講演情報

[28-O-H004-07]私たちはライフプランナー2025~排泄へのチャレンジ~

宮城県 千葉 綾香 (医療法人松田会 介護老人保健施設 エバーグリーン・イズミ)
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当施設では平成30年より排泄支援加算を算定。当初は排泄の自立支援の意識が低く、数名の利用者のみ算定していたが、令和3年の介護報酬改定により全利用者を対象に排泄支援計画書の作成を開始。作成にあたって自宅での生活に向けた視点でアセスメントを実施したが、自宅に帰る際に本人と家族は排泄への不安が大きく、安心して生活ができるように排泄委員会の取り組みを見直した。結果、在宅復帰率の維持に繋がり、また、スタッフも自立支援と自宅での生活を重視した意識へと変化したことを報告する。
当初の排泄委員はオムツやパットの使用量の集計、その方に合った選定や当て方が主だったが、排泄コーディネーターの役割をつくり排泄ケアの見直しと皮膚トラブルの改善、予防を行った。各ユニットに1人、排泄コーディネーターを配置し、専門職が全員で排泄支援を考えていく仕組みをつくり、取り組んだ。R4システムを活用してのADLの評価や汚染状況の把握をし、トイレでの排泄を促すための取り組みや最適なオムツとパットの選択をし、利用者に合った当て方、交換回数の見直しを行った。また、下剤に頼らない自然排便を促す取り組みを行った。
取り組みの結果、排泄支援を見直すことで利用者のADL、QOLの向上が出来た。70代女性認知症あり。自宅で生活をしていたが、仙骨部と下肢の褥瘡が発生し入院となる。入院を機にADLの低下があり、膀胱留置カテーテルを挿入し終日ベッド上での排泄になった。その後、老健に入所となったが、褥瘡処置は継続しており、ほぼ寝たきりで食事支援も必要な状態であった。自宅での生活に向けて各専門職と相談し、ADL改善を目標に離床の機会を設けた。褥瘡予防悪化のために離床時間の統一を図ったところ、褥瘡は徐々に改善し、膀胱留置カテーテルを抜去できオムツへの排泄へと変化した。移乗時には本人が立つことを意識できる声掛けをしたところ、本人よりトイレ行きたいと希望が聞かれ、排泄コーディネーターを中心に各専門職でケア内容を相談し合った。2人支援でトイレ誘導を開始し、始めはパットへの汚染がみられていたが、現在、日中は汚染なくトイレで排泄が出来るようになった。夜間はベッド上での交換を実施しているが、就寝前のトイレ誘導、排泄パターンに合わせた交換を行うことで褥瘡も治癒した。また、食事も自力摂取できるようになり、自発的な発言も増えた。本人の想いをもとに専門職で排泄ケアを見直したことで、本人の排泄意欲が向上し、結果、生活全体の質の向上に繋がった。
その方の排泄パターンや自宅に向けての目標を明確にして支援したことで、排泄支援加算IIの算定者が増加した。また、家族の排泄支援の不安に対しても、利用者や家族の自宅での生活環境やパターンに合わせた支援状況を家族にお伝えし、排泄ケアの指導を行った。家族と共に考えることで家族の不安が軽減し在宅復帰率も増加した。スタッフの意識も変化し、パットの使用を慢性化せず、皮膚状態も観察し、1人1人の生活に合った排泄ケアを考え、利用者と家族の想いを考慮した排泄支援ができている。
排泄支援計画書をきっかけに委員会のブラッシュアップを行い、ケア内容を見直したことで排泄だけではなく、生活全体の質の向上や在宅復帰に繋がった。排泄は羞恥心を伴うケアであり、何歳になっても排泄の世話を受けたくないと望む利用者も多くいる。排泄コーディネーターが中心となり、本人の想いや出来る能力を見逃さず、一緒にチャレンジすることが尊厳ある関わりとなり、病気や障害で出来ないことがあっても、その方らしい生活を支えることが老健の役割である。
今後の目標は全スタッフが排泄コーディネーターとして意識をもち、利用者、家族の想いをもとに生活をコーディネートできる老健でありたい。