓄尿量評価機器のDFreeを使用、運動機能の動作面についてはHitomeQ、見守りライフなどの見守り機器を活用することでより適切な評価実施による個別性の高いアプローチに繋げた。これら機器の適切な使用により排泄課題の改善が得られた利用者2例について報告する。〈BR〉《症例紹介》〈BR〉症例1: 85歳、女性。主病名認知症、要介護3、障害高齢者日常生活自立度A2、認知症高齢者自立度IIb。ズボンの操作や排泄動作も声掛けが必要な状態であった。また、尿意・便意が曖昧で排泄の訴えがなく失禁による衣類や寝具の汚染も多く家族の介護負担が大きい状態であった為、入所時よりDFreeを使用し膀胱内の蓄尿状態を評価した。認知機能の低下等により、蓄尿されていることを本人が自覚できなくてもDFreeで蓄尿の状況を確認し排尿パターンを把握することでタイミングよくトイレ誘導が行え、失禁を減らすことが出来た。結果として、衣服を汚す、着替えることが減り排泄に関連する介助量が減り在宅復帰が可能となった。症例2: 95歳、女性。主病名左大腿骨頚部骨折、要介護4、障害高齢者日常生活自立度B2、認知症高齢者自立度I。左大腿骨頚部骨折後であり、入所時には排泄動作や移乗動作など立位を伴う動作においてふらつきがみられ排泄時には介助が必要であった。在宅環境もふまえ排泄は主にベッドサイドのポータブルトイレで実施を目標とした。本人・家族の同意を得た上で居室の見守り機器を活用しポータブルトイレへの移乗動作や排泄動作状況を確認し環境設定を行った。特に夜間の排泄回数が多く、安全性の問題も考えられたが夜間の排泄動作の確認を見守り機器の活用により行え、自立へと移行することができた。見守り機器での具体的な動作状況の評価によりご家族へも状態を説明することができ、在宅での排泄自立へと繋げられた。〈BR〉《まとめ》〈BR〉見守り機器やDFreeの活用により、より適切な評価と個別性の高いアプローチを実施したことで今回の調査では入所者の15名に排泄課題の改善がみられ、アプローチの効果が得られたことを確認できた。排泄機能については膀胱内の蓄尿状態を可視化することや動作面についても情報が得られにくく、適切な機器の活用が必要であることがわかった。機器の活用によって、より具体的なアプローチの手法が得られやすく、家族等への説明や指導においても根拠に基づき行うことができた。今後は誰でも適切に機器等で評価できるよう評価実施のマニュアル等の作成と、排泄課題においては夜間も含めた24時間の生活場面での評価やアプローチが必要なため多職種連携をより強化していきたい。